Snip!

旅の本をつくるふたり。文はMomo、デザインはSao。Snip!2号「中国雲南省 喉を…

Snip!

旅の本をつくるふたり。文はMomo、デザインはSao。Snip!2号「中国雲南省 喉をひらく旅」発売中。京都の出町柳にある洋館アパートの一室にて、旅で見つけた手仕事を集めた小さな店を不定期でオープンしています。通称17号室。

最近の記事

これだよ。パハールガンジの朝食は。インド日記_03

生涯でベスト5に入る小汚い宿にタクシーを呼んでパハールガンジに向かった。パハールガンジ(メインバザール)とはニューデリー駅前にある宿街。安宿から中級ホテルが密集しているエリアだ。タクシーが宿を出発すると、窓からの景色には色が溢れていた。この辺りは下町のようで、道路のど真ん中を牛が横切り、オートリクシャーには学校に向かう子どもたちが乗っている。チャイを淹れる屋台や朝ごはんを食べる人で混み合うスタンド、花を売る女の人、インドの生活にはすべてに濃密な色がついていて、それをゆっくりと

    • ツタンカーメンか。インド日記_02

      明け方に目が覚めて、隣のベッドで寝ているさおちゃんを見て、ああハズレのホテルやったわ、と思い出した。ツタンカーメンのごとく真っ直ぐで、まるで死んだかのように寝ている。とても静かで身動きひとつしない。私はシャワーを浴びるべく、ボロ雑巾のようなタオルを手に取って顔をしかめた。 昨日の22時過ぎにニューデリーの空港に着いた。飛行機が遅れたことを想定し、空港から徒歩圏内のホテルを予約してあったのだ。さすが私。用意周到である。しかしながら予約サイトを見ると空港から徒歩圏内!と書いてあ

      • たぶん無理。インド日記_01

        なぜか突然歌詞を書いてほしいと依頼され、可能か否か、ほんのちょっとだけ考えたが「たぶん無理やろ」と答えた。だって「そして僕は途方に暮れる」とか「物語は?ちと不安定」などのキラーワード、私には書けそうもない。真面目な顔でそう言うと、さおちゃんに笑い飛ばされて我に返った。どこの高みを目指してんのってな話である。 そもそも年内にインドに行くのも「たぶん無理」だと思っていた。否、99パーセント無理や。長い休みも買い付けの資金もない。しかしながら、2023年8月20日から26日まで私

        • 【Snip!2号 序文公開】

          2015年12月、大晦日。私は台北からローカル列車に揺られ、磁器で有名な小さな老街を目的もなく歩き回っていた。とくに心が惹かれるものもなく、短時間で見終えてしまったのでこれからどうしようかな、と思いつつ歩いていたところ、通りからほんの少し外れた路地にある店を見つけた。外観からはそこが本当に「店」なのか、判断が付きにくかったのだけれども、扉の横に一枚の白い半紙が貼られていて、古い年代と茶葉の名称が5つほど書かれてあった。それで私はこの場所が年代物のお茶を扱う店だということを知る

        これだよ。パハールガンジの朝食は。インド日記_03