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政府統計サイトからデータをダウンロードして分析すると意外な発見があるかも?

データをグラフにして眺めているだけでも面白い

最近、政府統計サイトからデータをダウンロードして、グラフ化したり、データの前年同月比を計算したりして、分析することが楽しくなってきています。

例えば、最近眺めていたグラフがこちら。IMFという国際機関のサイトからデータをダウンロードしてグラフにしてみました。

いわゆる、政府債務残高の対GDP比、という資料ですね。よく報道で見かける資料です。

「借金÷GDP」が何%になるのかという資料です。
G7での比較になりますが、たしかにこの資料だけを見せられると、「うわっ!日本だけが飛び抜けて借金しているのかな?財政健全化を進めなきゃいけないんだな!」と思うと思います。

でも、続けて次の2枚のグラフを見たらどうでしょうか?

これは同じくG7での、政府債務の推移をグラフにしたものです。これを見ると、「あれ?確かに日本も借金してるけど、他の国と比べたときに飛び抜けて借金しているわけでもなさそう。」ということが分かります。

そして最後の1枚。これが極めつけ。G7の名目GDPの推移をグラフにしたものです。GDPというのは経済成長を示すデータです。

日本の景気は元気がないというのは、普段日本で生活していると分かるのですが、グラフで比較してみると、圧倒的に日本だけが成長していないことが分かるのです。

そして、ここで最初の1枚目の画像に戻りたいのです。

おさらいですが、この資料は、政府債務残高の対GDP比。
つまり、「借金(分子)÷GDP(分母)」で計算されるものです。

政府債務の推移と名目GDPの推移の両画像をお見せした後なので、もうお気づきかと思います。

そうなんです。日本は借金をし過ぎているのではなく、経済成長をしていなさすぎるのです。

分母のGDPが少ないので、政府債務残高の対GDP比は、当然、大きく計算されるということです。

なんで日本は経済成長できなかったのか?

という疑問が湧いてくるかと思いますが、このnoteはそのことを説明するのが趣旨ではないので、この辺にしておきますが(また別の機会に)、原典にあたりグラフを眺めていると報道で言われていることが実は怪しいんじゃないの?ってことに気づけるということを伝えたいのです。

実はこの資料(政府債務残高の対GDP比)、各種増税の根拠にもなっているデータです。日本は政府債務残高の対GDP比が高いから、増税をして財政健全化しなきゃ!と政府(財務省)は言っています。

この3つの資料を見た皆さんは、増税をして財政健全化を目指そうと思いますか?
それとも、積極財政を採用して、分母のGDPを上げる政策に集中して、結果的に政府債務残高の対GDP比が改善されることを目指しますか?

失われた30年を経験した私から言わせてもらうと、日本は後者以外の道は無いように思います。

政府統計サイトは誰でも利用できる

政府統計サイトは誰でも利用することができます。
(私が普段から使っているサイトを後ほどご紹介します。)

現代は情報社会のため、新聞、TV、SNSなどを眺めていれば、たくさんのデータや資料が流れてきます。

時間節約のため、当然、それらの資料を信用し、活用していることが多いと思います。(私も使っています。)

しかし、完全に信用しきってしまうのは、それはそれで危険であるとも言えます。

全部の資料を原典にあたって確認することは不可能ですが、自分で興味のある資料であったり、ちょっとでも怪しいと思ったデータなどは、原典にあたって分析してみると面白い発見があると思います。

Excelを使ってかる~く分析

分析というと難しく聞こえるかもしれませんが、気になったことを調べてみる、数字を自分で確認してみるくらいにイメージしするのが良いかもしれません。

私が上記で掲載したグラフもマイクロソフトのExcelで簡易的に作成したものです。
難しい専門の統計ソフトを使わなくても、普段から使い慣れているExcelでも十分な分析ができます。

社会人の方なら、データの扱いやグラフの作成の練習にもつながりますしね。

データの見方が分かってくると、投資や経済の勉強も楽しくなってくる

2022年は世界中でインフレ(物価上昇)が急速に進みました。
急激なインフレを抑制するために、中央銀行は金融引締を行いました。

そのため、2022年のマーケットは中央銀行の金融政策(特に米国のFRB)に大きく左右されました。

そして、その金融政策の判断材料となるのが、物価や雇用などの経済指標です。もちろん、中央銀行は経済指標だけを見て、金融政策を決めてはいません。

しかし、経済指標への理解があれば、金融政策の内容や声明文について理解が深まります。

CPIとはどのような指標なのか?
なぜ雇用統計が大事なのか?
前年同月比とはどのように計算されているのか?

いずれも基礎的な話にはなりますが、この辺が理解できていると、投資や経済の勉強がより一層楽しくなってくるはずです。

私が利用している政府統計サイトなど

日本国内編

  1. 政府統計の総合窓口(e-Stat)
    日本の統計データはここのサイトに集約されています。人口、GDP、CPIなど様々な日本の統計データを利用することができます。

  2. 内閣府HP
    内閣府では、GDP等の統計データを扱っています。経済成長を見るのに大事なGDP統計です。名目GDP、実質GDP、GDPデフレーター等、四半期速報や長期推移のデータを確認することができます。

  3. 総務省統計局HP
    日本の統計を総合的に管轄しているのが総務省の統計局です。人口調査、物価調査、家計調査など様々な統計のベースとなるような基幹統計を幅広く扱っています。
    私は家計調査やCPI(消費者物価)をよくみています。

  4. 日本銀行HP
    日本の金融政策を担当している機関です。マネタリーベースやマネーストック統計、資金循環統計、企業物価統計など、経済を分析する上ではかなり重要な統計が多いです。あとは少しマニアックですが、実効為替レートも公表しています。

  5. 財務省HP
    日本の財政を所管している官庁です。日本国債の利回りやイールドカーブを見たいときに使っています。また、国債の発行残高や発行計画を確認するときにも使用します。
    それから、マニアックな話にはなりますが、財務省が発行している国債の中に物価連動国債というのがあって、そこから予想インフレ率(BEI)を確認できるので、そちらについてもたまに見ています。

私が普段よく使うサイトをざっくりとですが、書いてみました。思い出したり追加があれば、修正追記しようと思います。

海外編(基本的には英語での対応となります)

  1. IMF(国際通貨基金)
    IMFは世界金融の安定化を目的とした国際機関です。主に財政・金融関係の世界各国の統計がデータベースとして格納されています。

  2. OECD(経済開発協力機構)
    OECDは欧州を中心とする先進国間で経済開発を促進する国際機関です。日本を含む38ヶ国が加盟しています。金融や財政に限らず、加盟国の幅広な統計を取得することができます。

  3. アメリカ労働省(U.S. BUREAU OF LABOR STATISTICS)
    米国株やドル円の為替をやっている人には馴染みがある経済指標「雇用統計」を発表しているアメリカの政府機関です。CPI(消費者物価指数)やPPI(生産者物価指数)などの物価指数も発表しています。2022年は物価指数や賃金などの経済指標に注目が集まっています。まさに世界中の注目を集めている政府統計機関です。

  4. アメリカ商務省(The Bureau of Economic Analysis)
    アメリカの経済指標を担当している政府統計機関です。GDP、家計調査、FRBが政策運営に活用している物価指標PCE等を発表しています。

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