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「日本人」と言うアイデンティティとは何か?、の話。

偶然このようなnoteを読みまして、考えた事を書いてみようと思います。

私が自らのアイデンティティを明確に意識し始めたのは大学に入学してからですが、その前から漠然と感じていたのは「沖縄に生まれて良かった」と言う事でした。
子供の頃は「自分の国籍は日本人」とはわかっていましたが、「日本人」としてのどうこうはほとんど気にしていなかったと思います。

「日本人」と言う意識って?

先のnoteには、このような文章があります。

ニューヨークではあまり聞かれなかったが、パリでは必ずといっていいほど「あなたは日本人?」と聞かれるし、道端で見ず知らずの、日本人も中国人も区別できないおじさん達から「ニーハオ」と挨拶されると、「私は中国人じゃない!日本人だ!」と反発したい感情が生まれてくる。

これを読んだ時、正直なところ「中国人に間違えられて何で反発を覚えなければならないの?」と感じました。いや私は日本人なんですよ、と返せば良いだけなのにと。

中国人やコリアンに間違えられて怒る「日本人」と言うのは、割と多いようです。同じモンゴロイドなのだから、似ているのは当たり前なのに。

私にとってその感情と似たものは何か。

「あんた色白いねえ、どこから来たの?本土の人でしょう?」

ウチナーンチュにしては色白らしい私は、特に中高年の方にそう言われる事が多いです。その度に心にモヤモヤを抱えながらも「いえ、◯◯(出身地名)です」と答えます。

幼い頃から父親に「沖縄の言葉は汚い」とヤマトゥグチを叩き込まれて来たのも原因かも知れません。私は祖父母からウチナーグチを聞き、小学校で童歌を教わり、学校生活の中でウチナー訛りのウチナーヤマトゥグチを憶えて行くのに、父は死ぬまで自らの故郷を卑下し続けていました。

筆者の言葉を借りれば「私は日本人(ヤマトゥンチュー)じゃない!ウチナーンチュだ!」と言う意識があったのです。

「日本人で良かった」と思う時とは?

テレビのトーク番組で、芸能人の方々がこんな会話をしているのを時々耳にします。

「海外から戻って味噌汁を飲むと、日本人で良かった〜って思う」
「温泉って良いよね、日本人で良かった〜」

正直なところ、私は全く共感出来ないのです。
一般的なお味噌汁を飲む習慣がありませんでしたし、温泉は苦手です(そもそも他人とお風呂に入る事が大嫌い)。

ただ、「ウチナーンチュに生まれて良かった」と思った事は山程あります。
小学生の頃に運動会でエイサーを踊った時。
様々な不条理と真正面から闘って来た先人達の存在を知った時。
ソーキそばを食べて、鰹出汁に豚肉の味が絶妙に混ざったお汁を飲んだ時。
父方の祖母が生前作ってくれた中身汁を食べた時。
そして、「琉球王国」の歴史と文化を感じられた時や、昨年の火事で首里城正殿が失われてしまった時に世界のウチナーンチュが寄せてくれた想いを感じた時。

ウチナーンチュで良かった。
沖縄に生まれて良かった。
沖縄のために、何かをしたい。

心の底から、そう想うのです。
沖縄(琉球)について大学で学んだ6年間(休学期間あり)で、その想いは強くなって行きました。

私はウチナーンチュで、あなたは日本人

冒頭に載せて頂いたnoteから考えた事の結論は、簡単な事でした。

「あなたは日本人であり、日本人としてのアイデンティティを持っている。私はウチナーンチュであり、ウチナーンチュとしてのアイデンティティを持っている。それだけだから、認め合おう、押し付け合う事はやめよう」

沖縄は琉球王国時代に薩摩に侵略され、琉球処分によって日本に組み込まれ、日本人の中に同化させられて来ました。
そして、両親の時代まではウチナーグチを禁じられ、日本の飲食店では「朝鮮人琉球人お断り」の看板が掲げられました。

勝手に日本にしたくせに、日本人にしたくせに、差別するな。
多くのウチナーンチュが持つ想いでしょう。

引用させて頂いたnoteには、こうも書かれています。

日本には古くからの素晴らしい歴史と文化があることを再認識することができ、日本人として生まれてきて本当によかったな、と思った。
やはり、私が日本人であるということと、正しい日本の文化を知ってもらいたいという欲求は、たとえ私にそこまで愛国心がなかったとしても、自然と湧き上がってくる。

同じなのです。
私は沖縄の、琉球の歴史や文化を多くの人に知って貰いたい。それは、私自身が沖縄の事を知って行く過程で生まれた想いです。

私はウチナーンチュだ。
国籍は「日本」だけれど「日本人」じゃない。
それが40年近く生きて来て獲得した、私のアイデンティティなのです。


※画像は「みんなのフォトギャラリー」からお借りいたしました。ありがとうございました。

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