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主体的な選択を実現する|食材表示の絵文字 FOODPICT

多様化する消費者ニーズに応えて世界に通用する食体験を届けるためには、主体的な選択のための情報提供、コンテクストとしての食体験の提供、持続可能な食に向けた取り組みの実践の3つのステップが必要です。

本記事では主体的な選択のための情報提供をしている食品メーカーの事例として、ニチレイフーズとオタフクソースのフードピクト表示の取り組みを紹介します。



1. フードピクトとは


フードピクトは、ISO(国際標準化機構)とJIS(日本産業規格)のピクトグラム制作規則と、CUD(カラー・ユニバーサル・デザイン)のガイドラインに準拠し、世界1,500名への理解度・視認性・必要品目の国際調査から開発された食材表示の絵文字です。

FOODPICT ©︎ INTERNASHOKUNAL & NDC Graphics


観光庁が推奨する情報開示に基づくフードダイバーシティ対応の1ツールとして、食物アレルギーやベジタリアン、宗教上の理由により食べられないものがあるお客様との、言葉や文化の違いを超えた正確なコミュニケーションをサポートしています。

これまでにUNWTOガストロノミーツーリズム世界フォーラム(2022)やG20サミット(2019)などの国際会議、羽田・成田・関西空港をはじめ全国100社1,600店を超えるホテルや飲食店で利用されています。

(朝日放送「Fresh Faces」2021年1月30日放送)


2. 商品の特徴をひと目で伝える表示


多様化する消費者ニーズに応えて世界に通用する商品を提供するために、ニチレイフーズとオタフクソースは動物性原材料とアルコールを使用しない商品を提供しています。

動物性原材料とアルコールを使用していないため、ヴィーガンやベジタリアン、イスラム教を中心とする宗教による食禁忌に対応できるほか、卵と乳のアレルギーがある消費者にも安心してお召し上がりいただける商品です。

ニチレイフーズの Friendly Dining シリーズ


商品の特徴を世界中のお客様に理解してもらえるように、商品パッケージにフードピクトを用いて動物性原材料とアルコールを使用していないことを表示し、消費者が主体的に選択できるように情報を提供しています。

オタフクソースの有機お好みソース


発売当初は訪日外国人をターゲットにしていましたが、社会・環境への意識の高まりに伴い日本人の消費者にも人気が広がり、現在ではこだわりの食品を扱うスーパーマーケットや業務用食品を扱う小売店のほか、ECサイトでも販売されています。

日本の食品パッケージはシズル感を重視する傾向がありますが、海外では商品の特徴をマークを使い分かりやすく伝えることが一般的になっています。国内市場にも既にある多様性に目を向け、さまざまな人が利用するという前提のもと情報の優先順位を考え直してみるのも良いかもしれませんね。

3. 参考情報


ありそうでなかった食の未来をつくる whose foods では、主体的な選択のための情報提供ツールであるフードピクトの他にも、フードダイバーシティに対応するプラントベース商品の開発サポートを食品メーカーや飲食店に提供しています。




筆者が代表を務めるフーズフーズでは、日本の食産業が進むべき未来を示すガイドブックを年1回刊行しています。

2023年のガイドブック「whose foods magazine 2023|Explore the Future of Food」は、2022年の秋に国を越えた移動と観光が再開している世界6カ国12都市を48日間かけて調査したフィールドワークに基づき作成されました。

第一部では最新の食トレンドと消費者インサイトを、第二部では日本の食産業が世界に通用する食体験を届けるためのステップを、国内外の優良事例とあわせて紹介しています。詳しくは下記をご覧ください。


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世界各国でのフィールドワークをもとに、最新の食トレンドと消費者インサイトや、日本の食産業が進むべき未来とそのステップを、国内外の豊富な事例…

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