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【映画なに観た?】「モリコーネ 映画が恋した音楽家」

昨日エンニオ・モリコーネのドキュメンタリー映画を観てきました。
こういう伝記的な映画を観ると、偉大な人物の一生を2〜3時間でサクっと観てしまうのをちょっと申し訳なく思ったりもするけれど、人生の一部を駆け足でギュッと凝縮された状態で垣間見るのはとても面白くて、こちらも例に漏れず終始興味津々で観ることができました。


モリコーネといえば、正直「ニュー・シネマ・パラダイス」の曲の人…くらいの認識しかなかったのですが、西部劇の作品をあんなにたくさん手掛けてらっしゃったことを知ってびっくりしました。とはいえ、リアルタイムで西部劇の作品をしっかり観ていた訳ではないので、なんかコントとかでよく使われてた曲のような気がする…?くらいのイメージなのですが。。笑

ジョン・ケージっぽい斬新な実験音楽的アプローチもされていたようでしたが、それはいつも映画と近くにいたことを考えると自然な流れだったかもしれないなぁ…と思ったりもしました。
以前テレビで、映画につける音響効果の裏側を紹介してるのを見た事がありますが、例えば馬が走る音を実際の馬が走る音を使わずに缶など何か全く別のものを使って、より本物に近く聞こえるようにあれこれ試して音を作っていく…それはまさに"実験"的で、作業環境もあれこれ色んな道具が所狭しと置いてある実験部屋のようでした。
そんな風に作られる音がモリコーネの身近には常にあったかもしれないと思うと、作曲にその要素が取り入れられるのはごく自然のことだったかもしれない…と思ったのです。

モリコーネ自身は純粋音楽の作曲をもっと極めたくて、映画音楽はいつ辞めようか…って常に考えてるのに、事あるごとに映画からオファーが来てしまう。タイトル通り「映画が恋した音楽家」だったんですね。笑 本人は「こんなゴミ!」って思ってた曲が周りからは大絶賛されてしまったりして、不本意ながらもなんだかんだそれで成功して行ってしまうというのが、なんともはや…と失礼ながらちょっと笑ってしまいました。笑

ものすごい作品数の曲を手掛けてらっしゃって、そんなにも映画に貢献されていたのに、オスカーはハービー・ハンコックにとられ、坂本龍一氏にとられてしまう。私はどちらも好きなのですが、とはいえ映画音楽をメインに活動している訳ではないミュージシャンなので、やはり話題性勝ちみたいな気もしてやや複雑な気持ちにもなりました(←まあ、話題性も大事ですし、彼らの受賞自体はファンとして大変嬉しくもあるのですが…)。
モリコーネ自身は賞のために書いてる訳ではないから、どうでもいいと言えばどうでもよかっただろうけど、おそらくノミネートの度に周りがざわざわしたでしょうから、オスカーを逃す度に無駄にがっかりさせられてしまったかもしれませんね…。
世界中でものすごく愛されている曲がたくさんある、それだけで充分素晴らしいけど、でも、最終的にはちゃんと世間に認められて評価されて良かったなと思いました。

「映画音楽」の捉え方も彼の若い頃と現在とではかなり違っているはずで、現在はもはや取っ付きやすいクラシックみたいな立ち位置な気がします。そう考えると、彼のやってきたことにようやく時代が追いついたのかもしれません。。

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