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ジェネシアに入社して1年が経ったので、投資実行させてもらった愛すべき投資担当先を紹介します。

こんにちは。シードVCのジェネシア・ベンチャーズでキャピタリストをしています、相良です。

昨年の2月1日にSaaS企業から転職をして今の仕事に就いたので、早いもので丸1年が経過してしまったことになります(!)

エクイティーのエの字も、ファイナンスのファの字も知らずに飛び込んだVC業界だったため、転職して半年ほどは投資契約の勘所や企業価値の相場観を掴むのにかなり苦労したし、何より起業家の方々への価値提供のポイントを体得するのに必死で、何度も投げ出しそうになりながらもがき苦しむ日々でした。

ただ、ファイナンスというのは外国語のようなものであくまでツールに過ぎないし、急激かつ多角的なインプットにより慢性的な消化不良を感じていた脳内もある時点を区切りに整理整頓が進み、詰まりがちだったスループットもスムースに処理されるようになっていきました。

慣れって大事ですねという、ただそれだけの話なのかもしれませんが、地図を見なくてもある程度の方角と主要な障害物を想起できるくらいの土地勘が身についてからは、ドライブが徐々に楽しくなってきた感じがします。

さて、今日は入社後の1年間に自身で投資実行をさせてもらった担当支援先について、キャピタリストとしての自己紹介も兼ねて簡単に書き綴ってみたいと思います。

1. イノービア

まず1社目は、製造業に従事する現場作業員のためのスキル・教育管理SaaS『スキルノート』を運営するイノービアです。代表の山川さんとは、Incubate Fund赤浦さんのご紹介で入社2週目にお会いした初回MTGでクロマニョン人の話をして、3週目から事業DDに入り、5週目には投資決定をするという何ともメモリアルな案件でした。

従来紙やExcelで管理していた現場作業員のスキルマップをクラウドに上げることで帳票の誤操作や法令違反のリスクを低減すると共に、本社主導のHRシステムには載らない現場のスキル・教育データを横串で収集可視化することで、世代間・工場間の技能伝承や生産管理システムへの補助導線等、メーカーにとってなくてはならない機能を担保する必須ソリューションの立ち位置を確立しつつあります。参入障壁が高い一方で顧客ニーズが強く、既に東証一部上場の大手メーカーから引く手あまたでセールス&CS対応が間に合っていないような状況ですが、今後は日本の製造業のスキル・教育管理体系の標準化をフックに、アジアを中心とした海外メーカーへの導入を進めることでグローバルを獲りにいきます。そのための資金確保で今年の夏にシリーズAを予定しています。

2. BOULDER

2社目は、同じくHR系ですがホリゾンタル型で、企業で働く従業員が安全かつ快適に働ける状態をSaaSによってサポートするEmployee Success Platform『Well』を提供するBOULDER(ボルダー)です。代表の牟田さんとは、創業直後の昨年4月に元々友人関係だったジェネシア河野さんの紹介でお会いして、HRという道幅の広さと牟田さんの純粋かつオープンな人柄、さらには何をどうしても滲み出ちゃう巻き込み力に魅力を感じて(途中、GW中の壁打ちや深夜のピッチ資料推敲も経ながら)GW明けの5月中旬に投資の意思決定をさせてもらいました。

バイアスのかかりがちな定期サーベイによる従業員満足度の形式的把握に課題を感じているクライアント向けに、Slack等のコミュニケーションツールを通じて客観的かつリアルタイムに個々の従業員および組織状態を可視化し、改善方法を提案するソリューションを提供しています。「主観的」を「客観的」に、「数ヶ月に一回」の状態把握を「リアルタイム」に近づけることができれば組織課題解消のブレイクスルーに繋がると信じているので、引き続き開発スピードを上げて頑張っていきます。既に大枠見えている仮説を検証し切るためにフルアクセルを踏むべく、プレシリーズAでの調達も視野に入れ始めています。

3. rease

3社目は、「個人の信用価値を最大化する」ことをビジョンに掲げ、旧態依然とした家賃債務保証のアップデートにチャレンジするrease(リース)です。CEO中道さん、CSO尹さんのお二人とはBIZVAL中田さんのご紹介で8月初旬にお会いしており、最初は不動産だし声も小さいし怪しい二人組だな〜と思っていたのですが笑、検討すればするほどユニークなビジネスモデルで山の登り方に面白味があり、かつ登った先の頂が非常に高いという魔性の魅力に取り憑かれてしまい、黒船のように突如襲来した外為法事前届出業種拡大のただならぬ余波を肌身に感じながらCBで巻きの投資実行をさせてもらいました。

賃貸物件への入居に際して、借主の信用水準が所属企業の在籍確認と収入証明のみで判断され、一律の保証料支払いが義務付けられてきた既存の家賃債務保証に風穴を開け、時代に即した家賃債務保証スキームを開発、提供していく過程はシンプルにワクワクします。また、本来は分離されていてしかるべき物件管理と家賃保証という両機能が業界慣行でバンドルされてしまっていることに起因するユーザー(借主)の不利益は小さくないため、「物件管理と家賃保証のアンバンドル」という、積年の業界負債の解消にもチャレンジしていきたいと思っています。この領域を攻める上では正面突破が悪手になるため、オトナの戦いができる経営チームであることが最大のKSFになりますが、中道さん、尹さんをはじめとしたTEAM reaseであれば十分に山の頂を目指せると信じています。こちらも春先からシリーズAに動く予定です。

4. Napps Technologies

最後に、近年のIT業界のホットテーマの一つでもある"NoCode"系スタートアップのNapps Technologiesです。代表の榎本さんとはジェネシアGPのタカさんがTwitter経由で東南アジア展開の相談を受けたことをきっかけに知り合い、少額のエンジェルラウンドでクローズしようとしていたところに割り込みで投資をさせてもらいました。

Nappsは、プログラミング要らずでレゴのようにパーツ(モジュール)を組み合わせてモバイルアプリを開発できる、非エンジニアのためのアプリ開発ソリューションを提供しています。近年いくつかの類似サービスも出てきていますが、NappsはPCベースのUIを捨てて、スマホネイティブのZ世代や年配世代でも操作可能なモバイルファーストのNoCodeアプリCMSを世界に先駆けて開発していきます。開発中ということもあり、発信できる情報が少ないのですが、みてねCouplesでユーザーに愛されるプロダクトづくりをされてきた榎本さん(と動物園に集った愉快な仲間たち)であれば必ずやってくれると信じています。

以上、簡単ではありますが4社の担当支援先を紹介させてもらいました。他にも、クラウドRPAのBizteXやソフトウェアテスト自動化のAutify、デジタルアセット時代の勘定系クラウドを提供するAerial Partners、サッカー選手とプロサッカークラブのマッチングプラットフォームを提供するdreamstock等、自ら投資委員会に付議はしていないものの愛を持って担当させてもらっている支援先もありますので、入社したい、出資したい、アライアンス組みたい等ご希望があればお気軽にお問い合わせください。

2年目も引き続き、For Entrepreneurの精神で頑張っていきたいと思います。

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