ちょっとの「背伸び」で世界が幸せになれるのなら、

「戦略人事をやりたいが出来ない」理由は、集約すると「①目の前の他管理業務に追われている」と「②経営層からの要望がない」の2点らしい。
(「カゴメの人事改革/中央経済社」より)

「人事にしか届けません」というnoteにしたい訳ではない。むしろ前回・前々回と同様、日々一生懸命悩み考え生きている全ての人に向けたものにしたい。
ので、かなりザックリとした解説をすると、
「戦略人事」というのは、会社の中長期的な方針に基づいて採用や育成など「人の管理や活用」をしていこうね、という考え方である。

例えば、「自社の利益率を高めていくためには、営業一人ひとりが効率的に営業を進めないといけないな。今はなんか無駄な業務が発生しているな。どうすれば効率的な営業フローを構築できるか、知見がある者を採用して構築してもらおう!」みたいなイメージ。

これができていない会社が多い。
「とりあえず採用しよう!(採用しても会社の方向性に合わず活躍できない)」
「とりあえず研修しよう!(研修実施したは良いけど実際の業務に生かされない)」など。

改めて、その理由は、集約すると「①目の前の他管理業務に追われている」と「②経営層からの要望がない」の2点らしい。

そりゃ、余っ程意識が高くないと追加の仕事である「戦略人事」なんてしないよね、って思う。
だってそんなのしなくても、会社は継続するし自分のお給料は定期的に振り込まれるし、問題ないじゃん。
人事だって1人の人間だ。
会社の様子を見てやらなきゃって思っても、社員から声が挙がっていても、自発的に「やりたいな」って気持ちが高まっていても、後回しにしてしまうものはしてしまう。

でも、それで良いのか。

短期的な影響は無いけれど、ふと気がついたら会社が破滅に向かっている、そういう可能性を秘めてはいないか。
活躍できる人材が全然いない、みんなモチベーションが低くて疲弊している、結果業績が悪い。
そんな会社の未来が有りうるのが、人材マネジメントの恐ろしいところである。
何より、働く社員が可哀想になるよね、と。

……難しくないか?

人事だって1人の人間で、疲れた身体に鞭打って会社のために仕事しろ、なんてとてもじゃないけど言えないし、でも戦略人事系の仕事をおざなりにすると確実に被害を受ける社員はいるだろうし。

これを読んでいる人事ではない皆さまも考えてみてほしい。
皆さまにも「やった方が良いけどやれてないこと」は無いだろうか。

プライベートでも構わない。
例えば私は、ずっと家の大掃除を後回しにしたせいで、先日久しぶりに家の排水溝を見たらえげつない事態になっていた。

いささか雑に抽象化しすぎている自覚はあるが、戦略人事の議題を含め、「自分を労る」と、「未来のために頑張る」のバランスをとるには?について考えてみたい。
どうすれば良いのだろう。

すぐに思いつくのは、「いつもの自分の力量+αだけ頑張る」を繰り返せば良いのではないか、というアイデアである。

「ストレッチゾーン」という考え方がある。
自分がちょっと背伸びしたらできるよ、くらいの業務のことである。
今の仕事に慣れてきたかな、くらいのタイミングで、上司から「新人に仕事教えておいて!」という依頼が飛んでくる、くらいの業務。
慣れしたんだ業務ではなく、かといってパニックになりそうなくらい大変な訳でもなく、2つの間くらいの大変さ。
「ストレッチゾーン」の仕事をすると、ハマっているゲームのレベル上げみたいに、楽しく自分の成長に繋がっていくよ、という。

私はこの「ストレッチゾーン」という考え方が好きだ。
「丁度よく頑張れる」くらいの業務ゾーンだから。

戦略人事なんて、着手しようと思ったらやること膨大すぎてしんどいかもだけど、じゃあまずは会社の10年後の方針を理解してみよう、とか、人材要件整理しませんかって上司に提案してみる、とか。

他の仕事でもそうで、業務効率化したいからといって、全ての作業をExcelマクロ使いましょうとか、Chat-GPTを使ってPythonでどうにかしましょう、とかはハードルが高い。だから、まずはExcelの関数でどうにかできそうなところを探してみる、とか、まずはPython勉強してみる、とか。
できることはあるんじゃないか。

勿論、「あー今日何もやりたくない」って時は気が済むまで自分を甘やかせば良いし、やる気がみなぎっている時はストレッチなんて言わずとことんやり込めば良いし。
そういう時はそういう時で良いけれど。

でも、普段何気なく過ごしている時にちょっとだけ頑張れたら、全く頑張らないより素敵な世界が待っていないか?

ちょっとの「背伸び」で世界が変わるのなら、
幸せになれるのなら、
「何かやってみようかな」って顔を上げたくなりませんか。

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