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被害者ぶるのは止めろ(被害者仕草の社会運動について)

 最近の社会運動のメインストリームである被害者ぶる文脈。
 先日書いた車椅子の件もそうですね。

 


https://twitter.com/Che_SYoung/status/1766034743383257174より引用)

https://twitter.com/One_of_Engineer/status/1765969333602410843より引用)



https://twitter.com/graypridejapan/status/1765727704983421028より引用……のはずでしたが、批判殺到したので消したそうな)


https://twitter.com/fujitatakanori/status/1764150343825559564より引用)


 なんでこんな不快指数が高いのかと思ってたんですが、何となく言語化できたので書いておきます。

 この手の文脈は概ね二つの思想で構成されています。

①私は後進的な社会による被害者である

②ゆえに社会が変化して被害を回復させろ(大抵は命令系)


 まあ一から十まで不快なんですけど

 ①について。
 大抵において

この第一段階ですでに嘘なんですよね。


 被害者ぶるのが自分の言い分を通すのに都合がいいから被害者を偽装しているだけなので、その嘘にまずうんざりするんですよ。

 例えば上記の奨学金について。

 多重債務を抱えせられた



 というのは全く意味わかりません。

 だって自分の意思で奨学金を取ったんでしょ?
 奨学金機構とかに監禁されて現ナマ渡されたんですか?

 多重債務に苦しむ、くらいならまあまだ理解できますが。
 少なくとも抱えせられたという被害者表現は絶対におかしいです。

 しかも高等教育という利益はきっちり享受したうえで言ってるというのがまたクソ度合いが高い。
 返済負担がきついからどうにか対応してくださいというならまだ理解できますけど、債務を抱えされたと被害者ぶるのはどう考えてもおかしいでしょう。

 永住権についてもです。
 

故意に税金を未納、または滞納する場合永住資格取り消し


 故意ですよ。故意。 
 これで自分は被害者というのも厚かましいにも程がある。
 僕の知人のロシア人は「きちんと税金払ってるから私は永住資格があるのよ」と誇らしげでした。

 いずれにせよ露骨な嘘吐きを見てるのは不快です。

 ②について

 被害者ぶる文脈って、被害者以外を加害者と位置付けて、加害責任を押し付けて被害の救済をさせるという論法なんてすよね。

 もっと言うなら

「自分達被害者に共感しないやつは差別主義者」という含意がある


 要は他人に加害者、差別主義のレッテルを張る文脈。

 被害者を偽装した嘘吐きだけでうんざりなのに、社会が自分達に与えた被害(上記の通りこれがすでに嘘だけど)を回復しろ、加害者であるお前らがやるのが当然だ、というのを命令口調で言われる。
 これで不快にならない方がどうかしてますわ。

 ……ていうか、マジで命令口調は止めろや(命令口調)
 ともあれ、差別は良くないですけど、嘘吐きから言われる筋合いはないし、不当に加害者扱いされる筋合いもないんですよね。


 
 ちなみにTwitterで「意識のお高い」人が、私は差別意識を自覚している!差別をなくさなくては!みたいなことを言っています。
 
 すべての障害者の人が健常者と同じようにできるようになるべき。
 そうでないと差別だ。

https://twitter.com/suminotiger/status/1770668988852588718より引用)

差別心を認めないと前に進めないですよ(キリッ

https://twitter.com/suminotiger/status/1770670493978526097より引用)

 これは彼らが優れた人権意識を持っていて、こういう見えにくい差別に気づいているから……ではなく、こういうことを言えば、優れた人権意識を持つ「良い人」に見えるからです。
 

「良い人ぶる」嗅覚が優れているだけ


 です。

 殊更にこういう言葉を発信するのは、自分はそのために具体的にはなにもする気は無いからです。
 こんなのSNSで発信するだけなら僕でもできますよ。3分くらいで。
 
 
 ……ていうか、問題をこじらせているのがこの手の

 

「意識は軌道エレベーターより高い、尻馬にのって道徳ポイント稼ぎしてるけど、実際は何もしない部外者」


 だと思いますね。

 だって例えば、障害を持つ人に「お前らの差別意識を自覚しろ」と言われるなら、百万歩譲ってまだギリギリで我慢できます。
 色々と僕等にはわからない不自由があるんだろうな、と。

 しかし、自分でなにもしない障害も持たない完全な部外者から、「お前らの加害者性、差別意識を自覚しろ」とか言われたら、お前に言われる筋合いないわってなるでしょ。
 余計反感買いますよ。

 本人たちは被害者に寄り添ってる意識高い系のつもりかもしれませんけど。
 口先だけで何も問題解決に資することが無いどころか、思いあがった言い草でその集団そのもののイメージを下げるんで、マジで黙ってた方がましだと思います。
 
 あと、①、②とは関係なく、これは個人的に腹立たしい点なんですが。
 普通の人にとって差別主義者呼ばわりは非常にショッキングなんですよ。

 僕は学生時代に、君たち1960年代からタイムスリップしてきたの?という感じの、西暦2000年ミレニアムあたりでもヘルメットかぶってゲバ文字の立看板並べてるような連中に、

この差別主義者!!自己批判しろ!!!


 と、一生分くらい言われたのでもう痛くも痒くもないんですけど、普通の人からすればショックです。
 僕も初めて言われた時はショックでしたよ。

 今は、あのワードは、相手を黙らせるための野生動物の威嚇の吠え声みたいなもんだな、と理解しています。



 まあ僕の不快感はひとまず置いておいて。
 真面目な話としてこの

 

被害者のふりをして他人を加害者扱いし譲歩を迫る文脈


 は二重の意味でヤバいと思うんで、そろそろいい加減にした方がいいと思います

 一つ目。 
 この論法は極めて重大な脆弱性があり、

「加害者」側がブチ切れて、お前らのことなど知るかボケ、と言って開き直ったら即破綻する

 んですよ。

 そして、繰り返しになりますけど、世間全体を「加害者」に見立てて、非難を浴びせ被害救済を迫るという論理だては無茶にもほどがあります。

 当たり前ですけど、被害者の逆は加害者ではありませんし、被害者以外が全員加害者ではありません。
 自動車事故の被害者が、自分が事故にあったのは車社会のせいだから社会全体が加害者だ!加害の責任を取れ!とか言い始めたら頭おかしいでしょ。

 ていうか、この手法に賞味期限があるのは韓国を見てればあきらかでしょ。
 一時期あれだけ猛威を振るった、我々日本人は加害者!謝罪しよう!はもうほとんど誰にも相手してもらえないじゃないですか。

 この文脈が決定的に嫌悪されて致命的に破綻する前に、似非被害者仕草は止めるべきです。
 何らかの問題を解決したければ、まっとうにやるべき。

 もう一つ。

 この調子で似非被害者が被害者ぶる運動が続き、それが本格的に反感を買ってそっぽを向かれた場合、

 

本当に社会から何らかの「被害」を受けている人も一緒くたに被害者ぶってるとみられかねない。



 つまり嘘で被害者ポジションに入りこむことによって、本当に救済されるべき人を巻き込んでるんですよ。
 ということで


 被害者性の簒奪は止めろ。
 嘘はつくな。



 ……ところで、人の生き辛さや差別に敏感な意識の高い皆様は、「酒で身を持ち崩して孤立したオッサン」の生き辛さは自業自得として処理すると思うんですよね。
 じゃあ「酒好きが高じて酔って階段から転げ落ちて車椅子になった若い女性」を自業自得で処理するのか、興味がとてもあります。
 

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