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集中と分散と中庸

こんばんは。相良です。

昨年2020年に書いた記事は一つ一つの分量が多く、書き手の整理にも読み手の咀嚼にも毎回一定の消費カロリーを要してしまったかなという反省があり、2021年は軽量かつカジュアルな内容も織り交ぜながら一本一本の濃度を薄めて本数を増やすスタイルにしていきたいと思っています。

気づけば1月もあと数時間で終わりそうなので、新年の書き初めを兼ねて最近感じていることを徒然に綴っていきたいと思います。ボールドもアンダーラインもない、淡々とした感想文です。

コンピューターの歴史は集中と分散の繰り返し、とはよく言われることですが、最近のITビジネス、テックスタートアップの動きを見ていても、歴史は繰り返す、ということをよく感じます。

例えば、ERPの分野。現在の局面だけ切り取ると、集中を維持したい大手のパッケージベンダーに対して分散を志向するSaaSスタートアップが機能単位でERPのアンバンドル(機能分化)を仕掛けている構図ですよね。

その一方で、アンバンドルが成った暁に何を始めるかと言えば、大体はTAM(事業規模)を拡げるために製品ラインナップを追加し始めるんですね。

業務特化のHorizontal SaaSも、業界特化のVertical SaaSも、調達管理や在庫管理、販売管理等まずはどこか一つの機能に集中することで既存ERPの牙城を切り崩し、突破口を開いた後、自ら垂直的製品拡張を志向してERP2.0をせっせと作りにかかります。

とは言うものの、独立的で閉鎖的なオンプレミス型のシステム構築からAPIを装備したサブスクリプションを利用する方向に時代がシフトしたことは大きな意味を持つと思います。

SaaS/ERP以外の分野では、シェアリングエコノミーも集中と分散の間で揺らいでいる印象です。例えばワークシェアリングも、若年層を中心に働き方の価値観が変化する中で労働者側の分散化が進んでいる一方、過度に分散が進んでしまうと企業側の調達コストが高止まりするリスクが顕在化します。

そうした課題への対応として、クラウドソーシング各社は「エンタープライズパッケージ」を作り、特定分野で一定以上のスキル、評価を持つワーカーを選り集めてチーム単位で企業側に送り込むサービスを提供し、それが大いに受けているという話も聞きます。

製造や物流、印刷といった既存産業においても、稼働率の低い分散型の供給リソースを集約することで利用者と供給者の双方にメリットをもたらすマーケットプレイス型のアプローチが流行っていますが、これも分散に寄り過ぎると交渉コストや監督コストが重荷となってのし掛かるため持続可能性を失いがちです。

冒頭に言及したSaaSのような業務アプリケーションも同じですよね。専門特化でバラバラにし過ぎると交渉コストや監督コストは高止まりするため、一社のベンダーに取引をまとめた方が却って経済的になるという。

そんなことをあれこれと思索する中で、洋の東西を問わず、あらゆる需要のクリティカルマスは常に中庸にあり、極端な集中も極端な分散も持続可能ではないのかなと感じるようになりました。

まぁ集中も分散もどちらかが絶対的に優れているというものではなく(であればどちらかに振れて止まるはず)、双方にメリットとデメリットがあり、前提や環境によって適不適が変わるものなので、当たり前と言えば当たり前ですが。

集中と分散と中庸。資本主義に立脚して経済活動を続ける限り、逃れることのできない永遠のテーマになりそうです。

2021年もよろしくお願いします。

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