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一家離散 2

あらすじ
僕の家は、機械の音がうるさい工場の2階にあって、線路の側だから家がしょっちゅう揺れる。

 玄関。と言うにはあまりに粗末な引戸なのが僕の家の扉だ。
 引き戸を開けると、父の趣味の部屋が最初にあった。

 六畳間取りの左には
 飾り棚と
 スライド式の奥行きのある本棚がある

 飾り棚には
 ブリキのおもちゃ。
 ゾイド。
 GIジョー。
 コカコーラのグラス。
 などのガラクタが飾ってあった。

 奥行きのある本棚には100本を超えるVHSのカセットテープが収められていた。
 その棚に漫画は入っていなかった。

 六畳間取りの右には
 カセットテーププレーヤー
 レコードプレーヤー
 CDプレイヤー
 大きなアンプ
 大きな窓
 たくさんのCD
 たくさんのレコード
 たくさんのカセットテープ
 が
 横に長くて低い棚に置かれてある。

 六畳の間取りの正面には
 大きな大きなテレビ棚があった。
 そのテレビ棚は、
 2mの高さと、
 奥の部屋に入る間口が狭くなるくらいの幅と、
 大きなブラウン管テレビが収まる位の奥行きがあった。

 それには
 大きなブラウン管テレビと
 手塚治虫全集と
 いくつかの漫画と
 怪獣のフィギュア
 が収められていた。

 部屋には更に
 大きなソファ
 足の入れられない頑丈な机
 が置いてある。

 僕の家の最初の部屋は窮屈な部屋だった。

 家に僕が帰ると、たまにしか家に居ない父がその部屋でレコードをカセットテープに録音をしているときだ。

 引戸を開けて僕が部屋に入ると、父はすごい音量で怒鳴ってきた。

 「静かに歩け!!!殺すぞ!!!」

 レコードの音を嫌う父の命令は行動を束縛するものだった。
 幼稚園児の頃から静かに歩く事を強いられた僕は、
 足音を立てずに歩く術を身に付けた。

つづく

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