ピアノ音源を鳴らすためのmidiキーボードの選定

先日までスタンドアロン/プラグインとして使用できるピアノ専用音源を導入するまでの道程を記しました。今日は、それを鳴らすためのキーボードを確定させましたので、その話をします。

昨年まで、入力用にはKorg microKEY Air 49鍵と、同じコルグで少し古いKronos 73を持っていました。引っ越して以来、パーソナルスタジオが物置と化してしまい、クロノスをうまくセッティングできずにいました。しかしオンラインレッスンの時に弾く必要があって、49鍵では不足だからと、61鍵のmidiキーボードを間に合わせに買ったのですが、それが今回の騒ぎの発端となったのは以前説明したとおりです。

クロノスの鍵盤は、高コストパフォーマンスでありタッチにも定評あるKorg D1にも採用される"RH3"が搭載されており、ピアノプレイヤーではない私などには十分ではあったのです。ただ、88鍵の"ピアノ"を置きたい願望に気付いて以来、それを上回る何かが欲しくなりました。

D1も実機に触り、なるほどクロノスと一緒だなどと納得してみたりしましたが、もはやそこへ止まることはしたくありませんでした。調べていくと「木製鍵盤」というひとつの製品ジャンルが生まれており、「電子ピアノ」の世界が信じられないほどにマニアックな発展を遂げていました。

いわゆるアコースティックなアップライトピアノの代替となり得る電子ピアノは、そのタッチを追求する余り、実際にハンマーを動かすことまでやっているようでした。そんな折、もう10年くらい昔からカワイがmidiキーボードでそれをやっていたことを知ります。VPC-1(ヴァーチャル・ピアノ・コントローラー)という機種です。

ピアノタッチのいわゆるマスターキーボードは目新しくもありませんが、アーティストのステージで見るものはヤマハかローランド。カワイの使い手は記憶にありません。しかし、木製鍵盤、かつハンマー搭載というニッチでマニアックな機材は唯一無二でした。

そこで、批判もおありでしょうが、いつものようにYoutubeでレビューを漁り、そして自らショウルームへ赴いて実機に触れてきました。レッスン室のヤマハ製グランドピアノに較べると、タッチは重く感じられました。しかし樹脂ではないことの触感の豊かさは木製鍵盤ならではであり、内部でメカを動かしていることから生じるリアルな体感が、いかにも楽器的な快感をもたらすことを確認できました。実は2月7日の時点で、すでに決めていました。

Kawai VPC-1は30kgもある88鍵midiコントローラー(とは言えホイールすら無く、midi情報は鍵盤と3つのペダル操作でしか送ることができません)でありながらUSBのバス電源で動作します(もちろん外部からも取れます)。完全に私のmicroKEYやGXP61と同じカテゴリーの商品なのです。

とにかく優秀な音源をPCで鳴らすための、優秀な鍵盤であることをストイックに目指しており、例えば、音源の側で、送られてきたベロシティにどう追随するかをプログラミングできたりするものがありますが、逆にカワイの側から自在なカーブでベロシティ値を生成できるよう、カーブの編集が可能です。

そこには、IvoryII、Pianogteq、Galaxy VintageD、NI Alicia's Keysの人気ある4種のピアノに最適化されたベロシティ・カーブがプリセットされており、その他にユーザーセッティングも可能です。その場合は、実際の演奏のクセから適切なカーブをディテクトする機能も使えます。

この鍵盤を前提としておきながら、過去数回でお話ししたように、最初の音源を、この4種から選択しないのが、私の性格を物語るエピソードと言えるかもしれません。自らの能動的な選択を、まず試さないではいられないのです。失敗するかもしれませんが上等です。

というわけで、現在はVPCの到着を待つばかりとなっており、それを迎え入れるべくスタジオ内の整理をスタートさせたところです。

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