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「星降る夜に」からコミュニケーションを紐解いてみる④ろう者と本音で付き合うとは?

春が一星に本音を言えた理由は?

前回は
“手話を学ぶこと”は
言葉を覚えるだけではなく、
ろう者の置かれてる理不尽な社会と
向き合うことでもあるよ。
その上で聴者として
ろう者に本音でぶつかる時に
ぶつかる壁があるよね。
というお話でした。

今回は、
「じゃあ春はどうして本音でぶつかれたんだろう?」
を紐解きます。

「一星に手話を教えてもらって言いたい放題、内緒話ができるようになって本当の気持ちも手話でなら言えた。誰かと話すのが楽しくなった。立ち直れたのは一星のおかげだよ」

「星降る夜に」第五話

初めて一星に語られた春への想い。

その背景には
春の心の暗い闇が描かれていました。
過去に働いた会社での出来事。
優秀な社員の妻うた。
一方で、叱られてばかりの不甲斐ない自分。
いつしか、出社拒否になり、
引きこもり生活へ‥‥
彼は自分への自信を無くし、
人や社会に心を閉ざしていました。

そんな彼のもとに、一星が現れます。
彼は隣人宅の遺品整理に向き合う
一星の真摯な姿勢に心を打たれます。
そして遺品整理士として働くことを決意。
同僚である一星から手話を学んでいきます。

でも彼が言っている
“手話でなら本音が言えた”
これはなぜなのか?紐解いてみます。

手話でなら本音が言える?ホント?


3つの視点で考察してみます。
あなたが本音を伝えたいときのヒントになるかも。

①文化の違い
②言語の違い
③やっぱり、人としてのつながり

①ろう者と聴者の文化の違い

手話と日本語の大きな違いの一つに
「遠まわしな言い方をせず、ストレートに伝える」
があります。

モヤモヤするろう者さん

聴者は仕事を頼まれたら困ることを行間や雰囲気から読み取ってほしそうです。
でも、ろう者としては、「無理だ」とストレートに答えてもらわないと分かりづらい。

この文化の違い。

それは、聴者にとって「当たり前」を変えること。
「ハッキリ断ることで、関わりづらい印象を持たれないか?」
「場の雰囲気を壊すのでは?」
と人間関係に亀裂が入ることを恐れる人もいるかもしれません。

春はどうだったのでしょう?

彼の固く閉ざされた心。
人と関わることへの恐怖を抱えた人が本音を伝えるのは大変なこと。
でも、ろう者に伝えるためにはストレートに伝えないと始まらないわけです。

「遺品は持ち帰ったらダメ!」
「AV良き!」

前職では
“自分が仕事ができないこと”を察しなければいけない居心地の悪さ。
“周りから遠ざけられる”居たたまれない空気が与える精神的苦痛を
味わっていたとしたら。それより遥かに楽しい時間だったはず。

聴者が言葉を飾らずに伝える文化に飛び込むこと。
それは本音をストレートに伝えるコミュニケーションの練習にも
なるのだろうと思います。

②手話は感情を吐露しやすい言語?!     (言語の違い)

手話を知らない聴者から見ると
「手話って表情があって、ボディランゲージが豊かな海外の人みたい」
と思う方も多いと思います。

でも決して、ろう者がいつも感情的に本音をぶつけている訳ではありません。(そりゃ、そうだ。笑)

にぎやかだけど、無音だから静か。

なんでこういうことになってるか?
それは、眉の上げ下げ、顔の角度、表情の細かな変化で伝わり方が変わる文法を持つ言語だからなのです。

言語学的に詳しくないので、説明はこのあたりで勘弁してほしいのですが(笑)

人と話すこともなく、
自分の殻にこもっていた春。

この人と話したい!
と思った時に必要な言語が感情を全面に出して、表情をフル活用しないと伝わらない「手話」だった。

怒った顔で注意をする。
ほくそ笑んでAVの話をする。
満面の笑顔で酒を交わす。

そんな「手話」でのやりとりが、
自分の感情を表に出すハビリになり
固く閉ざした心をほぐしてくれたのかも。

かなしくても、笑ってみると
脳は楽しいと勘違いするのだとか。
聴者にとって手話はそんな作用もあるのかもしれません。(あくまでも推察です)

④春が立ち直るのに必要だったのは、人としてのつながり。

だからといって、
すべての聴者が手話に巡り合うと
心を開くことができたり
救われるわけではありません。
(それじゃ宗教だわ。)

「人と話すって楽しい」
「もっと一星と話したい」

春のそんな日々はドラマには出てきません。
でも、きっと

聴者と比べて、周りの状況をいち早く視覚でキャッチするろう者。
そして、世話好きな一星のことです。

彼が仕事場で落ち込んでいたら、誰よりも先に
“どうしたの?” 
と声をかけてくれたでしょう。

大変な遺品整理の現場を一緒に終えた時も
明るくねぎらってくれたことでしょう。

そんなとき、春も

自分の想いを伝えたい。
一星の想いを読み取りたい。

ときっと思ったはず。

そんな日々は彼の暗い心の闇を少しずつ
明るく照らしてくれたに違いありません。

春にとって一番大切だったのは

一星と話したい!
一星といることが楽しい!

と思える人間関係だったわけです。

つまり
手話を学ぶことが目的ではなく
その先の“人”とコミュニケーションをとることが目的だった。

ろう者として、ではなく
人として、向き合いたいから本音が出た

のだと思います。

このドラマが「手話」や「障害者」を扱わないで一星の「人間性」を魅せてくれる良さですね。

(やっと言いたいところに戻ってこれた~)

今夜で終わりなんて悲しすぎる。
彼らがどんなコミュニケーションを経て
どこへ向かっていくのか、見守っていきましょう!


考察というより妄想オタク満載になってしまいました。



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