主人公に、てをさしのべるのも主人公。
ハナチャンに出会ったら、こんな気持ちなのかもきれないなって思うときがある。
ここで思いうかべるハナチャンは、任天堂のゲームソフト・マリオシリーズのいもむしみたいなキャラクターだ。
いもむしだから、長いからだでふにふにと歩く。かわいい黄色のおじゃま虫。
かわいい顔してるのに、ふんでしまうと真っ赤になって怒る。だから、ハナチャンが通るまで待っているんだよね。
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エスカレーターにのりたいのに、列が続きすぎてとぎれなくて。なかなかエスカレーターにのれないとき。
いま、ハナチャンに出会っているなって感じる。
ハナチャンのあたまとおしりのわずかな隙間に通らないといけないんだなって。じりじりと時間をきにしつつ、タイミングを見計らうのも、もうなんだかマリオみたいなんだもの。
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つい先日も、ハナチャンに出会ってた。
なかなかとぎれないハナチャンをじりじりと待っていた。とはいえ、この日はちょっと時間に余裕があって、のんびりとたちどまってた。
ちょうど野球部っぽい感じの子が2人、わたしの目の前をとおりすぎようとしてたとき。
うしろの彼がまえの彼のリュックをひっぱった。
まえの彼はびっくりしてたけど、うしろの彼がわたしをじーっとみて、どうぞっと合図してくれたんだ。
彼は、ハナチャンのあたまとおしりのちょっとした隙間を意図的につくってくれたんだ。
ちょっとびっくりした。
すごくうれしくなった。
わたしがその隙間にはいったことで、まえの彼も状況がわかったようだ。
エスカレーターをのぼってから、ふりかえると、彼らは反対方向にはしろうとしていて。めいっぱい笑顔でおじきしたら、笑ってはしっていった。
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ハナチャンのあたまとおしりのほんの少しの隙間。
その隙間ってつくれるんだね。
主人公に手をさしのべるように、隙間をつくりたいな。
わたしも彼らのように。
きっと、彼らも主人公だったんだとおもう。
そんなことを思った朝から、なんだかわたしは、あったかい気持ちでいっぱいになっている。
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