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私達は遠かったから近くなれた

「もし、私達が同じ高校で同じクラスだったら、
きっと互いに恋人になんてならなかったと思う」

それどころか、寧ろ近寄り難くて、
苦手なタイプだったかも。
卒業アルバムの片隅で、
こんな奴いたなあって言われてたかも。

お互い、妙に納得出来た。
遠くにいたから好きになれて、恋人になれて、婚約中だ。

私達の出会いは、Twitterだった。
高校1年の冬、今はサ終したソシャゲがきっかけで交流を持つようになった。
彼のことは、話も面白く、彼の絵やアイディアも興味深く、好ましく思っていた。なんとなく、リプライが来ると嬉しい人の1人だった。
きっかけは、私が持病について話をしたことだった。
何でも相談して、みたいな、そんな何処にでもあるような曖昧な言葉を、私は素直に信じて話を振った。
女の勘なのかは分からないけど、この人なら大丈夫だと不思議と信用していた。

それから言葉を深めて、私達は恋人になった。
声も顔も名前も何も知らなかったけど、それでも互いに好きになってしまった。

月日が経つ事に、彼の色々なことを知った。
穏やかで少し高めの声をしていること。
素敵な名前をもらっていたこと。
眼鏡をかけて、無愛想っぽいけど、
優しい顔をしていたこと。

私が彼を知るように、彼も私を知っていった。
全てが全て、すんなりと受け入れられるものばかりではなかった。特に顔については、直ぐに受け入れては貰えなかったのが、本当に傷ついたのをよく覚えている。私がもっとクラスの美人だとか、そんなんだったら、良かったなあって何度も思った。

私も正直、戸惑うことはあったけど、それでも、なんか愛おしく思えたのになあ……なんて。

私はクラスの中でも割と浮いている部類だった。自分が好きな服の系統、考え方などがちょっと周りと違うだけ。異性ウケより自分ウケだったので、陽キャからは後ろ指を刺されていたことが多かった。確かにあまり近寄りたくない部類の人だったんだろうなあ、と思った。
だから、高校で好きな人なんて出来なかった。
リアルから入る恋は向いてなかった。
外で嫌われてしまえば、中身は見てもらえないのが現実だ。

けれど、ネットの向こう側にいる彼は私を好きだと言ってくれた。私のことを内面から知ってくれたからかもしれない。最初は受け入れ難かったことも、段々と受け入れてくれた。恋愛をするようになって、互いに成長していけて、今となっては私の全部が好きだと言ってくれるようになった。私も、今となっては彼氏の全てが好きだと、私の彼氏世界一カッコイイぞって、特別な存在だってネットの波に言葉を流せるようになった。

2年半経って、ようやく会えるようになった。
互いに無事大学生になり、自由が効くようになったからだ。

去年の秋、初めて彼氏の手を繋いだ。
温かくて、私よりも細くて長くて綺麗で、そして骨ばって大きくて、誰よりも優しい手だった。
そしてこの時を境に、ネット恋愛から北と西の遠距離恋愛に変わったと思っている。
年1で会える織姫と彦星を羨んでいた私達は、半年に1回に会えるようになった。

そんな恋愛を、彼氏は「世界一ドラマチックな恋愛」だと言った。私の事を秘密にしたがっていた彼氏が、遂にLINEのステメにそう書いたのだ。

私もめちゃくちゃ同意して、コピペした。

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