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アロマセラピストの調香ノート③コーヒーグラウンズ 後編

こんばんは、看護師+アロマセラピストのyukinaです。
先週に続き、コーヒーグラウンズ(飲み終えたあとのコーヒー豆)について書いていきます。

コーヒーグラウンズに合う、エッセンシャルオイルの香りを作る

一言でいうと、久しぶりの難題でした。とても検証が楽しかったです(笑)難しかった理由は、
①コーヒー豆自体が消臭する成分を持つこと
②コーヒー豆の香りは既にバランスがとれた香り

という2つの理由からです。
まずは①の消臭の件から書いていきます。

①コーヒー豆自体が消臭する成分を持つこと

化学的消臭法

「化学的消臭法」と呼ばれ、コーヒー豆自体が消臭する力をもっています。化学的となると少し怖い感じがありますが、ここで記す化学とはポリフェノールのことです。健康に良い成分として有名なポリフェノール自体が他の成分と反応して、消臭に力を発揮します。

コーヒー成分については前回記載しておりますのでご興味がある方はこちら↓

中和消臭法

アロマセラピーを使って消臭しようとすると、一番最初に浮かぶ方法はマスキングという方法です。一言でいうと「強いにおいに強いにおいで挑む」方法なんですね。レモングラスやユーカリグロブルスなど、精油の中でも香りが強い物が用いられます。精油を瓶から1滴垂らす時、そのしずくの量は0.05mlが目安とされていますが、この1滴でも植物によって香りの強さがまったく違うのです。例に出したレモングラスとユーカリグロブルスは精油の中でも1位を争う香りの強さです。そのため、アロマセラピーなどの自然の香りを好む方は、このマスキング法を用いるのは難しいと思っています。香りがキツくて耐えられない!となってしまいますよね。

そのため「中和消臭法」という考え方に変わります。これは精油の化学的な成分を知らないと、なかなか難しい技。アロマセラピーでも上級編です。

悪臭成分であるアンモニアなど、消したい成分に合わせて、精油の種類を選んでいきます。精油は沢山の化学成分の集まりです。(そのためアロマセラピストの学校では化学の授業が必須)化学反応を考えて、香りを無効化する方法で、悪臭の中和を目指すのというのが中和消臭法です。

なぜこんな複雑な話を書いたかと言うと、やはり起こってしまったんですね、中和消臭が…….

飲み終えたコーヒー豆に、精油を垂らして合わせてみました。
前述したようにコーヒー豆自体消臭する力があるので、精油の香りを合わせてみましたが、分解されている印象。精油を単独で使った場合と比べると香りの残り方がまったく変わりました。残したい香りが消えてしまう。さて、どうしようか。

②コーヒー豆の香りは既にバランスが取れた香り

化学には化学で応戦いたしました笑

まず、セラピストが香りを作る時は香りが順番に現れるように計算して作り上げます。図解するとこのような感じです。

香りの作り方

途切れないように、それぞれの残り香まで計算していることが多いです。もちろん感覚的に「この組み合わせ素敵!」ということもあるのですが、私はクリニカルアロマセラピストであるため、わざと複雑に香りを作ることがあります。その理由は、脳と記憶の結びつきの強さを知っているからです。例えばオレンジの印象しか残らない香りを作ってしまったとします。それを病院でクライアントが使うとすると、退院後の日常生活でオレンジの香りを嗅いだ時、病院での生活を思い出す誘因となってしまうのです。薬効はしっかり選んでも、なおかつ印象には残りにくい香りに仕上げたりもします。香りの組み合わせ方は、その人に合わせて無限の組み合わせがあります。

コーヒーの香り成分を化学的に分析したもの

香りを視覚化するとき、このような表を使います。コーヒーは波が全体的にバランスが良いです。この波は、香りの成分が出現したときに出ます。
ちなみにオレンジの精油は左側に波が固まり、右側にはなにもない図になるのです。
コーヒーは図でみてみるとなんとなく ↑ のあたりを埋めたくなるなと(笑)
これを考えながら選んだのが「ロザリナ」と「ラベンダー」でした。
うまくコーヒーの香りと手をつないでくれたので、飲み終わったコーヒー豆をそのままおいて置くより、コーヒー豆の香りも持続する化学的にも合う組み合わせができました。化学反応で安定した分子になると、香りが長続きします。

コーヒーと健康

色々コーヒーのことを調べていたら、健康に対するいろいろな研究をみつけましたので、こちらも紹介していきます。

アレルギー性鼻炎

コーヒーに含まれるクロロゲン酸という成分。それを単独で取り出してアレルギー性鼻炎に効果があるのか?という検証がされています。人体における研究ではないのでまだ研究段階にあるようですが、2週間続けてみることで効果を得られているそうです。花粉症が辛い方は、2週間前くらいからコーヒーを飲んでぜひ試してみてください!

コーヒー摂取と死亡率

コーヒーをほとんど飲まない、1日1杯未満、毎日1~2杯、毎日3~4杯、毎日5杯以上飲むという5つの群に分けて、その後の全死亡及びがん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外因による死亡との関連を国立がん研究センターが行ったもの。
コーヒーを1日3~4杯飲む人の死亡リスクは、全く飲まない人に比べ24%低いことが分かっています。

乳がん術後のホルモン療法「タモキシフェン」とコーヒー

乳がんはいろいろなタイプがあり、女性ホルモンのエストロゲンが再発に関連する場合があります。その場合に再発を予防するために内服するのがこの薬なのですが、コーヒーも飲み、薬も飲んでいる方の再発率が低いという研究が進められています。

まとめ

今回札幌のサロンでハーバルコーヒーを取り扱わせて頂くこととなり、学んだことをこちらに残させていただきました。

コーヒーの世界は奥深く、これからも健康に関する研究がたくさん出てくるのだと思います。私も1日3杯を目指して(笑)、日々に取り入れていきたいと思っています。

長文をお読みいただき、ありがとうございました。少しでも読んでいただいたあなたの、こころや体の健康に役立てば幸いです。yukina

今回セラピストが作った香りは、こちらのセットに付属している香りです。
飲み終わったコーヒー豆を香らせるセット「マリアージュローズ」はオンラインストアからご購入いただけます。

ハーバルコーヒーを楽しんでみたい方はこちら


その他セラピストが今回読んだ論文 一覧

コーヒーかすを用いたアンモニアのバイオマス窒素化による脱臭https://www.jstage.jst.go.jp/article/jswmepac/17/0/17_0_215/_pdf/-char/ja

かおりによる快適空間の演出「環境芳香」と これからのかおり環境についてhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/51/2/51_116/_pdf

コーヒーの抽出かすの脱臭効果https://www.ucc.co.jp/company/research/residue/

メタボロミクスでコーヒーのテイスティングを指標化するhttps://www.jstage.jst.go.jp/article/jao/48/4/48_310/_pdf

コーヒー摂取と肺がんリスクとの関連についてhttps://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8047.html

いつもサポート頂きありがとうございます。メッセージも読ませて頂いていますので、メッセージも頂けると尚嬉しいです。新たな香り探しに使わせて頂き、執筆活動やアロマセラピーの発展に活かしていきます。今後もより楽しみながら活動していきますので、よろしくお願いいたします。