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【1章公開】本を書きました!『「考える」考えかた ~個人にもチームにも効く思考プロセス~』

2020/07/05

こちらの同人誌は商業版を出版しました。商業版の中身は同人誌版をパワーアップさせた内容です。下記の同人誌版の一章を読んで、商業版に興味がわいた方は👇のリンクからお手にとっていただけると嬉しいです!

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2020年2月に新刊を出しました!
この記事にて購入先の紹介と本文の1章までを公開します!!

本のタイトルは、『「考える」考えかた ~個人にもチームにも効く思考プロセス~』です。ロジカル・シンキング、問題解決、アイデア発想法など、世の中には古今東西様々な「考える」方法を記した書籍があります。本書では、著者がそれらの書籍やワークショップデザイン、ファシリテーションの実戦経験から学んだことを統合し、3つのプロセスにまとめました。

①考える枠を決める
②課題を特定する
③解法を特定する

加えて、チーム設計師として数十の様々なチーム作りを支援した経験から、チームにおける「考える」ポイントを整理しました。仕事でも日常生活でも、個人でもチームでも、考える事に対して少しでも問題意識のある方には本書で解説する「考える」考えかたが役に立つかもしれません。

以下に本文の1章までを公開します。先が気になった方はぜひBoothのリンクからお買い求めください!

本書が様々な人や現場の「考える」ことに役立つよう願っています。

はじめに

 正直に言うと、本書『「考える」考えかた』は僕自信のために書いた本です。ですが、僕のように「考える」ことに悩んでいる方には何らかの助けになるかもしれない、そう思い形にすることにしました。

 僕はチーム設計師と名乗り、自社他社問わず、様々なチームの活動を円滑にするための支援を生業としています。その支援活動の中には会議のファシリテーションやワークショップの設計・実施といったものも含まれています。誤解を恐れずに言えば、チームで「考える」事に対してそれなりの経験と力があると思っていました。その自信があっさりと打ち砕かれる経験をしたことが「考える」ことを考えるきっかけとなりました。詳細は本文にて紹介しますが、その経験によって「考える」というのはどういうことなのかが分からなくなってしまいました。自信喪失状態です。

 ○○シンキング、問題解決、アイデア発想法など、世の中には様々な「考える」方法を記した本があります。僕は「考える」ことが分からない状態を抜け出すため、これらの本を読み、今までの実践経験から学んだことをふりかえり、さらなる実践を重ねました。その経験で得た実践知とチームで「考える」ためのポイントを体系的にまとめたのが本書です。

 僕の「考える」考えかたが自分の現場だけではなく、他の現場でも「考える」手助けになることを祈っています。

2020年2月
渡部 啓太

本書の構成

 本書では、まず1章の『そもそも「考える」ってなんだろう?』で「考える」とはどういうことか、僕の考えを述べます。その次に2~4章で以下の「考える」考えかたの3ステップをそれぞれ解説します

【考える3ステップ】
・ 考える枠を決める
・ 課題を特定する
・ 解法を特定する

 その後、5章ではチームで「考える」ために特に気をつけるべき事について、6章では「考える」考えかたの実践例を紹介します。実際の現場ですぐに使えるような内容になっているので、ぜひご自身の現場でもお試しください。

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目次

はじめに
本書の構成
1.そもそも「考える」って何だろう?
 「考える」こと、していますか?
 「お昼休憩を何分とるのか?」が決められない
 あらためて「考える」とは何か
 チームで「考える」とは?
 個人で、チームで「考える」には
2.考える枠を決める
 考える枠を決めるということ
 考える枠を決める考えかた
 考える枠を決める手法
 SMART
 5W1H
 声に出す
 選択基準を決める
 OARR
3.課題を特定する
 課題を特定するということ
 事実の発散をする考えかた
 事実の収束をする考えかた
 課題を特定する手法
 ビジネス・フレームワーク
 Timeline
 因果関係図
 グルーピング
 マトリクス
4.解法を特定する
 解法を特定するということ
 打ち手の発散をする考えかた
 打ち手の収束をする考えかた
 解法を特定する手法
 グルーピング
 ボックスチャレンジ
 IDEALOGUE
 選択基準
 マトリクス
 投票
5.チームで「考える」ために気をつけること
 話しているステップの違い
 視点の違い
6.「考える」実践例
 チームでのふりかえり
 アイデア出しワークショップ
 「普通」の会議
おわりに
参考文献

1.そもそも「考える」って何だろう? 

