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毒入り火刑法廷(レビュー/読書感想文)

毒入り火刑法廷(榊林銘)を読みました。
新刊です。
タイトルは、アントニー・バークリーの「毒入りチョコレート事件」と、ディクスン・カーの「火刑法廷」からですね。

この魔女裁判から逃れられるはずがない。だってわたしは、本物の魔女なのだから。
十数年前、突如現れた“魔女”――箒に乗って空を飛び、黒猫に化けることができ、近くにいる人の感情を操ることができる存在。文明社会の秩序を脅かす魔女たちを取り締まる司法が“火刑法廷”であり、この裁判で魔女と認定された者は火炙りとなる。ある日、空を飛行したのでなければ不可能な死亡事件が起こる。魔女と疑いをかけられた被告の少女カラーをじっと見つめるのは、被害者の義娘となる予定だったエリス。エリスは知っていた。あの夜、本当は何が起こっていたのかを――
法廷を制した者が真実となる。そのためなら犠牲は厭わない。

光文社「毒入り火刑法廷」紹介ページより(上記リンク)

ものすごい内容密度です。ロジックてんこ盛りすぎて、そういう意味ですべてを理解して読み進みるのに尋常でない集中力を要します。正直、私はついていけていない部分もありました。

一言で言うと本作は、法廷劇の姿を取った特殊設定+多重解決ミステリーです。

架空の法廷(魔女裁判)では、被告人が魔女と認定されると火刑に処されます。

従って、被告人を守る弁護人の立場としては、誰が実際に犯行を為したのかはそれほど問題でなく(あるいは同時並行的に検討されるのですが)、それよりも「魔女が魔法を使ったのでないと説明がつかないような犯行や事象」をいかにしてそれ以外の方法でも為すことが出来るかを説明できるかに焦点が当たります。

被告人が魔女でないと証明することが第一義なわけです。

個人的には特殊設定ミステリーはあまり得意じゃないのですが、ただ、本作の複雑精緻に構成されたプロットの完成度はものすごく、一読の価値ありです。

#読書感想文
#推理小説
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