見出し画像

閉じこめた冬夜のひかり

行きたい国はありますか?
そう聞かれてどこを思い浮かべるだろう。

そもそも行きたいと思えるくらい場所に出会えるということは、それだけ視野が広いことでもあるし、知ろうとしたことでもある。すぐに答えられる人ってすごいと思う。

一足さきに、世界を体験してきた人たちの話をきくのはもっと楽しくて。世界には、美味しいごはんの国も、素敵な博物館のある国も、透きとおる海のある国もある。

自分の住んでいる日本の素敵なところもたくさん知りたい。だから、世界はそれからかなぁっと漠然と思うのだけど。

焦がれた想いを抱く国が見つかってからは、今もずっと行きたい気持ちが変わらない。

夜空にゆらめくオーロラの光とトナカイとサンタクロースの国、フィンランド。

***

ベッドの中でまだまどろんでいた時、ひとつのnoteを見かけた。写真展に行ってきたことを綴ったものだった。
週末に写真展なんて、なんて有意義な週末の過ごし方だろう。まぶたの重さを感じながら、ゆっくり読んでいく。写真展の名前をみて、はっとした。

「フィンランド 冬の光」

行きたいかも。またまだ眠れたのだけど、夜のためにとっておく。詳細をみると、招待状とかなくても見られることにホッとする。場所もよく知る駅。

行こうと思い立ってから、お布団から抜け出すのにそう時間はかからなかった。

***

写真を撮っている人でも、知識があるわけでもない。だから、構図とか被写体とか、レンズがどうとかはよくわからない。

感じることができたのは、すごくきれいだなぁっと想いで。ひとつひとつ、じっと作品の前で立っていた。

大きな和紙にプリントされた写真は、どれも幻想的だった。わたしの知っているガサガサの和紙ではなくて、きっとすごくきめ細やかな和紙のようだった。つるりとした光沢感がないかわりに、その四角の中には、もう一つの世界が広がっているようで。

雪の感触や、ロウソクのあたたかさ。犬たちの息づかい、オーロラの揺らめく夜の冷たさ。
触れたら、温度が伝わってきそう。それを視覚でたくさん感じてきた。

***

写真集をパラパラとめくっていると、ギャラリートークの時間になった。実は、ギャラリートークもすごく聞いて見たいと思っていたから、ソワソワ待っていた。

多分、あの方がこの作品展の主催の方なのだろうと遠くてみていた人が、低く響く声でひとつひとつの作品について話してくれた。

どの写真にもエピソードがあって、話を聞く前と聞いた後ではまた違った魅力があって。もう一度、みてまわった。

写真集をみたり、映像みていたら、フィンランドの世界にしっかりと浸っていて、帰る頃にはびっくりするほど暗くなっていた。

***

写真展の作品の数々は、この世界の一瞬。
見ていないわたしにとっては、この世界にこんな景色があるのかな?っと少し夢の中のような感じなのに。目の前の人は、写真というものに閉じこめた世界を体験してきた人なんだ。

マイナス30度の冷たさも、ホットチョコレートの甘さも。ずっと夜のような日々も、犬ぞり疾走感も。全て体験してきたんだ。

行きたいと思うくらいのこの場所は、いま生きている世界に存在していて。そこが故郷の人もいれば、日々を過ごしている人もいる。

行きたいな。
この目でみてみたいな。寒いのは好きだけど、身体が冷えるとすぐにぐったりしてしまうから温活とか身体鍛えたいな。

本当は、写真家さんの写真集がほしいなぁって思った。でも、手に入れてしまうと満足してしまいそうで、ぐっとこらえた。まずは、自分の目で満足したいもの。

もし、行ったらきっと。みてきた世界を閉じ込めたくなりそうだ。写真とか撮りたくなるだろな。

ずっと遠くにあった夢に、どこか光が灯ったようでこの光をゆっくりと大きくしたい。

***

行ってきた写真展は、noteでも有名な方である横田裕市さんの作品展。

「フィンランド 冬の光」

横田さん目線のフィンランドに触れに、今月の14日までにもう一度行けたらいいな。


この記事が参加している募集

いつも読んでくださり、ありがとうございます♡