時間のプレゼント。

起きてからの数時間は、ゴールデンタイムなんて呼ばれている。
この日は、ゴールデンプレゼントだったんだ。

🌎

目を覚ましたとき、しんと静まり返った部屋のなかだった。
いつもなら目を覚ますためにセットしてある振動が聞こえてこなくて。ちょっとだけ止まって考えてみた。

わたし、早起き、できたかも！！

寝ぼけていたのに喜んだのは、ずっと早く起きることが目標だったから。
余裕のある朝っていいなぁって、あれこれ試行錯誤して毎日だったからかな。

どのくらい早く起きれたのか、時間を確認しようと、スマホに手を伸ばす。
丸いボタンを押しても、画面は真っ暗のまま。いつもなら、ふわっとでてくる写真と現在の時刻がでてこない。

ん？

本体の下をみると、繋がっているであろう白いケーブルがない。あろうことか、白いケーブルは彼方向こうにあって、明らかに電気を送っていた様子がなかった。

うわっ。

ばっとカーテンの向こうをみると、いつもより明るく見える景色があった。

寝過ごしてしまったのかと、慌ててベッドを降りようとした。
もうひとつある時計をみれば、一目瞭然。
けど、その日は違った。スマホにケーブルをさしこんで、考えた。

いま、何時だろうよりも、自分のことを。

もしかしたら、間に合うかもしれないのに。真剣に自分に問いかけた。

ぐっすり眠れた？
身体は、平気？
心も、平気？

なんでそんなことを聞くんだろう。自分のことなのに、思ってしまう。
そうして、スマホの画面が光りだすまで答えを探した。

🌏

前の日の夜。
いつもと違ってたってことを頭が思い出す。

ほんとは、すべての気持ちを受け入れてから眠ったらよかったのだけど。それが出来なかったから心配だった。

いま、大切なのは、自分。
意識していなくても、ちゃんと身体と心が導いてくれた。
自分のいまの気持ちを知ろうとしてくれた。

ちょっとしんどい。
まだ受け入れられないこともある。
だけど、起きるようと思うよ。

スマホの画面がぱぁっと明るくなる。
いつも明るさを調整しているからか、とてもまぶしく感じた。目を細めながら、映し出された数字を確認すると、起きる目標時間だった。

🌎


起きてからの数時間は、ゴールデンタイムなんて呼ばれている。

いつもより早く起きたことでもらった時間は、プレゼントのようだった。
ゆっくりと数日間の想いを書きだして、また心がふわりと軽くなった。

こんな朝もあるんだなぁって、ちょっと嬉しくて。どんなときでも大切にしていいんだよって言われてような気がしたんだ。