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いざ入院(聴神経腫瘍開頭手術・入院1日目)

(この話の続きです)

入院は月曜日。子どもたちを見送り、荷物を詰め込んで病院に向かう。

事前にもらった「入院のごあんない」は穴が開くほど読んだ。家電のマニュアルも隅々まで読み込むタイプである。大事なのは、スマホやパソコンが病室で使えるかどうか、くらいだったが一通り理解した。

入院は出産のとき以来だ。帝王切開だったのでお腹が切れている状態の痛みは知っているが、頭を切ったときの痛みは想像もできない。そもそもどこに痛みを感じるものなのだろうか?

10時に病院へ。「患者サポートセンター」で入院受付をするのだが、入院待ち患者と付き添いでいっぱいだった。その場で30分程度待つ。

様々な書類を提出し、病棟へ。

脳神経外科の病棟は6人部屋だ。しかし、満室ではなかった。むしろ、人が少ないように思えた。

なんとなく、脳梗塞とかくも膜下出血なんかの人はたくさんいるだろうから患者さんも多いのだろうと思っていたら、それは「脳神経内科」なのだそうだ。(そちらの病棟は人がいっぱいいた)

つまり、脳神経外科の入院患者は、脳内になんらかの腫瘍を持っている人が中心だ。私のように開頭手術をする人もいれば、ガンマナイフで放射線治療をする人もいる。後者の方が多かったようで、だいたいみんな3日程度で退院してしまう。

私の場合、開頭手術という重大手術ではあるものの、腫瘍自体は良性だ。一方、悪性腫瘍でガンマナイフを使用するケースもあり、入院期間と状態の重さは比例しない。

入院自体はまあまあ長いと分かっていたので、可能なら窓際のベッドがいいです、と希望を伝えていたら、そのとおりになった。

ベッドで横になると、ここからはもうひたすら待ちの姿勢になる。担当する看護師さんや医師が、忘れたころにやってくる。「入院診療計画書」にサインをし、あとはそれを眺めているだけの時間となる。

「神経脱落症状」という症状だったのか、とこのときに知る

手術前日は、意外と院内のあちこちに行かされる。検査と、手術の説明を医師や看護師から受けて回らなくてはならないためだ。

まず、CT検査だ。これはまあ、いつも通り。
そこから、麻酔科の診察へ。

読むだけでどきどきする説明書


その日、私は会う人会う人に「手術、つらいですかねえ」と尋ねてみることにした。医療関係者が「つらい」と言えば、それは相当やばいのだろう、と思ったからだ。

麻酔科の医師の診察は問題なく終わる。
「つらいですかねえ」
「そうだねえ、長いからねえ」

次は、手術室の看護師から説明を受ける。
手術中にかなり辛い姿勢で固定されるので、その痛みがあるかもしれないと言う。

つらい姿勢というのは、うつ伏せで首をややひねったまま、腕や体も変な方向にひねった状態。そして、この姿勢を手術の間ずっと取ることになる。聴神経腫瘍の手術は6時間はざらで、半日がかりになることもある。そんな姿勢で固定したときの痛みが全然想像つかないのだけれど……。
「つらいですかねえ」
「あー、けっこう痛いかな」

そのあと、ICUの看護師からも説明を受ける。手術直後から翌日まではICUで絶対安静となる。
ICUの看護師は、なんだかはつらつとしている。明るい。なんでだろ。
「つらいですかねえ」
「つらいですが、翌日には病棟に帰れますよ!」

夕方には、主治医が病床まで見に来てくれた。
いつもニコニコしている先生だが、その日もニコニコしていた。
長くて痛くて大変な目に遭うことはよくわかったけれど、その長い手術をこなす医師って、精神力も体力もすごいな。

病院のごはんは驚くほどおいしくなかった。




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