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賃上げの光と影 - あるベテラン管理職の告白

賃上げの裏側

 2024年、全国の企業で賃上げの波が押し寄せた。特に若者の人材確保を目的としたこの動きは、多くの企業で歓迎された一方で、ベテラン社員たちには別の感情を呼び起こしていた。その中の一人、60代の管理職であるK氏(仮名)の声を通して、賃上げの裏側に隠された現実を探る。

2024年、賃上げと物価高がはじまる

長年の奉仕と報われない努力

ある定年前の管理職の方が、気持ち良く会社を去りたかったとおっしゃっていたのが悲しく感じ取られた。

「30年間、私はこの会社のために尽力してきました。賃上げは一度もなかった。それでも、私たちは耐え続けました。内部留保だけが増えていく中で、我々の努力は報われなかった。」

 K氏は、経済が不安定な時代にもかかわらず、一貫して会社に忠誠を尽くしてきた。しかし、その報酬は期待外れだった。毎日のように早朝から深夜まで働き、家族との時間を犠牲にしてきた彼にとって、賃上げのニュースは複雑な感情を呼び起こした。

(K氏いわく、それでも当時は楽しかったと、、、。多少の理不尽なことがあっても給料が上がらなくとも、当時の上司には人情があったと。何かを成し遂げた後、飲みに連れて行ってもらったり、その場で褒められたりと熱い何かがあったと。)


個室での冷酷な真実

 K氏が今度の新しい経営者から個室に呼ばれたのは、ある日の午後だった。その役員から告げられた言葉は、彼の心に深い傷を残した。

本音を言うと、50歳以上の人間に期待なんかしていないのだよ、、、

 「今年、うちの会社は大幅に賃上げを実施した。皆んな喜んでいるだろ? 俺の本音を言うと実はもう年寄りには去ってほしいのだ。年寄りはチャットGPTも使えないしDX化にもついていけないだろ? はっきり言うと若い人に向けての賃上げなんだよ。人材確保が目的だ! 分かるだろ??? 何をやってんのか分からない管理職も必要ないね、あなた(K氏)は今までこの会社で続けてこられてラッキーでしたね。」

 その瞬間、K氏は笑いながらも何のためにこの会社に尽力してきたのかを問い直した。長年の努力が否定されたような気持ちになり、虚しさが心を覆った。今でも俺は頑張っているのに、、、


若者への不安と懸念

この流れは今後大きな課題を残すでろう、、、この経営者では。

 しかし、K氏は自分自身の感情だけに囚われていなかった。彼は今の若者たちの未来についても深い懸念を抱いていた。

 「こんな経営者の下で、今の若者も幸せに働けるのか心配です。今の若者が年寄りになった時、簡単に切り捨て、お前はいらないと言われるのではないかと思います。」

 K氏は、自分が経験したことが将来の若者にも起こるのではないかという恐れを抱いていた。若者たちが会社や経営者を信用せず、何か問題があればすぐに辞めてしまうという現象が、すでに始まっていると感じている。
 つい最近も、「えっ、この間入ったばっかりじゃないか」と驚いたことを思い出す。結構、頻繁に起こっているのだ。
 今の若者はクールに会社の対応や経営者の表面上の口先だけの発言を汲み取っているのだ。


経営者の盲点

人気取りの発言ばかりする経営者では、この会社の発展も望めないなぁと。

 K氏いわく「この実情自体を会社の経営者は気づいていないのではないでしょうか?」この言葉は、経営者が現場の声をどれだけ理解していないかを物語っている。数字やデータに基づいた意思決定が優先される中で、従業員の声が埋もれてしまう現実がある。若者への人気取りにいそしむ経営者は、本音の部分を汲み取れていないのである。


企業の姿勢と疑念

 ここで、日本企業の賃上げについての考察を加えたい。多くの企業が賃上げを実施した背景には、若者の人材確保や競争力の維持という目的があるとされている。しかし、その裏にはさまざまな疑念も渦巻いている。

今こそ本当の起業姿勢を見せる時だと感じるしチャンスのはずだ。

「日本企業は本当に賃上げをできなかったのか?」 多くのベテラン社員や経済評論家からは、長年に渡って企業が内部留保を蓄積し、給与を抑える方針を取ってきたことが指摘されてきた。賃上げが実施されなかった理由には、経営者の見通しや経済状況、そして意図的な利益最大化のための選択が含まれていた可能性がある。

 また、「まわりの企業が賃上げをするから、人材確保等でなく流行のごとく賃上げをしているのではないか」という疑念もある。競争が激化する中で、企業はただ賃上げを行うことで「人気企業」のイメージを保ち、若者層の採用競争に勝ち残ろうとしているのではないか、との見方もある。


若者の視点と結論

 若手社員たちは、賃上げに対してどのように感じているのか。彼らの声を聞いてみると、期待と不安が交錯していることが分かる。

 ある若者に聞いた。「賃上げは嬉しいですが、会社が本当に私たちのことを考えているのか疑問です。何かあればすぐに見切りをつけるつもりです。」

 この若手社員の声は、K氏の懸念が的中していることを示している。若者たちは、賃上げという表面的な措置だけでなく、会社全体の姿勢や経営者の真意に疑問を持っているのだ。


経営者へのメッセージ

 K氏は、最後に控えめながらも経営者に向けてメッセージを送る。「私は定年延長もうすぐ終了ですが、最後の最後に愛社精神が薄れてしまいそうです。それでも、若者がこの会社で幸せに働ける未来を望んでいます。経営者には、従業員の声をもっと聞いてほしい。若者たちが安心して働ける環境を作ってほしいのです。」

老兵は去るがごとしか。。。

 彼の言葉は、個人の不満を超えた、会社全体、いや社会全体の未来を見据えたものである。ベテラン社員の経験と知恵を活かしながら、若者たちが安心して働ける職場環境を作ることが、企業の持続的な成長に不可欠だと強調したい。

すでに企業は人件費アップで経営が苦しいと言い始めている

 春闘等が終わり、またまた企業は人件費の高騰などを言い出しています。今年度は賃上げしたことを自慢げに話している経営者がいる。その経営者は人件費がかなり上がってきたので企業の収益を圧迫しているといいます。「このままだと来年は賃上げは○◯以上の利益を上げないと無理だ。」ともう言い初めています。

 社員にハッパをかけるのはもちろん当たり前ですが、国も政策を上げていろんな企業に賃上げを要求しているが、こんな経営者の話を聞いていると今後ずっと賃金がアップするとは思えないのが私の本心です。
 このことは従業員も気づいていることでしょう。またまた内部留保を確保していくのでしょうか?もういい加減に内部留保ばかり考えるのではなく将来の発展を考える企業体質に変わった方が良いのではないでしょうか?これが将来の若者への心理的安全性にもつながると思うのですが…。

(終わり)

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