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作られた分断:第十六部 地殻変動の10年 月1回以上のペースで5弱以上の地震

2007年10月1日より導入された緊急地震速報ですが、最近では新型コロナウイルス感染拡大防止のため、自粛を促す発信に使われたことで話題になりました。

この発信方法の是非はさておき、そもそも緊急地震速報というのは「震度5弱以上の揺れが予想される地域および震度4の揺れが予想される地域」を対象に発表されます。

意外にも「震度4の揺れが予想される地域」が発表対象になっているのは、あまり知られていません。

2013年からは、ゲリラ豪雨災害での避難の遅れにより甚大な被害が出たことを契機に特別警報が導入され、より切迫度の高い警報を発表することが可能になりました。

それに併せて、緊急地震速報にもワンランクグレードを上げた特別警報(震度6弱以上の揺れが予想される地域を対象)が加わりました。

さて、この10年を見ても東日本大震災をはじめとして、日本各地で最大震度5弱以上の揺れが計175回(2020年5月現在)襲っています。

要するに単純計算で1ヵ月に1.45回は日本のどこかで震度5弱以上の地震が起きていることになります。

これは、1990年~2010年までの20年間で起きた震度5弱以上の地震176回に匹敵し、この10年間でいかに大きな揺れを伴う地震が増加したかを物語るデータです。

確実に対処できることから

このように、日本列島の地殻は予断を許さない現況である一方で、現政権は原発の再稼働を推し進める立場を取っています。

野党第一党の立憲民主党は原発再稼働反対の立場ですが、党幹部が政権を担っていた東日本大震災当時は、放射能で汚染された地域からの避難対応の後れが厳しく批判されました。

数々の外交文書でも明らかにされているように、原発が日本に持ち込まれたのは、核爆弾を投下した米国への憎悪感情を押し下げるため、米国が”核の平和利用”と謳ってGHQ統治下の日本と共同でキャンペーンを展開したことに始まります。

主権回復後も米国の多大な影響下にあったため、原子力を使って電気を生み出すことに文句を言うことは自民党にとってはタブーです。

旧民主党政権の辺野古移設問題や原発事故への対応を見てもその影響力には抗えないことが窺えます。

しかし、月並みな表現ですがいつどこで激震が襲っても不思議ではありません。

その震源地が原発が立地している真下を通る(通っているかもしれない)活断層上であったらと考えると恐ろしいものです。

地震がいつどこで起きるのかは予想できません。もしかしたら南海トラフは生きているうちにはやってこないかもしれません。

そんなことに不安を巡らせるより、実際に原発を大地震が襲ったらどうなるのかを経験則として知っている訳ですから、原発を廃する方向へ民意を動かす必要があります。

放射能汚染は場合によっては、数百年単位で汚染が留まり続け、人の居住は不可能です。

そんな事実を「被災者への風評被害だ」と言って目を背けさせることをし続けていては、救えるはずの命が失われる事態に繋がるのです。

東日本大震災当時は放射能汚染を恐れて移住してきた人に対し「放射能が”うつる”から近づくな」という誤った了見に基づく差別が横行していました。

こういったデマによる不当な差別は根絶するべきですが、正しく恐れることは常に大切にしたい意識です。

問われるポスト原発

また、「原発なくしたあとの電力はどう賄うのか」という反論も多方面から聞かれます。

おそらく日本国民で未だに原発安全神話を信奉しているのは、
信心深ければ利権が転がり込んでくる一握りの人たちだけだと思います。

要するに1.2億人は原発は危険と分かっているわけです。

しかし、そんな人たちの多くが思考停止してしまうのが、ポスト原発が話題に上がるときです。

”危険だと分かってはいるけどやめられない”です。

どっかで聞いたことがありますね。このフレーズ。

しかし、日本ではすでに2011年から2015年夏まで原発を一つも動かさず電力を生み出している実績があります。(2015年8月に川内原発が再稼働)

その間電力供給の主力を担っていたのは火力発電。

デメリットを先に挙げておくと、

(1)CO2をガンガンに排出する
(2)燃料費が高い

以上は原子力発電と比してのデメリットです。

これを聞くと、原発が優等生と思われるかもしれませんがご存じの通り、ひとたび事故やテロ攻撃に遭った際のリスクは尋常ではありません。

原発は核戦力を保持していない日本にとって「その気になったらいつでも核兵器作れまっせ」とアピールする唯一の展示品です。

これ、テロリストからすると「ここを攻撃すれば国が崩壊するほどのダメージを与えることができる」と格好の餌食になることは間違いないのです。

パンデミック×大規模自然災害は人類史では未経験

現在のコロナ禍に大震災級の揺れが襲う。
これは、人類史では未経験であり映画やドラマでも映像化された試しがありません(知る限りでは)

しかし、そんなフィクションをも超える現実が起きる可能性は十分に考えられます。

実際に起きた場合、まず考えられるのは避難所でのクラスター(集団感染)。避難所は逃げ場を失った多くの人が身を寄せる場であり、3密の巣窟と化します。
それと、もう一つ懸念されるのは感染リスクを恐れて避難を躊躇ったために二次災害に巻き込まれること。

地震の規模に比例して、余震の数も増加するのでそれによる二次災害の発生は十分に考えられます。

つまり、パンデミックと大規模自然災害が同時に発生すれば相当な犠牲を覚悟しなければなりません。

だからこそ、感染拡大状況を推し量るPCR検査の体制を強化し、実態を把握することが急務です。

いずれにせよ、いつかコロナ禍は収まっても、大地震のリスクは地球が生き続ける限りはついて回ります。

大地との癒着は精神的・体力的にムリでも、それなりの付き合いは必要です。

お休みなさい。

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