社会課題の解決のプロセスは「たのしい」

最近「社会課題の解決」という言葉をよく耳にするようになりました。みなさんはこれを聞いて、どんな印象を持つでしょうか。「正しい」「難しい」「かっこいい」「善い」...といったところでしょうか。

これらはきっとすごく合っていると思うのですが、今日はここに「たのしい」をくわえたいな、というお話です。


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僕は、「行動科学でより良い社会をつくる ソーシャルマーケティングによる社会課題の解決」の著者瓜生原葉子先生のゼミで2年半活動し、学生ながら、臓器提供意思表示率の向上という社会課題の解決に取り組みました。

今回の書籍のタイトルにもなっている、ソーシャルマーケティングという手法を用いて、人々の意識や行動を変えていこう、というものです。(これを説明しはじめるとキリがないので今日は割愛させてください🙇‍♂️)

いま思えば稚拙なところも多々あるのですが、仮説を立て、たくさんの企画をし、その結果を検証する、を何度も何度も繰り返しました。何度も何度も、です。
このプロセスはいわゆる「泥臭い」もので、もちろん誰もできていないことをやろうとするわけなので、とても「難しい」ものです。

20人あまりの大学生が1日中臓器提供や意思表示のことを考えていたわけで、周囲からみるとそれはもう奇妙な光景だったと思います。

1番印象に残っている企画は、今から約4年半前、2016年10月16日。

大学で1番大きなホールに、433人もの人が集まって開催したイベントで、参加者全員で「臓器提供の意思表示」について学び、考え、ついでにギネス世界記録™️をつくりました。そのまたついでにちびっこたちの家族を想う絵を展示して、あとおまけに、大学生に家族に向けた3行レターを書いてもらいました。

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何度考えてもカオスこの上ないこの企画ですが、僕たちは本当に真剣に、どんなイベントにすれば、どんな情報や知識をお伝えすれば、人々の関心が向くか、意識が変わるか、行動につながるかを考えていました。

当初の僕たちと同じように、臓器提供や意思表示という言葉にほとんど馴染みのないような人たちが433人も集まってくれて、同時に臓器提供や意思表示について考える。その場で意思表示をしてくださった方もたくさんいらっしゃいました。

これちなみに、日曜日のお昼間です。10月なのに半袖でギリギリ大丈夫なくらいの晴れの日でした。その大切な時間を、馴染みのない「意思表示」に使ってくれたんです。

つまり結果は大成功!でした。集客やギネス世界記録™️の達成にくわえて、今後の活動につながる多くのリサーチ結果も得ることができました。

ただ、今日はそれよりも伝えたいことがあって、それは僕たちは、準備〜本番〜終わってからの成果発表まで、このプロセスがたのしくてたのしくて仕方なかったということです。

医療になんてなんの興味もなかった大学生、当時21歳。毎日ずっと臓器提供や意思表示のことを考えていたのですが、その時間がたのしくたのしくて仕方なかったんです。

尊敬する先生がいて、大好きな仲間がいて、それぞれが持つ得意も不得意もつかえるものは全部使って。一生懸命に考えた企画のもとに毎日少しずつ理解者が増えていって、いろんな大人たちが僕たちに協力してくれて。

例えば、新聞社に取材や後援をもらうために説明をしにいったり、小学校や幼稚園に協力をお願いしにいったり、会場の管理をしている方に当日のいろんなトラブルに備えて相談をしたり、京都府の職員さんにも多くのご協力をいただきました。

イベントの事前予約数は、10月16日が近づくにつれ少しづつ増えていき、ついには300人をこえていました。

研究室のホワイトボードに書いては消してを繰り返していたことが、いつのまにか大学をとびでて、街に広がっていくような感覚でした。

僕がこのとき感じていたたのしさの正体は、

仲間と、
考えに考えに、
そして社会とつながる

たのしさだったのだと思います。

このたのしさというのは、何もこのイベントだからとか、このゼミだから感じられたわけではなくて、多くの社会課題解決のプロセスの中で、感じることができる、大切な感覚だと思います。

どんな課題であっても、解決を目指すときには、仲間がいて、考えに考えて、そして少しずつ社会とつながっていく、のだと思うからです。

僕たちはどうしても、「社会課題の解決」というと「正しく」て、「かっこいい」「善い」ことだけれど、とても「難しい」ことだから、どこか手が届かないような、自分がやることではないような、そういった類のものだと感じてしまいます。

もちろん、社会の課題を解決するというのは、とても難しいことだろうし、結果がでなければあまり意味のないような気もしてしまいます。(結果のでない活動は、自己満足とまで言われたりもします。)

でも僕は、このプロセスは「たのしく」ていいと思うんです。というか「たのしく」ないとやってられない。そのプロセスは途方もなく長くて、なかなか報われないから。

だからぜひ、「社会課題の解決」とやらに取り組むことを、たのしむ勇気を持ってほしいと思います。そして、たのしいことだから、ぜひみんなでやりたい!と思います。

SDGsが毎日タイムラインに流れてくるいまだからこそ、それを「たのしい」ものと思う人がすこしでも増えたらいいな、と思います。

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