どうしても生きてる 朝井リョウ

本日紹介するのは、朝井リョウさんのこちらの短編小説集です。

『歩き続けるのは前に進みたいからではない。
ただ止まれないから。それだけなのに。デビューから10年 。
進化し続ける著者の最高到達点。』 という紹介文が付けられています。
本作は6部の短編小説となっています。

①『健やかな論理』
死んでしまいたい、と思うとき、そこに明確な理由はない。心は答え合わせなどできない。
ネットで話題になった人のSNSのアカウントを探し出すのが得意なバツイチOLさんのお話し。

②『流転』
家庭、仕事、夢、過去、現在、未来。どこに向かって立てば、生きることに対して後ろめたくなくいられるのだろう。

③『七分二十四秒目へ』
あなたが見下してバカにしているものが、私の命を引き延ばしている。

④『風が吹いたとて』
社会は変わるべきだけど、今の生活は変えられない。だから考えることをやめました。

『そんなの痛いに決まってる』
尊敬する上司のSM動画が流出した。本当の痛みの在り処が映されているような気がした。

⑥『籤(くじ)』
性別、容姿、家庭環境。生まれたときに引かされる籤は、どんな枝にも結べない。
  (本文見出しより)

朝井リョウさんと言えば、
人間であれば誰もが持っている暗い気持ちや考えを読者に「うんうん」と思わせることができる繊細な作家さんという印象です。
行間の登場人物の感情を読み取る練習がしたい人には向いてると思います。

この2作品は特にオススメです。しかし結構思い話なので、覚悟して読んで欲しいです。

以上です。

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