ケニア大使の国連安保理での演説

ケニア大使の国連安保理での演説。ケニアは安保理の非常任理事国。

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「ロシアは、平和のために植民地時代の国境とともに生きていかなければならないアフリカの国々から、言葉を借りなければならない。」

この状況は、アフリカの歴史と重なる。ケニアもその他の国も、帝国の終焉によって誕生した。国境はロンドンやパリ、リスボンといった大都市で、我々を無視してひかれた。アフリカでは国境の向こう側に、歴史的、文化的、言語的に深い絆で結ばれた同志が住んでいる。民族が国境で真ん中に切り取られた状態で、多くの国が元の領土を取り戻すことを選択した場合、「何十年たったあとでも、血なまぐさい戦争を続けているだろう」。

我々はその代わり、植民地時代の国境線とともに生きることを選び、統合の道を追求することを選んだ。

「我々は、人種、民族、宗教、文化的要因を含むあらゆる根拠に基づく民族統一主義と膨張主義を拒絶した。今日、我々はもう一度拒絶する」

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ロシアのウクライナに対する武力を用いた現状変更は、歴史修正主義的・陰謀論的な演説と多数のフェイク・デマ、工作によって正当化されようとしている。
核保有国かつ安保理の常任理事国による国際法を公然と無視した行いを前に、国際連合の限界を指摘する声や、経済安全保障上の観点から天然資源に依存することの危険性(それは原子力発電の推進にもつながる)、はては安全保障のために核武装の必要性を説く声も聞こえてくる。カーのいうユートピアニズムの欺瞞をリアリズムが突き崩す格好である。「危機の二十年」の再来か、たしかに、そうした現実に目をつむるべきではない。
しかし、そうしたリアリズムのみの追求が行きつく先も、やはり不毛な世界であることに変わりはない。
「健全な政治思考および健全な政治生活は、ユートピアとリアリティがともに存するところにのみその姿を現す」。

そういう意味においても、ケニア大使の、アフリカの歩んできた歴史を背景に語る言葉は、あまりにも重い。そして同時に、「争いをなくす方法」について、アフリカの歩みにはもっと学ぶべきことがあるのではないかと、はたと気づかされる。

状況は日を追うごとに険しくなっていくばかりだが、これ以上人の血が流されることがないよう、祈るしかない。私は私の仕事をする。

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ケニアの国連大使の発言について抜粋されたツイートが見つかったので貼っておきます
https://twitter.com/spreadarms/status/1496066845966848002?s=20&t=Mt8lFfBXRpHsuXZAQAv6Yg

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