見出し画像

クラブ日記(2023年8~9月)①

最近はクラブイベントに足繁く通っているので、身体が記憶していること、明け方の電車で考えたことなどを記しておこうと思います。


ANTS HOUSE - 8/5 @Spotify O-EAST
ANTS HOUSE 外伝 - 8/12 @CIRCUS Tokyo

ずっと楽しみに待っていたANTS HOUSE。翌日に予定が入っていたことを忘れていて、急きょオールナイトは断念したものの、翌週に追加開催された「外伝」はしっかり朝まで楽しんだ。

ANTS HOUSEの中でも特に最高だったのは、Cami Layé Okúnのヴァイナルセット。アフリカ・南米のダンスフロアの熱気が円盤に閉じ込められて日本までやってきたかのようで、彼女のレコードさばきにフラメンコ舞踊的な優雅さがあったのも印象的だった。あまりに良かったので、今は彼女がホストを務めるNTS Radioの番組を大事に聴き進めている(ここでは主にファンキーなアフロ・キューバン音楽がセレクトされている)。

SONICMANIA - 8/18 @幕張メッセ

今年は本編のSUMMER SONIC以上にラインナップが魅力的だったSONICMANIAに行くことに。

Grimes (DJ Set)→ずっと真夜中でいいのに。→Ali Shaheed Muhammad (A Tribe Called Quest) [DJ Set]→James Blake→Mura Masa(途中まで)と、フェス特有の移動を伴ったつまみ食いはさほど行わず、Sonic Stage前方でみっちり踊った後、Mountain Stageで数時間轟音を浴びて朝焼けの幕張を後にした。

Sonic Stageは、タイムテーブルに影響を受けたオーディエンスの混ざり具合がフェスならではだった。GrimesとAli Shaheed MuhammadのDJセット時には、出演順が次の国内アーティストを前方で観るために待機している人たちが一定数いて、一部アウェーな雰囲気も感じられた(DJセットはどちらも最高だったが)。

しかし、この日のハイライトは何といってもJames Blake。深夜1時半頃のMoutain Stageにはかなりの人が押し寄せていて、久しぶりの日本公演への期待が会場全体に広がっていた。そんな中始まったステージは、ドラム・ギター・キーボード&ヴォーカルのミニマルな3人編成から生み出される轟音とグルーヴ。James Blakeの美しい歌声と鍵盤の響きは、丑三つ時の自分の細胞と何かしらヤバい化学反応が起きていた気がする。余白の美しさも存分に際立った極上のステージだった。

High End - 9/1 @ZEROTOKYO

金曜日の仕事終わりにスーツから私服に着替えて街へ繰り出す楽しさに最近気づいてしまったので、この日は公開初日の『アステロイド・シティ』を映画館で観て、つけ麺でお腹を満たしてから、金曜夜をさらに拡張すべく歌舞伎町へと向かった。

今年新宿にオープンしたばかりのナイトクラブ・ZEROTOKYO。「クラブ」と聞いて何となくイメージする場所(煌びやかなネオンの装飾、「音楽を聴く」ことはあくまで副次的要素である人たち、フロア内のVIPラウンジ等々)に行ったのはこれが初めてで、大体の場所には一人で行けてしまう自分でも流石にひるんでしまった。

この日の目当てはTuxedoのDJセット。前述の雰囲気にのまれてしまい、「自分の居場所はここにはないかもしれない…」と思いつつあったのだが、彼らのステージはそんな不安をかき消してくれた。往年のディスコ・クラシックに彼らの楽曲をミックスしながら、フロアのオーディエンスが持つ様々な属性を、シンプルなグルーヴによって一瞬にして無効化してくれた。

Tuxedoのステージが終わると、そのままtofubeatsとokadadaのB2Bへ。すると、「今までどこにいたんだ?」と思うくらい自分にとって安心する雰囲気の人たちがフロアへと集まってきた。明け方にはしっかりフィリー・ソウル数曲で締めて大団円。気づけば休まずノンストップで踊り続けた一日だった。

終盤、近くに一人で楽しそうに聴いている、自分と同年齢くらいの女性がいたのだが、途中で「音楽好き」なおっさんがやってきて、例によって有害な男性性を振り撒くようにして踊り始めた。彼女はそれに恐怖を感じてフロアから離れていってしまって、もしかしたら自分もそう受け取られてしまう瞬間があったかもしれないという自省と共に、とてもやりきれない気持ちになった。流れている音楽がどれだけ素晴らしくても、そこで踊る人たちに想像力と思いやりがなければ、全員にとって解放的な空間は実現されない(そしてダンスフロアはそれが真っ先に担保される場所であるべきだ)。あのおっさんにはXGの新曲"NEW DANCE"を爆音でぶつけてやりたい。

We ain't come to bother nobody. We just come to have a good time.
I just learned a new dance. They ask me how I do that.

XG - NEW DANCE

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?