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リモートユーザーテスト実践Tips・9選

こんにちは!事業会社で評価部分メインにUXリサーチを実施するチームに所属しているMOです。

私の所属しているチームはリソースも予算も時間もなく、そんな逼迫した状況でも実施できるユーザーテストのひとつとして、リモートユーザーテスト、積極的に実施しております。かれこれ3年ほど活用させていただいております。

※ここでのリモートユーザーテストは、事前にタスクを送って操作している動画を納品してもらうモデレーター不在タイプのものを取り上げます。スカイプなどで行う遠隔インタビューのようなタイプではないので、お気をつけください。

そんなリモートユーザーテスト、不要不急の外出を控えなければならないような今でこそ、活用しやすいと言えるのではないでしょうか。

人をお呼びしにくいこんな状況だけれど、ユーザーテストも諦めきれない、そこでリモートユーザーテストやってみよう!と思う方もいるかも?!と思い立ってつぶやいたところ、質問をいただくことがあったので、各内容に補足をつけてまとめておくことにしました。

※こちらのTipsは、『対象者の方と実際に会うユーザーテスト』と『リモートユーザーテスト』を比べて、私が意識していることをまとめた内容です。
初めてユーザーテストやります!って方は、樽本さんの書籍『ユーザビリティエンジニアリング』から始めると良いと思います。

それではまず、タスク設計のTipsからです!

リモートユーザーテストは、モニタさんが内容を勘違いしていても、動画が納品されるまでわからないので、タスク設計の際に気をつけることがたくさんあると思っています。

①タスクが社内用語を使っていないかチェックしよう!

例として『○○一覧』を『アイテム一覧』として考えてみてください。
その一覧はなんのアイテムの一覧なのでしょうか?『登録したアイテムの一覧ページ』でしょうか?『アイテムの検索結果の一覧ページ』でしょうか?『最近閲覧したアイテムの一覧ページ』なのでしょうか?
何の操作が反映されている画面なのか、どういう情報が掲載されている画面なのか、操作をする人の立場にたった表現をすると誤解なく伝わります。

②指示文を短くしよう!

長い文だと『何』を『どうする』のか、関係性が分かりづらくなります。
また、丁寧な言葉づかいは、誤解を招く元にもなりかねません。『ご覧になられた』より『見た』『確認した』のほうが、表現としてふさわしい場合もあります。

③感想をもらうときはその画面に移動してもらおう!

こちらは、こんなことがあり、工夫した点になります。
当初は『良いと思ったところを、具体的に教えてください』のような指示文にしていました。その際、モニタさんが話している内容がどこのことなのか、ちょっとよくわからなかったことがありました。
そこで、『良いと思ったところを、該当の画面を表示して、具体的に教えてください』と指示文を変えたところ、「ここが」とか指さしながら話してくれるようになり、明確にわかるようになりました。
同じパーツでも、人によって呼び方が違うのはよくあることなので、どこのことを指しているのか、話す人が伝えやすくなるように指示文を考えています。

④感想がほしい画面や機能がある場合は、まず画面に移動してもらおう!

『○○のページで、確認した項目を教えてください』というようなタスクのときに、『○○のページの感想』になったり『今いるページの確認した項目』になることがありました。
それもそのはず、モニタさんが○○のページを表示しているとは限らないので、ひとつの文の中に2つの指示が入ってしまっていたのです。
そこで『○○のページを表示してください。このページで、確認した項目を教えてください。』と文章を分けることで、間違いなく内容が伝わるようになりました。

⑤使ってもらいたい機能の仕様を把握しておこう!

該当パーツに出し分けがあり、表示されない可能性がある場合は、『表示されていない方は、こちらをご覧ください』と用意したページを見ていただくこともあります。

ここからは、操作動画を見たり、分析をする際のTips的なものを3つ

⑥テストのための操作と心得よう!

リモートユーザーテストは、モニタさんのおうちで操作してもらった動画を送っていただくことが多いので、会場にお越しいただいたり直接お話するタイプのものと比べると、かなりリラックスした様子で操作していただいることが多いです。
しかし『リラックスした様子』と『いつもの利用シーン』は必ずしもイコールではありません。中には、真剣に操作に没頭くださる方もいらっしゃいますが、そういう方に巡り会えたときはかなりラッキーです。

⑦わからないことは、次に聞くことリストに追加しよう!

事前にタスクを送って操作している動画を納品してもらうモデレーター不在のリモートユーザーテストの場合、タイミングよく『よくわからないとおっしゃっていたのは何のことですか?』『前の画面と頻繁に行き来していたのはどうしてですか?』など、発言や行動を深掘りすることはできないと考えたほうがいいです。
このような状況で、モニタさんが『本当はどう思っていたのか』を考えるより、操作動画を観察して、確実に勘違いしているところを見つけ対処するほうが、サービスの品質を上げるのではないかと思っています。

⑧操作者と同じ操作をしてみよう!

モニタさんと同じ操作をしてみる、同じ画面を見てみると『あー、これのことが言いたかったのか』『たしかにこれはそういう感想になるなー』など、発見できることがたくさんあります。もしかしたら、手軽に『ユーザーに共感』できる方法なのかもしれません。
リモートユーザーテストだったら、操作動画があるので、納得が行くまで何度も繰り返すこともできます。

最後に、一番大切なことかもしれないリモートユーザーテストの目的についてです。

⑨気持ちを知るためのリモートユーザーテストは避けよう

手法によって、向いている・向いていない、というのは、どうしても出てきますよね。リモートユーザーテストの場合『サービスが問題なく使えるか』を確かめることに、とても向いていると思っています。
『ユーザーにサービスを使ってもらう』というと、どうしても『ニーズを満たしているか』『また使ってもらいたいと思ってもらえるか』のようなところが注目されがちですが、『バグやエラーがない(仕様がバグやエラーだと思われてない)』『内容が信用できる』『混乱なく使える』も、とてもとても大切なことです。このような土台がないと、心地よい体験を提供することはできません。

ユーザーテストは、サービスを使っているところを観察することで、こういった『サービスが問題なく使えるか』を確認することができる、とても有益な方法です。リモートユーザーテストも例外ではありません。モニタさんがいつもの環境で問題なく使えるかを確認することができます。

リモートユーザーテストを続けていると『ほほう、次はこう来たか。。。。』と思うような、開発側が考えてもいない解釈に出会うことも多くあります。
実践されたことがない方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか。

【紹介】国内でリモートユーザーテストを実施できるサービス

最後に、国内の有名どころのリモートユーザテストサービスを紹介です〜。
他にもご存知の方いたら教えてください〜〜

今、一番困っているのが、リリース前に社内で気軽にやっていたユーザーテストが実施しにくくなっていることなんですよね。。。樽本さんが以前紹介されていた、ノートPCを後ろからハグする方法、試してみようかな?と思っていたりします。

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