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2021年で1番感動したホテルマンとのお話


4月のとある日の夕方。
この時は新しい仕事が始まり、少し慣れない動きが続いてた。今まであまりなかった頻繁な移動の連続に、無自覚のうちに疲れがたまっていたんだと思う。


「なんかリラックスしたい」
珍しくそんなことを思い、パッと浮かんだ場所へ。そこは通い慣れた大好きなホテルのBar。最寄り駅で電車を降り、目的地へと小雨の中ひとり向かう。


ホテルのエントランスについた時、そこには仲良しスタッフの彼がいた。「よっ!!」そんな軽い挨拶もできるくらいの仲良しだ。


非日常を感じるホテルという場所で、これだけ気楽にいられる友人がいるというのはとっても嬉しい。居心地が良さがちがう。


彼も「お!こんにちは!」っと気軽に挨拶を返してくれた。その後につづけて「今日はおひとりなんですね。」そう言ってきた。


彼に言われて気付いたけれど、ここにはいつも誰かとくる。自分の大好きな場所にはひとりで行くより、ここでの楽しい時間を共有したくて誰かしらを誘うのが僕の癖だ。


「そう、今日は休憩がてら思い付きで寄ってみた。」特に何も考えず 思いつくままに僕は返していた。「そうですか、ゆっくりしていってください。」彼はいつもの爽やかな人懐っこい笑顔で言った。


Barに入って店内を見渡すと、Barの仲良しスタッフさんはいなかった。その代わりではないけれど、出勤されていたスタッフさんが丁寧に対応をしてくれた。


頂いたのはなんだったっけ。全く覚えてない。
でも本当に、心も体も休憩がしたくて、この大好きな場所にきたのは鮮明に覚えてる。


時間でいうと1時間もいなかったと思う。
ただただボーっとしていた気がする。
珍しくInstagramも触らず、ただゆっくりしていた。


「ちょっと落ち着いたかな」
自分の中でそんな感覚があった。お会計を済ませて、ささっと身支度をしてBarをでる。


ホテルのエントランスを見ると、仲良しスタッフの彼はいなかった。まぁどうせすぐ遊びにくるだろうし、待たねーとか言わなくてもいっか。そう思ってホテルを後にした。


来るときにも降っていた雨が、少しだけ強くなっている気がする。リフレッシュした後に雨の音を聞きながら歩くのも悪くないな。そんなことを思いながら駅に向かって歩いていた。


そしたら、後ろの方から。
「永尾さーん!」という声が。


不意打ちの声にびっくりした。
振り返ると雨の中、傘もささずに走ってくる仲良しスタッフの彼がいた。


「え!?どうした!?忘れ物でもしてた!?」
僕は慌てて持ち物を確認したけど忘れてる感じはない。そして雨で濡れる彼を傘の下に迎え入れて聞いた。


「どした?おれなんか忘れ物してた??」
すると彼は言った。



「いや…違ったら申し訳ないんですけど…今日いらっしゃった時から、なんかいつもより永尾さんが元気ない気がして。気になってたんで追いかけてきました。大丈夫ですか。なんかあったら話聞きますよ。」




本当に嬉しい言葉だった。


この時に初めて「あ、おれ疲れてるんだな」
そう僕は自覚したんだと思う。


めちゃくちゃ泣きそうだった。
めちゃくちゃ泣きそうだったけど「全然大丈夫だよ!ちょっと疲れてたかもだけど元気だよ!」たぶん疲れの見えるひきつった笑顔でそう返した。


「なんかあったら言ってくださいね。いつでも話聞くんで。」


彼はそう言って、
また雨の中を走ってホテルに戻っていった。



本当に感動した。
本当にびっくりした。
本当に助けられた。
そしてまた彼を大好きになった。
そんな瞬間だった。




彼と初めて会ったのは2020年2月上旬。
彼が勤めるホテルがオープンし、早々に僕は予約を入れた。


その時に帯同者へのサプライズの相談をしたくて、ホテルの近くに寄った時に顔を出して相談をさせてもらった。その時に対応してくれたのが彼だった。宿泊日当日、チェックインの対応も彼がしてくれた。


大満足の滞在だった。


後日びっくりしたのが、その時彼はまだ大学生だったこと。2020年3月に大学を卒業し、4月から社会人になる。そしてこのホテルのスタッフになるとのことだった。


対応も完璧だったし、学生なんて微塵も疑わなかった。そんな出会いから、僕がそのホテルに遊びに行くことが増え、一緒に飲む仲になり、親しくなっていく中で、


2021年の4月のとある日の夕方。
彼の行動と言葉に、本当に感動した。

めちゃくちゃかっこよかった。
良い思い出をありがとう。
これからもよろしくな。


また今年も飲みに行こう
@yukisonobe



だいたい月に1度程度の頻度で、自らが体験した人やサービス、場所についてのショートエッセイを綴っています。読んでくださった方の心が少しでも温かくなっていた嬉しい。そんなお話たちです。



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