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読書記録

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僕が読んだ本の感想や印象的なフレーズが書いてある記事です。
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2023年1月の記事一覧

#12 高校時代の青春を思い出す『桐島、部活やめるってよ』(著:朝井リョウ)を読んだ感想

朝井リョウさんの『桐島、部活やめるってよ』 朝井さんのデビュー作であり、映画化もされた作品です。 あらすじ感想まるで高校時代に戻ったかのようなリアル感が溢れる描写 タイトルだけは知っていて、原作も映画も見てなかった本作。 桐島を何とかして部活に戻そうぜっていう熱血青春小説だと思ってました。 それは自分の勝手な思い違いでした(100%そうだったわけではないですが) ただ、これほど青春というものを感じさせる小説はなかったかもしれません。 高校時代の、勢いのまま生きる様子

#11 相手との向き合い方を考えさせられる1冊『川のほとりに立つ者は』(著:寺地はるな)を読んだ感想

寺地はるなさんの『川のほとりに立つ者は』 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品です。 本屋大賞候補作は、どれもインパクトが強そうな作品が並んでいます。 その中で「今読みたい」と思ったのが本作でした。 なにか、優しく寄り添ってくれそうな雰囲気を感じたのです。 あらすじ感想相手との向き合い方について、ページ数以上に考えさせられることが多い1冊 ある性格や特性だけで相手を決めつけたりしていないだろうか? 自分の当たり前を(たとえ心の中でも)押し付けていないだろうか

#10 和菓子が食べたくなるほのぼのミステリー『和菓子のアン』(著:坂木司)を読んだ感想

坂木司さんの『和菓子のアン』 僕がよく見ているYouTubeチャンネルの「ほんタメ」で紹介されていたのがきっかけでした。 和菓子に関する物語って読んだことがなかったので気になったんですよね。 あらすじ感想和菓子の落ち着いた味のような感じでほのぼのするお話 和菓子の魅力に気付き、思わず食べたくなる1冊 『和菓子のアン』は、東京百貨店の地下(デパ地下)にある和菓子店「みつ屋」が舞台。 食べるのが大好きな主人公、梅本杏子(アンちゃん)が「みつ屋」で働く姿が描かれています。

#9 人は、たった140文字では分からない。『何者』(著:朝井リョウ)を読んだ感想

僕が朝井リョウさんの本を読みたいと思ったきっかけ。 それは、若林正恭さんのエッセイ『ナナメの夕暮れ』文庫版の解説でした。 数ページなのに、的確な解説が強く印象に残っていたんです。 今回読んだのは、直木賞受賞作でもある『何者』 あらすじ感想心に刺さりました、いや刺されました。 特にラストは、静かな部屋がさらにシーンと静かになった気がしました。 ホラーではないのに怖さを感じています。 『何者』は、大学生の就職活動(就活)をテーマとした作品です。 5人の登場人物を中心にし

#8 今に感謝して生きていこうと思った『i』(著:西加奈子)を読んだ感想

2023年は、まだ読んだことがないけど気になる作家さんの作品も積極的に読みたいと思っています。 その中の1人が、西加奈子さん。 今回読んだのは『i』。 たった一文字のタイトルが気になったのがきっかけでしたが、存在意義について考えることがある僕にとって響きました。 まさに今読んで良かったです。 あらすじ感想読了後にまず思ったのは、 今ここにいることに感謝して生きていこう。 『i』は、存在意義やアイデンティティについて問われています。 アメリカ人の父ダニエルと日本人

#7 こんなに濃く、儚さや尊さを感じる作品は初めて!『汝、星のごとく』(著:凪良ゆう)を読んだ感想【本屋大賞受賞作】

凪良ゆうさんといえば、2020年に本屋大賞を受賞して、昨年映画化もされた『流浪の月』の印象が強いのではないでしょうか? 今回は、凪良ゆうさんの2年ぶりの長編作品である『汝、星のごとく』を読みました。 2023年(第20回)本屋大賞ノミネート作品で、第168回直木賞候補作にも選ばれました。 ※4/12追記 『汝、星のごとく』が2023年(第20回)の本屋大賞を受賞しました。おめでとうございます! あらすじ感想1ページ1ページがこんなに濃い作品は、これまでないかもしれませ

#6 色あせない19世紀の名作『高慢と偏見』(著:J・オースティン)を読んだ感想

今年読書を通じてやりたいことの1つが「色んなジャンルの本を読む」 早速、僕にとって新たなジャンルである海外文学の本を読みました。 今回読んだのは、イギリスの人気女性作家ジェーン・オースティンの代表作『高慢と偏見』 「色あせない名作」でした。 あらすじ感想面白かったー!!(語彙力) 良い読了感で余韻に浸っています。 約200年前の作品ではありますが、現代にも通じる部分が多く、まさに色あせない名作だと思いました。 会話が多く、読みにくさは感じませんでした。 面白く、考え

#5 読み終わってからが本番?ゾクゾクが止まらない! 『いけない』(著:道尾秀介)を読んだ感想(ネタバレなし)

道尾秀介さんは「小説だからこそ」の楽しみ方ができる作品が多く、僕の好きな作家の1人。 『カラスの親指』『向日葵の咲かない夏』『シャドウ』など、どれも強い印象が残っています。 今回読んだ本は、気になっていた1冊『いけない』 読み終わってからが本番でした。 あらすじ感想4章の短編集で、各章の登場人物は繋がりがあるのが読み進めると分かります。 1章は誰が殺されたのか、2章はなぜ助かったのか、3章は誰が殺したのか、終章はすべての謎が明らかになる、といった感じでしょうか。 1

#4 文章に関する本で1番「響いた」 『書く習慣』(著:いしかわゆき)を読んだ感想

いしかわゆきさん(@milkprincess17)の『書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文章力〜』 新年早々、素敵な本に出会いました。 僕は昨年ブログを始めたこともあり、文章に関する本はこれまでも読んできました。どれも有益な本だった印象はあります。でも「理屈」では分かるけど「感情」がどうしても追いつかなかったのです。 そんな僕にドストレートに突き刺さり、文章に関する本の中で1番「響いた」本。 それが、今回紹介する『書く習慣 〜自分と人生が変わるいちばん大切な文

#3 『此の世の果ての殺人』(著:荒木あかね)

2023年最初の読了本は江戸川乱歩賞受賞作の『此の世の果ての殺人』 偶然にも、物語の日時は現実と同じく年末年始! あらすじ感想 無法地帯と化した日本。もはや自動車免許は関係ない中で教習が行われている。しかも、その教官と生徒がその後犯人を追う。 そのシュール過ぎる設定に序盤から惹き込まれた。 電気やガス、通信のインフラがストップしているなどの非日常が淡々と描かれている点が、さらに興味をそそった。 犯行のトリックよりも、 どうせみんな一緒に死ぬのが決まっているのに、犯人はな