一家離散5
あらすじ
父があまり帰ってこない散らかった家の近くには公園があった。
幼稚園に通いだした僕は、幼稚園バスでの通園だった。
家から一番近い公園が幼稚園バス乗り場だった。
ある朝。幼稚園バスを待っている園児達がブランコで遊んでいた。
母達は離れた木陰で井戸端会議をしている。
ある園児がブランコに乗らず、ブランコの椅子を手で持ち上げ、ブランコの運動を観察する遊びをしていた。
ニュートンの振り子の様なことをブランコでしていたのだ。
でも、ニュートンの振り子とは違って、棒状が振れているので、攻城槌のようにも見える。
そこに、別の園児がブランコとブランコの間にすっ転んだ。
その子が起き上がった時、顔面にその攻城槌がぶつかった。
額に当たったそれは、皮膚を貫いておでこからボタボタと血が流れはじめた。
その子は大泣き。親たちは騒然となって、僕は幼稚園バスに乗る事になった。
後日、その子の額には『三つ目がとおる』のような絆創膏が貼られて事なきを得たが、おでこが真っ赤に、そして、ぽっかりと穴が空いた様子が恐ろしくなった僕は、その子に近づかないようにした。
幼稚園の時、その公園でロクなことが無かったように思う。
小学生の男児たちに、
「これは飴ちゃんだから触ってみ?」
と、平になった犬のうんこをニヤニヤと指を指して僕はからかわれていた。
人の悪意がわからなかった僕はペタリと触って、小学生の男子たちは大喜びした。
「こいつ!犬のうんこ触った!」
と、大はしゃぎだった。
僕はうんこ臭くなった手が不快で、幼稚園バスに乗り込んでから、ずっとうんこくさい手をバスのシートに擦り付けて匂いを落としていた。
ああいう手合いには近づかないようにしようとバスの中で決めた。
これらの事は三歳か四歳の頃だった。
そんな、僕にはいつの間にか二つ下の弟ができていた。
つづく。
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