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髪の毛問題

 生徒たちが頭髪検査を受けているのを見て、昔受けた頭髪検査を思い出しました。

 中学校で頭髪検査があり、女子は髪の毛が肩に届くとゴムでくくらなければなりませんでした。髪ゴムの色も指定されていました。私自身の中学高校時代は、親の方針でおかっぱか、ヘルメット型ショートカット(鉄カブトと友人は呼びました)だったので、風紀検査で引っかかることはなかったのですが、髪を伸ばしている途中だったクラスメイトは、「肩に届いたからと言ってくくるとしても、スズメのしっぽよ❗️」と嘆いていました。スズメのしっぽぐらいだと、髪質によってはゴムが滑ってすぐに外れてしまいます。「何で肩ぐらいまでで、くくらなアカンの❗️」と怒っていました。

 しかし、何故、髪の毛が伸びたらくくらなければならないのか、教員になって初めて、少し理解しました。教室や廊下掃除をすると、やたら髪の毛が落ちていて、掃除は箒ですから、箒に絡まるし、取れないし、いや、それ以前に長い髪の毛がうずたかく塵取りに溜まるのです。しかし、髪ゴムなどでくくっていれば、髪ゴムで止まっていますから、教室や廊下に落ちることはありません。
 それで、長くなったらくくれ、だったのか、と目からウロコが落ちる気分を味わいました。

 家庭を持って自宅の掃除をしたときにさらに驚きました。毎日廊下にモップをかけていたらまあ数本ぐらいですが、風邪など引いて2、3日間が空くと、抜け毛がフワフワとうずたかく、呆れるぐらい集まるのです。
 自宅廊下に落ちた自分の長い髪を集めたら、ふわふわと茶色の束になって、また別の思い出がよみがえりました。

 中学2年の時、クラス集合写真を撮るのに並ばされて、担任と学年主任が並びをチェックしていました。その時、担任と学年主任の先生が言いました。「ウチダの髪が一番赤いやないか(笑)」「ウチダのことやから、染めてはないやろう(笑)」
 そうなんです。母方の祖父譲りで、若干、髪が赤いのです。隔世遺伝で虚弱体質も引継ぎました。母は黒髪で強健です。

 阿倍野高校で教諭だった時、体育教師が私の髪を見ながら言いました。「教員も毛染め禁止にしませんか?」私が困惑していると、年配の体育女性教諭が反対しました。「白髪染めが出来なくなるから、止めて❗️」他の年配の女性教諭も「そうそう❗️染めへんかったら、真っ白やねんから❗️」と言ってその話は終わりました。
 進路指導部の部屋に戻ったら、進路指導部長が私に尋ねました。「髪を染めているんですか?」その当時は30代で白髪は天頂だけだった(子宮の病気だとそうなるから気をつけてと言われたことがあります)ので染めたことはありませんでした。「生まれてからまだ染めたことがありません」と答えて、やっぱり染めていると思われているんだなあ、と思いました。

 就職指導がある学校では、茶髪にはうるさく、初任で行った学校で黒染(こくせん)というものを初めて知りました。
 洗えば落ちるのですが、とりあえず黒くなるのです。生指の先生が無理矢理染色した生徒に黒染をかけていました。

 今だったら、人権問題?
 しかし、高校就職戦線では高校の評判も大事だったので、ヤンキー(不良)が多い学校という悪評を無くすために、先生方がやっきになっていたのも、一理あったのです。

 大体、大学生だって、リクルートスーツを着て、ビジネスバッグを持って、髪は黒くきちんとして、会社訪問をするじゃないですか。

 しかし、それも天然赤髪の私としては(茶髪までいかないけれど)、何だか息苦しく思える、髪の毛問題でした。




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