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#2 隔離って自律心との戦いだな

2021/08/24 8:19

 到着してから二日が経ってしまったけれど、昨日の夜遅くまで在留届やら履修届やらやることをやって粗方片付けてしまったので、今日からはやっと自由だ。日記を書いていこう。まず、ヘルシンキ空港のことから。

 15:05着で16:10の飛行機に乗り換えなければならず、全ての通路を急足で通り過ぎることしかできなかったのだけれど、それでも十分実感できるくらいにとても素敵な空港だった。北欧スタイルが全面に押し出されたキュートな空間で、入り口から出口までそこら中にムーミン達がいるし、カラフルな子供の遊び場で親子が遊んでいたり、若い男性のグループが道に座り込んで楽しくカードゲームをしたりしていた。和やか。そういえば確かここら辺から、人々がやけにマスクを外すようになった。若干気付いてはいたものの、まだ空港内ということもあってマスクをつけている人とつけていない人は半々くらいだった(マスクを外している人の数はここから徐々に増えていく。スウェーデンに留学に行った友人は、付けていると自分が目立つほどだという)。本当に少し居座りたいくらい北欧の空気感に包まれたいい感じの空港だったのだけれど、荷物検査を終えた時には搭乗が始まっており、写真も撮る暇なく17Aの搭乗口まで直行するしかなかったのが残念だ。

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 フィンランドからラトビアへ飛ぶこの旅最後の飛行機は、私が今まで乗った(数少ない)飛行機の中でダントツで小さかった。FINNAIRの小型飛行機で、搭乗するにはバスで飛行機の近くまで移動した後に、入り口からのびている急な階段をエンサカ登って行くという形式のもの。大統領が降りてきそうな感じだ。通路は一つしかなく、CAさんも二人だけで、翼には大きなプロペラ付き。急な飛行機の小型化に、自分がこれから北海道の77%の規模しかない北ヨーロッパの小国へ行くのだということを実感した。安く渡航するため、ドーハ、ヘルシンキと、うんと遠回りをした今回の渡航もこれで終わり。ドーハ空港をうろうろしていた時にはたどり着くことが想像もできなかったラトビアに、ついに到着してしまった。行く前は、機内では期待とか不安とかそういったものが入り混じったままラトビアの景色を眺め、映画をいくつか観たのちに日記でも書くのかなと想像していた。しかし実際には、最初の便は緊張でご飯も映画も消化できずにひたすら音楽を聴いて眠りにつき、二本目の便では時差ボケを解消するためにこっくりと寝込み、そして三本目の便では、荷物検査で引っかかったり機内アナウンスがネイティブじゃなかったりといった際に英語力不足を痛感し、DUOを開いて「やばい」の3文字でいっぱいの頭に必死に英熟語を詰め込んでいたらラトビアに着いてしまっていた。よく海外を回るアーティストとかが「移動慣れ」しないと移動時間を有効に使えないと言う度に、ふ〜んと思っていたものだが、体も心も慣れない環境で悠々と有効な時間の使い方ができる訳がなかったのだ。少し反省している。

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 英語力不足は、特に荷物検査の際に痛感させられた。ドーハ空港で荷物検査に引っかかった時、すらっとスーツを着こなした黒人の男性が私の荷物を確認しながら、「便は何時?」と気晴らしに尋ねてくれた。しかし焦っていた私は「えーと東京を22:30に出て…」と答えてしまい、「違う違う次の便(笑)」といった調子で笑われてしまった。誰がどう見ても、私は慌ててふわふわしていたと思う。荷物検査に引っかかって不安になっている私の緊張をほぐすために世間話をしていることに気づくのにとても時間がかかってしまった。気付いた頃には、相手はもう私が面白くて仕方がないという感じで笑っていた。笑ってくれているのならこっちの理解が遅れても別に良いのだけどね……hahaha。慣れない言語だと、相手が本気なのか、冗談なのか、怒ってるのか、からかっているのかなどの感情や空気を読み取るのがとても難しい。それは、今度また綴るであろういろんな人との会話でもそうだったし、そしてこれから何回も訪れるであろう言語の壁においても、よく当てはまることなのだと思う。

 英語、英語、英語……。大体どの会話も7割くらいまでしかわからない。英語のテストなるものが嫌いなせいで、昨年の7月に留学のためにほとんどなんの準備もせずに受けた初のTOEFLを最後に、自分の今の英語の実力がどんなものかを図る指標を持ち合わせていない。留学に行く前といった後にTOEICを受けて、自分の英語力の伸びを計るといい、とよく聞く。でも、いやだ。いやだー(駄々)。元来私は実力検定が嫌いで、大学受験の時も周りに言われて渋々受けた3年12月の早慶模試(結果が帰ってくるのはなぜか受験が終わった後)を受けただけで本番を迎えた野郎なのだ。模試、実力試しのセンター、英検、漢検、TOEIC、受験の後の成績開示、TEAP、TOEFL……。お金を払ってまで自分の実力を「見える化」したくなくて、避けれるものは全力で避けてきた。あと、実力検定を受けることで「焦り」を得られると私に諭してくる人も何人かいたけれど、私は焦りの感情を両脇に抱えて生まれてきたような人間なので、これ以上貰ってしまうと恐怖で先に進めなくなりそうな気がする。正直、世間的な指標に当てはめれば、自分は日本の中でもそれなりに頭が良い人に分類されるのかもしれない。けれど、頭が良い人が努力と器用さでクリアしてきた関門を、間違って「勘」とわずかな短期記憶だけですり抜けてきてしまったような奴だから、実力という言葉を持ってこられると太刀打ちできないのだ。したがって、私の英語力も8割くらいが勘だ。文法事項はまるで頭に入ってないし、こういったら伝わるかもしれないけど伝わらないかもしれない、誰かがこう言ってた気がするからこれであっているはず、あ、違った……みたいな調子でやってきた。こんなんでいいとは思えないけれど、英語は短期記憶として覚えてはすぐ忘れたりするのはもう嫌だ。だからわざわざ日本語が使えない環境に身を移したんだし、時間はかかると思うけれど、自分の奥深くで眠りこけている長期記憶の脳味噌を叩き起こして、できる限りの英語力を吸収させることができればいいと思っている。そして、そもそも今回の留学は語学留学ではないので、こちらで学べることはできる限りたくさん知りたい。知って、覚えて、忘れないようにしたい。という言霊を添えて、今日の日はさようなら。

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