 「考える」考えかたを説明する前に、まずは「考える」ということがどういう事なのかを僕の経験を例にあらためて考えてみます。

「考える」こと、していますか?

 さて、みなさんは「考える」ということをしているでしょうか? 仕事でも日常生活でも考えることはたくさんあります。仕事であれば、例えば企画書を作って上司にプレゼンテーションをするだとか、チームで集まって問題を解決するというシーンで「考える」ことをしているのではないかと思います。日常生活では次に買う家電を選んだり、家族で外食をするお店を選んだりする時に「考える」ということをしているでしょう。

 もちろん僕の生活においても考えることはたくさんあります。どうすればチームが良くなるだろうか? チームみんなが気持ちよく働くために出来ることは何だろうか? 僕はこれまで自信をもって「考える」ということをしている、そう思っていました。しかし、それが崩れてしまう体験をしたのです。いくら考えても「お昼休憩を何分とるのか?」が決められなかったのです。それが「考える」ことを考える、本書を書くきっかけとなりました。

「 お昼休憩を何分とるのか?」が決められない 

 もう1つ質問です。どんなシチュエーションでもいいのですが、自分の意見が通らなかったときにどう感じたかおぼえていますか? 先ほどの例だと、企画書が却下された、自分の出した課題解決案が採用されなかった、自分の行きたいお店に行けなかった、そういった経験は少なからずあるのではないでしょうか。僕は、少し考えが至らなかったな、観点が足りなかったなとしか思っていませんでした。

 ただ、「お昼休憩を何分とるのか?」が決められなかった時は戦慄をおぼえました。これは認定スクラムマスターのトレーニングを受けている際に経験したことです。(補足:あまり本書の内容とは関係ないので詳細は省きますが、スクラムマスターとは、変化に強いチームを作るための「スクラム」というプロセスフレームワークをうまく回すための役割のことを言います)

 三日間のトレーニングには30名の参加者がいました。毎日、お昼にはお弁当が出るのですが、1日目のお昼にトレーナーから「お昼休憩を何分取るのかを論理的根拠をもって決めて下さい」という課題を出されました。この「論理的根拠」というのが難しく、「会社ではいつも1時間だから1時間」、「一番休憩を長くとりたい人の時間に合わせる」、「まずは1時間とってアンケートをとる」などいろいろな案が出たのですが「これだ」という案が出ずに数時間経ちました。

 結局、みんなの集中力が切れたときにトレーナーから出た「まずは食べる、食べ終わったらまた考える」という意見が採用され、お弁当を食べることとなりました。それ以降も様々な意見が出ては決められないということが続きます。次の図は、延々と案が出続けたときのホワイトボードの様子です。「お昼ご飯を食べた後のテーマを何にするか」も決めることが出来ませんでした。

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「論理的根拠をもって」という制限があったにせよ、大の大人が30人集まっているにもかかわらず、お昼休憩の時間という簡単に決まりそうなことが決まりませんでした。何も決められない僕たちに対してトレーナーが言った「それでちゃんと考えているんですか? 考えるふりをしているだけなのではないですか?」という言葉に胸をえぐられるような思いでした。普段からいかに「考える」ことをしていなかったのかを思い知らされました。

あらためて「考える」とは何か

 僕ができなかった「考える」という言葉を辞書で調べてみると、このように書かれています。

①実情を調べただす。吟味する。
②糺明して罪する。勘当する。
③思考をめぐらす。あれこれと思量し、事を明らかにする。思案する。
④易などによって事を判断する。
⑤学ぶ、学習する。
広辞苑 第五版より

 実にいろいろなニュアンスの「考える」がありますね。注意深く見てみると、これらは総じて「まずは広く構えて、そこから絞り込む」ことをしていると捉えられます。

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 もしブレインストーミングなど何かしらのアイデア出しワークショップを体験したことがある方は「発散と収束」という言葉を聞いたことがあると思います。この発散と収束を行うことが「考える」ということなのです。発散と収束をすることが「考える」ことだ、という僕の解釈をふまえ、前述した仕事や日常生活、「お昼ご飯の時間」の例において、意見が通らないのはなぜなのかを考えてみましょう。

