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緊急事態宣言下の甲子園中止が決まった

本日、正式に夏の甲子園中止が決定されました。

当然地方大会も中止になります。


この甲子園中止に関して、様々な議論が交わされています。

「甲子園球児がかわいそう」
「高3生にとっては最後のチャンスなのに」

そんな声もあれば、

「中止で当然だ!」
「野球だけ特別扱いするな!」

そういった声もあります。

自分は開催賛成、反対以前に、議論の中心が的外れなものが多いな、という印象を抱いていました。


前提として、自分も高校野球に限らずコロナの影響で開催できなくなったスポーツに関わる人々のことは純粋にかわいそうだと思うし、スポーツがなかなかできない現状は残念だと感じます。

ただ、元々大学で「スポーツとメディア」に興味を持っていた自分としては、重要な視点が抜け落ちた議論にもどかしさを覚えました。


で、この議論をメディアという側面から考えている方はいないかと探してみたら…いらっしゃいました。

※このnoteが書かれた時点では中止はまだ決まっていませんでした

スポーツとメディアという観点の議論はよく、メディアが悪者にされ、批判されがちです。

しかし、このnoteを見ればわかる通り、メディアの放映権料というものがスポーツの実施を支えている側面もあるのです。


残念ながら、スポーツをやっているだけでは利益を生むことはできません。

そのスポーツを放映したり、それに合わせて企画をするなどして経済効果が見込めるからこそ、企業が協賛するのです。

そんな企業の協力によって大規模なスポーツ大会は成り立っています。

中でもメディアは重要な役割を担っています。


しかし、現実には甲子園球場の会場は無料で使用、放映権料も無料、チケット代も格安、人員はボランティアというのが現実。

なぜでしょうか。


スポーツ界のアマチュアリズム(非商業主義)

甲子園にあたって高野連が儲けを考えたがらない理由は、徹底したアマチュアリズム(非商業主義)にあります。

アマチュアリズムとは何か、Wikipediaでは以下のように書かれています。

アマチュアリズム(英語: amateurism)とは、オリンピック運動の創始者であるピエール・ド・クーベルタンが、その運動の理念として提唱した思想で、「オリンピックの出場者は、スポーツによる金銭的な報酬を受けるべきではない」とする考え方。

Wikipedia

アマチュアリズムは1970年代までオリンピックに受け継がれてきましたが、その後はアマチュアリズムという単語自体が削除されることとなりました。

そのアマチュアリズムになぜ甲子園はこだわるのか。

一つの仮説がこちらに書かれていました。

つまり、人々が甲子園に熱中するのは徹底したアマチュアリズムがあるからだということです。

確かに、プロ野球は見なくても、高校球児だから応援したくなる、という気持ちはどこかにあります。

商業主義が垣間見えた途端人々の気持ちが冷めるというのは、あらゆる事象が証明しています。

つい最近では「100日後に死ぬワニ」がすぐにグッズなどを売り出したことで、批判を買いました。

営業の世界では、

「お金の存在を感じさせると人は冷めるから、あなたのためだという言葉を使う」

なんてことも言われます。


人々の潜在意識には、アマチュアリズムに惹かれる精神があるのです。

そう考えたとき、甲子園からアマチュアリズムがなくなっても今みたいな人気を集めるのか?

疑問が残ります。


人々は、本当に高いお金を払ってでも甲子園球児が戦う姿を見たいのか?

それとも甲子園に徹底したアマチュアリズムがあるから惹かれているのか?


興味深い事象です。

これには高野連だけでなく、甲子園によって、多大な経済効果を受けている周囲の店舗、鉄道なども絡んできます。

甲子園のチケット代が今より上がったら、同じ客入りになるのか?

周囲の店舗に入り、食事をし、お金を落としてくれるのか?

少なくとも、自分はそうは思いません。

客入りも変われば周囲への経済効果も変わるでしょう。

もちろんこれは、しがない個人の見解でしかありません。

そもそも「金の亡者!」といった批判が一般大衆から出てくる未来が見えます。


今回わかったことがあります。

スポーツがメディアや周辺企業によって支えられているという現状は驚くほど知られていない。

それは、Twitterにおける甲子園中止に関する議論において、メディアが批判の対象になっていることを見ても明らかです。

スポーツ界がアマチュアリズムから抜け出すためには、商業化の必要性を一般に認知してもらうことが先なのではないでしょうか。


以下の記事で、スポーツ界のアマチュアリズムとそこから抜け出す方法について、考察をしました。

この課題への理解を深めたい人、解決に向けて動きたい人と、ぜひ知恵を絞りたいです。

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