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プラントベースの商品開発と体験設計をサポート|Plant Journey

多様化する消費者ニーズに応えて世界に通用する食体験を届けるためには、主体的な選択のための情報提供、コンテクストとしての食体験の提供、持続可能な食に向けた取り組みの実践の3つのステップが必要です。

本記事ではコンテクストとしての食体験を提供しているコンサルティングの事例として、プラントベースの商品開発と体験設計を自治体や飲食事業者に提供している Plant Journey の取り組みを紹介します。



1. Plant Journeyとは


Plant Journey は自治体や飲食事業者を対象にプラントベースの手法を用いた美味しくて環境負荷が低い商品開発のサポートと、消費者が生産者や料理人と交流しながら商品に込められた思いや社会的意義を理解できる体験プログラムの企画運営を提供しています。

全国100社1,600店を超えるホテルや飲食店を対象に、多様な食習慣や嗜好があるお客様のおもてなしをサポートする株式会社フードピクトの新規事業として2020年にスタートしました。

地域にある魅力的な野菜の発掘と再評価、規格外野菜や食品残渣も活用した持続可能で自立分散型の食のサイクルづくりが評価され、国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)・兵庫県・神戸市が主催するグローバルな課題解決のための共創プログラム SDGs CHALLENGE に採択されました。

Plant Journey(旧 100% PLANT BASED)のコンセプト動画|2分間

2. コンテクストとしての食体験を実現する独自の商品開発と体験設計


コンテクストとしての食体験を実現するため Plant Journey では自治体や飲食事業者を対象に、プラントベースの手法を用いた野菜が主役の商品開発のサポートと、商品の世界観を体験できるプログラムの企画運営を提供しています。

2021年には兵庫県のポストコロナ社会の具体化に向けたモデル事業として、同県を舞台にプラントベースの手法を用いた野菜が主役の商品開発を実施。
兵庫県の五つの地域の特色ある野菜を使用した「ひょうご五国のごちそう」シリーズは、D2C(Direct to Consumer:ECサイトによる消費者への直接販売)の初回販売で合計1,000食を消費者に届けました。

パスタ党にもパン党にもうれしい常備菜|焼きナス・きのこ・黒オリーブのペースト
のせても、まぜても、はさんでも|丹波の黒豆とコク旨きのこ三重奏
カリフラワーとニンジン、干し柿の甘味が隠し味|未体験やさいソース
山椒がぴりり利く|しいたけと大豆がおりなすそぼろ
春菊と大葉の爽やかさ|カラダ休まるグリーンソース


Plant Journey がサポートする商品開発は、肉や魚、卵や乳製品、蜂蜜やお酒を使わないプラントベースの手法で行われるため、ヴィーガンやベジタリアン、ハラールやコーシャ、卵や乳のアレルギーがある消費者にも安心してお召し上がりいただけます。

また畜肉を使用した同様の商品に比べて、原材料の生産にかかる温室効果ガスの排出量と使用する水の量を大幅に削減でき、環境負荷が小さな商品となっています(日本総合研究所に依頼したインパクト評価レポートより)。

原材料の生産にかかる温室効果ガス排出量
原材料の生産に使用する水の量


2022年には観光庁の地域独自の観光資源を活用した地域の稼げる看板商品の創出事業の対象事業として、ひょうご五国のごちそうシリーズの舞台となった兵庫県を舞台に、消費者が生産者や料理人と交流しながら、商品の世界観を体験できるプログラムを造成し、コンテクストとしての食体験を提供しました。


体験プログラムでは、耕作放棄地を開墾してオーガニックで野菜を育てている生産者の畑に訪問。商品のもととなる野菜が育てられている現場で生産者から野菜づくりや農を通して実現したい想いを伺い、このあとの料理体験で使用する野菜を収穫しました。


続いては家庭でもできる野菜が主役の料理体験です。

プロの料理人からおいしい野菜の見分け方や下処理の方法、野菜の旨みを引き出す調理法や味付けのコツを教えてもらい、さきほど収穫した蕪を使ったスープと春菊を使ったパスタソースをつくりました。商品のおいしさの背景にある丁寧な調理や技術に触れられる時間となりました。


また商品開発に携わった料理人のレストランで、肉や魚と同じように野菜が主役として登場するこの日だけの特別なコース料理を体験。食後には料理人・生産者・仕掛人との対話を通して、この取り組みに込められた思いや世界観に浸りました。


一般的な食の体験プログラムの多くは、収穫体験・料理教室・喫食体験などが独立したコンテンツとして提供されています。

一方で Plant Journey は、野菜が育てられるところから、商品が生まれて、消費者に届くまでのプロセスをひとつの物語として体験できるようにプログラムを設計し、参加者が商品のコンテクストを理解できるように工夫しています。

3.参考情報


Plant Journey のウェブサイトは下記をご覧ください。Instagram と Twitter では、日々の取り組みを紹介しています。




筆者が代表を務めるフーズフーズでは、日本の食産業が進むべき未来を示すガイドブックを年1回刊行しています。

2023年のガイドブック「whose foods magazine 2023|Explore the Future of Food」は、2022年の秋に国を越えた移動と観光が再開している世界6カ国12都市を48日間かけて調査したフィールドワークに基づき作成されました。

第一部では最新の食トレンドと消費者インサイトを、第二部では日本の食産業が世界に通用する食体験を届けるためのステップを、国内外の優良事例とあわせて紹介しています。詳しくは下記をご覧ください。


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世界各国でのフィールドワークをもとに、最新の食トレンドと消費者インサイトや、日本の食産業が進むべき未来とそのステップを、国内外の豊富な事例…

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