濃い顔に憧れた平たい顔族の青春
今となっては、「東アジア代表」みたいな顔であることを恥じることは全くないのだが、若い頃は欧米人のような濃い顔に憧れた。
高校の同級生Yは彫りの深い顔をしていて、背は高くないのだが面白い奴でもあったから女子にモテた。
僕らのクラスは普通科ではなく、女子の人数が男子より大分多い変わったクラスだったので、彼のモテっぷりは際立って見えた。
もう一人の友人Tの「Yが〇〇くらい身長あったらモデルになれるよなー」という言葉に僕は深く傷つく、そんな劣等感丸出しな日々を過ごしていた。
卒業後も仲が良かったYと外国を旅していると、彼はどこの国の人とも言われないのだが、僕はよく現地の人に、大国や隣国の人と間違われた。
宿に帰り、一服しながら溜め息をつく。するとYはすぐに僕の気持ちを察して声をかけてくれる。
「日本人と思われなかったからって落ち込むことないだろ。青い目の女がお前を見たら、『東洋の神秘』って言うぜ」
単純な僕は、簡単に慰められた。
こないだテレビを観ていると、ある言葉に出会った。聞いた瞬間その通りだなと思った。そして当時親友に、いとも簡単に手の平で転がされていたお馬鹿な自分に教えてやりたいと、十何年も前のことが凄く恥ずかしくて苦笑した。
「神秘と感じるのはただの情報不足」
平たい顔族万歳!!
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