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12/3開催レポート① ミニトーク「人を動かす情報発信」

12月3日に、オンラインでのミニトークを実施しました!
ソーシャルハブの情報交換会の参加者にお声がけし、ご自身の活動・お仕事のことを始め、様々な話題を提供いただこうという企画です。

今回のテーマは、「人を動かす情報発信」です。
これまで「支援を必要とする人に対して、どのようにして情報を届けるか?」ということが、定例ミーティングで話題に上っていました。
この点、マーケティングの分野では、「どうやって自分ごとにしてもらうか」ということが至上命題であるとのことで、なにかヒントがありそう!
そこで、マーケティングの専門家にお話いただき、支援情報の発信方法を考えました。


ゲストのプロフィール

今回のゲストは、姉歯 一紀さん。マーケティングのコンサルタントであり、大学の講師であり、さらにはコーヒー屋さんでもあるとのこと。

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有限会社データビジネス 代表取締役。「再現性があること」「根拠があること」を大事にして、マーケティングのコンサルティングを行っている。
宮城大学で非常勤講師も務めている。
・マーケティング理論の試験フィールドとして、株式会社モなカを設立、自らコーヒーの販売をスタート。石巻の珈琲工房いしかわの通信販売も担当している。

姉歯さんは、ソーシャルハブの情報交換会には、人のつながりをきっかけに参加。支援を必要とする人に向けた情報発信を議論していた際、『情報を見た人に、ちゃんと行動してもらう(メール・電話・窓口に行く)ための情報発信を考えるべきで、そこにはマーケティングの視点が生きるだろう』と、様々提案をいただいておりました。
今回、姉歯さんには、進行役からの簡単な問いかけにお答えいただきながら、マーケティングの視点からのお話をいただきました。

ここからは、姉歯さんにお話いただいた内容の記録です。

*売り手と買い手の”ズレ”

ものづくりや販売の現場では「お客さんとずれている」ということがよく起こる。これは情報発信する人全員の課題として取り上げたい。

例えば、支援の相談に来られた方の場合
・相談者が求めるもの:生活資金など
・支援者が提供したいもの:生活レベルの改善や問題の根本解決

この場合、お金だけ渡しても根本的な解決にはならず、時間が空くと相談者は資金不足になる。そのため、支援者は根本解決のための支援を提供したいのだが、相談に来られた方は、そこまでのことを最初からは求めていないため、提供しようとしても難しい。

このように、「お客さんが欲しがっているもの」と、「お客さんにとって必要なもの」が一致していない、売り手と買い手の”ズレ”があることはよく起こる。では、こうしたケースにはどう対応すべきか?

ビジネスの領域では、お客さんが“欲しいもの”をまずは提供するのが鉄則。本当に必要なサービスや商品を理解してもらうまでに時間が掛かるため、まずはお客さんが欲しいと思っているサービスを提供して、相手の信頼を得る(耳を傾けてもらえるようにする)。その上で、相手に本当に必要なサービスについて話をしていく。

NPOなどの支援団体では、根本の問題解決以外のことに時間を割くのは難しいと思うが、まずは相談者が欲しがっている情報を、例えばレポートや動画で提供し、その中でコミュニケーションを深めていくことを勧めたい。まずは繋がることが必要。

また、NPOは、強い思いを持って支援対象者を決めて情報発信していると思う。しかし、もし情報が相手に届いていないのならば、「相手が欲しいと思っていない」「受け取る準備ができていない」ということだろう。その状況で「あなたにはこれが必要です」とどんなに話しても、相手には響かないものである。

姉歯さんの工房

[この日、姉歯さんはご自身の工房からオンラインでトーク]

*ターゲティングと、顧客との長期的な関係作り

ぜひ「誰に届けるか」というターゲティングをしてほしい。
おそらく皆さんは「社会解決のためにこういうサービスを提供したほうがいい」と思ってサービスを始めていると思う。企業が商品を販売する場合でも、「こういう商品があるから売りたい」ということで販売を始めるケースがある。
しかし、サービスを受ける側が何を欲しがっているのかをもう少し考えることを勧めたい。この時、誰をターゲットにしているのかが明確でないと、その人たちが何を欲しがっているのかが見えなくなる。

ターゲットを明確にした上で、ターゲットが欲しているものが何なのか、リサーチすることが大事。決して、自分たちで「お客さんが欲しいもの」を考えないこと。すでにお客さんやサービスを受けている人に対して、リサーチを行ってほしい。彼らは、「お客さんが欲しいもの」の正解を知っている。その人に答えを聞いて、欲しいものを提供することから始めると、色々なサービスを組み立てやすいのではないか。

そして、ビジネスでは、お客さんに商品を売ってからが勝負。NPOも同じでは。サービス提供をしてから、どういう風に相手と長い関係を築きながら問題解決をしていくかが大事だと思う。

後編に続きます。


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