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春眠と執着

「春眠暁を覚えず」
中国唐時代、孟浩然が40歳のときにつくった五言絶句の漢詩、「春暁」の冒頭。
現代日本では春は心地よくて寝過ごしちゃうよねという意味で用いられることが多い。

実際は40歳で科挙という試験に落ちて、役人になれなかったため、暁(当時の午前3時)の時間でも寝ている=役人になれず思った人生を歩めなかったという報われない思いがこめられた一文だそう。
後世優れた詩人として名を残している人物はことごとく科挙に落ちているそうなので、文才というのは唐の役人に求められる能力ではなかったのかもしれない。

思い通りにいくことって、実際はそんなに多くない。
あれもこれもそれもどれも…どうかすると自分でコントロールできないことばかり。
この自分ではコントロールできないことこそ手放すというのが無執着の境地といわれる。
コントロールできないことは手放し、コントロールできることには思い切り執着したらいいのだと、逆説的に思うことで執着してしまう自分も許せたらと思う。

変化の季節、春眠は暁を覚えないかもしれないし覚えるかもしれない。
どちらの自分も、身体を羅針盤にして春風をつかみ、いきたい世界にいけるように。
孟浩然の切ない思いを昇華する気持ちで解釈をしてみました。

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