見出し画像

空色の駅をみつけた②〜神奈川県小田原市根府川駅

この夏、すっかり気に入ってしまった小田原で、二拠点生活を始めるなんてどうだろうと思い立ち、隠れ家探しに行きました。
結局、いろいろな理由であきらめたのですが、湘南でも箱根でもない、神奈川県西湘エリアの静かな夏はとてもよいものです。この静けさは、かつて政財界人の別荘地だった頃の名残なのかどうなのか。

そんな魅力が濃縮された場所として、小田原駅から各駅停車で二駅め、東海道線の根府川駅を"鑑賞”に行きました。
2017年、愛知県内に6つの駅が加わるまで、東海道線で唯一の無人駅だったという根府川駅。今、ここで小津安二郎風の映像を撮っても違和感が無さそう。またこの駅は、海が見える駅として、マニアの間でも広く知られているようです。
急な傾斜地に建てられているので、ホームでは階段で跨線橋まで上っても、待合室は跨線橋と同じ高さ。そこから見る風景がこの写真です。僕は隣の早川駅と共に、この空色の駅舎や跨線橋が何より気に入っております。

東向きに海。ということは、日の出が拝めるわけで、お正月には初日の出を見に来る客で賑わうという。
このホームで東海道線の15両を見ると、長〜く感じます。

実はこの駅、関東大震災では悲劇の舞台となりました。
地震発生時に発生した山崩れによって、ちょうど入線しようとしていた列車とともに、駅舎もホームも海へ崩落。乗客、職員、合わせて亡くなった方は131名。なお、この事故による遺体が発見された方は、わずか5名に過ぎなかったそうです。

改札口の横には殉難の碑が建てられていますので、この駅を訪れたら、一度手を合わせておきたいものです。

運行本数は一時間に2〜3本。

東京を起点に90.4kmの地点にある根府川駅。一日あたりの乗降客数は、公表されていた2008年時点で639名。これは東海道線で最も少ない数だったという。
しかしこの日はヒルトン小田原リゾート(旧スパウザ小田原)の送迎などもあり、けっこう賑わっていたのでひと安心。

跨線橋の中も、昭和そのもの。数字の書体がそそります。
行き先の表示に、わざわざ電気を使わなくてもいいんですよね。
駅前の歩道橋も、ほらこの通り。傾斜を利用しているので、階段は片方だけ。

無人駅というと、たいていは一度下りると次の列車までの待ち時間がとても長い。だからついクルマで行ってしまうのだけど、ここはさすがの東海道線。早朝や深夜を除き、だいたい一時間に3〜4本の運行があります。駅で降りて、近くの住宅街を散策しているうちに、帰りの列車がやって来ます。

日の出の名所でもあるけれど、春は桜の名所でもあります。ぜひ一度、あなたも無人駅の"鑑賞”に出てみてはいかがでしょうか。



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?