 逆の立場、つまり意見を通す側に立って考えてみると、相手の意見を採用するときには「話におかしなところはないか」、「納得感があるか」、「自分の欲求にマッチしているか」ということを吟味するのではないでしょうか。つまり意見が通るには、相手が 「なるほど」 と納得できるような話の筋道をたてて話をすることが必要なのです。筋道が立っているというのは、自分の意見に矛盾や曖昧さがなく、全ての要素が論理的に繋がっている状態のことを指します。

 筋道を立てた話をするには、様々な情報を集め、取捨選択し(情報の発散と収束)、アイデア出しをして結論を導く(打ち手の発散と収束)ことが必要です。発散と収束が「考える」ことだとすると、この2つの発散と収束により、「考える」ことをした結果がまさしくその筋道となるのです。「お昼ご飯の時間」が決められなかったその時、僕たちは「考える」ことができていなかったのです。

チームで「考える」とは?

■我々はチームでも「考える」ことをしていない
 我々の生活において、集団で何かをしていることが多いのではないのでしょうか?仕事にせよ、スポーツにせよ、我々は複数人でチームを組み、目標に向かって日々励んでいます。家族もチームとして捉えても良いかもしれませんね。そんなチームにおいても「考える」という事ができていないケースが多くあるように見受けられます。

 1つは、メンバーそれぞれが「考える」ことができていないケース。前述の「お昼ご飯の時間決め」もこのケースに当てはまります。もう1つは一人の意見がそのまま通ってしまうケースです。他のメンバーが誰一人として関心がない、あるいは意見を言ってもしかたがないという空気になり、一人の意見がそのまま通るという場面に心あたりのある方は多いのではないでしょうか。もちろん、その一人の言っていることが良い意見だと言うこともあるかと思いますが、大抵はチームで「考える」ことができていない結果だと思います。これは、はたして健全な状態といえるのでしょうか?

■なぜチームで「考える」事が必要なのか?
 チームにおいても「考える」ということは極めて大事です。チームで活動するということは、決めることが大量にかつ頻繁にあるためです。その度に「考える」ことをしていない、場当たり的な決断をしてしまうと、どんどん悪い方向にチームが進んでしまうことが容易に想像できます。

例えば何かしらの問題が発生し、対応策を検討するミーティングを開催するとします。その際には決定することがこんなにあります。 
・ 何日の何時から何時までミーティングを行うのか?
・ 適切な参加者は誰か?
・ どう解決策を導くのか?
・ 事前準備は必要か?
・ どのプロセスで問題が起こったのか?
・ 問題が起こった原因は何か?
・ 問題を解消するための施策は何か?
・ 対応策は誰がいつまでに何を行うのか?

 ミーティングをひとつ開催するだけでこんなに決めることがあるのです。その1つ1つの決定事項に対し、「考える」ことができていないとしたら、無意味な会議になることは明白です。「実は関係者を呼んでいなかったので対応策を実行するかどうかの判断ができない」、「なぜ会議に呼ばれているのか分からないので内職をしている」、「問題解決に寄与しないムダな発言を繰り返す」、「ただの批判をする会になっている」、そんな無意味な会議は必要ありません。

 チームは様々なスキルや特性、視座、視点を持ち寄って共通する目的を達成するために形成されます。その1人1人の力と知恵を集めるためにチームで「考える」ことをしなければならないのです。

個人で、チームで「考える」には

 前述のとおり、「考える」ことは情報と打ち手のそれぞれに対する計2つの発散と収束が必要です。しかし、やみくもに発散させてしまっても収集がつかなくなってしまいます。なので、発散と収束に加えて、考えるための枠を定める必要があります。これが「考える」考えかたです。

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 以後の章ではこの枠決めと2つの発散と収束についての考えかたを解説します。また、チームで「考える」際に気をつけるポイントと「考える」ことを実際に行った例も紹介します。

 本書がみなさんの現場での「考える」ヒントになると嬉しいです。

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■Booth リンク


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