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2/15開催レポート①「私たちの知らない世界~能登半島地震から学ぶ 私たちのまちは何をしておく?~」

「私たちの知らない世界」シリーズ第6弾!
能登半島地震を受け、仙台で大地震が起きたらどうしたらいいか、長町-利府断層による地震被害想定や今回の能登半島の支援活動の様子を話題提供していただきました。

*話題提供者
「長町ー利府断層による地震被害想定」
 佐藤匡さん(仙台市 都市整備局 建築宅地部 建築指導課 建築防災係 係長)
「能登半島地震支援の現場から」
 佐野哲史さん(一般社団法人復興応援団 代表) 


長町-利府断層による地震被害想定

旧耐震基準の建築物の耐震化の取り組み

昭和53年に発生した宮城県沖地震をきっかけに建築基準法が大幅に改正され、より厳しい耐震規定が策定されました。

旧耐震基準:昭和56年5月31日以前の基準
新耐震基準:昭和56年6月 1日以降の基準

仙台市では、平成20年度に「仙台市耐震改修促進計画」を策定し、旧耐震基準の建築物の耐震化に取り組んでいます。

旧耐震基準の戸建木造住宅の耐震化の促進のため、市から耐震診断士を派遣する耐震診断支援耐震改修工事費用の一部を補助する制度危険なブロック塀等の除去を一部補助する制度もあります。

平成28年の熊本地震による木造住宅の被害を見ても、新耐震基準で建てられた建物よりも旧耐震基準の建物の被害が多く見られ、耐震化の重要性が改めて浮き彫りとなりました。

会場の様子

仙台市地震ハザードマップについて

再来が予想される宮城県沖地震として、平成14年度に実施した仙台市地震被害想定調査で想定した報告書を基に地震ハザードマップを作成しています。また、内陸の活断層による地震(長町ー利府断層)についてもマップを作成しています。

地震ハザードマップには、揺れやすさマップ、地域の危険度マップ、液状化予想マップがあります。

揺れやすさマップ作成にあたり想定した地震の規模は次の3つです。
・宮城県沖地震(単独型)M7.5
・宮城県沖地震(連動型*)M8.0
・長町-利府断層 M7.5

*連動型
宮城県沖の日本海溝沿いのプレート境界を震源域とし、単独型の震源域を含む広い領域を震源域とする地震です。宮城県沖地震の震源域と東日本大震災の震源域が連動した地震を想定しています。

長町-利府断層の想定について

長町ー利府断層は、仙台市から利府町にかけて、ほぼ南北に延びる長さ約40kmの活断層です。この断層は、約3000年に1回程度の割合で地震が発生していると考えられます。

長町ー利府断層で発生する直下型地震の想定発生確率
・30年以内  1%以下
・50年以内  2%以下
・100年以内 3%以下
 ※0以下はないのです!

もし、長町ー利府断層による直下型地震が発生した場合は、仙台市内のほぼ全域で震度6弱~6強の揺れが起こると予測されています。それは東日本大震災と同程度と言えます。

日頃から地震に備えて想像しておくことが大切だと思います。

*参考URL
河北新報「大地震の震度分布マップ」

会場からの質疑応答

Q.東日本大震災の際、仙台市内の水道やガスの復旧はどのくらいかかったのでしょうか?
長町ー利府断層による地震で液状化した場合、復旧にもっと時間がかかるのでしょうか?

A.エリアにもよりますが、仙台市の上水道の復旧は3月29日には、ほぼ復旧、ガスは約28日後に復旧しました。
東日本大震災では、沿岸部は津波の被害があり、液状化の痕跡が残っておらず分からないのですが、沿岸部だけでなく、砂地の地層や山を切り崩したりして造成した住宅団地などでは液状化の影響が出ると見られています。

Q.長町ー利府断層は、これまでどのくらい動いてきたのでしょうか?

A.どのくらい動いてきたかは正確には分からないですが、市内の大きな段差がある箇所の中には、活断層のラインと一致するところもあるため、過去に断層のズレが生じたものと推測されます。
能登半島地震では、断層がずれて港に4メートルの段差が起きたので、ずれた際は数メートル規模で動く可能性はあります。

Q.東日本大震災の際は、仙台市中心部は比較的早く携帯電話もつながり、中枢機能は保持されていましたが、長町ー利府断層による地震が発生した場合、中枢機能が壊滅的な被害を受ける可能性もあると思います。
何か仙台市として備えはしているのでしょうか?

A.東日本大震災の際は、電気・ネットワーク回線がダメージを受け、行政間同士の情報のやりとりが全く行えなくなった経験があるため、その反省を踏まえて対策はとってきていると思います。水道や電気などのライフラインについては、Aルートが駄目なら迂回のBルートで供給しようという策は練られていると思いますが「絶対大丈夫」はないと思います。

(司会から)
宮城県沖地震や東日本大震災を経験しているため、水道管やガス管などは耐震化が進められているそうです。

Q.仙台では、断層が動いた時の道路被害は想定されているのでしょうか?

A.東日本大震災の教訓として、行政としては、道路被害が起きた際に、復旧をどうするかだけでなく、どう安全対策を取るか、どう二次被害を防ぐかを考える必要があります。例えば、通行できない状態の道路に、知らずに車両が侵入して、転倒してしまったりなどの被害を防止しなければなりません。まずはそういった二次被害防止が最優先になると思います。

次のレポートでは、一般社団法人復興応援団の佐野哲史さんから能登半島地震の支援活動の様子をレポートしていきます!


3月は「わたしたちの知らない世界 ー続・能登半島地震に学ぶ 私たちのまちは何をしておく?ー」を開催します。

2月に2人のゲストから提供いただいた情報、意見交換から生まれた問いを踏まえ、100万都市・仙台で備えておくべきこと(都市機能)を、会場・オンラインで集まって考えていきたいと思います。

■日 時:2024年3月21日(木)19:00~20:30
■会 場:仙台市市民活動サポートセンター6階セミナーホールと Zoomにて開催
■内 容:能登半島地震の復旧・復興における課題を教訓に、私たちのまち仙台で備えておくべき都市機能をみなさんと考えます。
■対 象:
・防災、減災、利府長町断層による地震に関心のある市民
・能登半島地震の支援状況について関心のある市民、団体、災害支援団体、NPO、企業、教育機関、行政
■定 員:なし
■参加費:無料
■申 込:申込フォームからお申込みください。

申込の方にZoomアドレスをお知らせします。


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