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【誰?】いるはずのない足音……。

及川です、

これをお話ししようか
少し迷ったんですけど、

せっかくなので
あなたにも聞いて欲しい
とある恐怖体験のお話しです。

もし、怖い話が苦手な方は
今回は読まない方が……。

もしも、あなたの身に
なにかあっても自己責任で
お願いします。

ーー

これは僕が10代の頃の冬のお話し。

昔、お世話になっていた人の職場で
バイトをしていた時。

今とは違って、
肉体労働がメイン。

「おーーーい、しのぶ
 今日は疲れたから帰ろうぜー」

上司であるその人(仮名 太郎)の
鶴の一声でバイトは終わる。

「あ、もう終わりなんですね
 じゃ、帰りましょうか。」

そんなに動いていないのに、
結構すぐに休憩したり、
気がついたらタバコ休憩の太郎さん。

ちなみに僕は
タバコは吸わないので
ジュース休憩が頻繁にあった。

帰りもいつもと変わらず、
途中でごはんを食べる。

「しのぶ、今日はバイクか?」

「いや、寒いんで電車です!」

「そうか!じゃ、乗ってくか?」

「あ、まじですか!助かります!!」

僕は、職場にいくときには
バイクか電車だった。

バイクだと1時間はかかるし、
電車でも2時間くらいかかってた。

ちなみに、

バイクに乗る人はわかると思うが、
冬場のバイクは地獄のように寒い。

顔が寒さで麻痺する。

バイト終わりに
車に乗せてくれるのは
結構ありがたいのだ。

今のように、スマホではなく
パカパカ携帯で、ゲームもない。

ただ、電車で2時間揺られる。

車で帰ることになったので、

当時の太郎さんの彼女が
バイト先まで迎えにきてくれて
3人で車で帰った。

ファミリー車で8人乗りだったから
車は広い。

寒さの中の肉体労働で
疲労感が溜まっていた僕は

車内の暖かい暖房と、
車の心地よい揺れによって

つい、ウトウトしてしまった…。

「おーーい、しのぶついたぞ!
 起きろーーー」

重力が増えたのかのような
重たい瞼をこじ開けると

あたりは真っ暗で、
かろうじて車のライトで
森が見える。

「え、ここどこですか?」

本当に見覚えのない場所。

もちろん、東京都内ではない。

眠ってしまったので、
どのくらい車に乗っていたのかも
正直わからない。

「ここ、どこですか?」

ニヤニヤしながら、
太郎さんは言った。

「ここ、心霊スポットなんよ。ニヤ」

やられた。

前に一緒に働いてた時に、
僕が心霊系、おばけ系が苦手なのを
こぼしたのを利用された。

「マジですか…。何系ですか?」

「いや、もう少し行ったところにな、
 防空壕があるんよ。

 そこは防空壕といっても
 『もう逃げられない、助からない』
 という人が集まって自害したとこなんだ」

冗談でも、こういうところは
行ってはいけないと母親からの教育があった。

「いや、絶対だめですよ。
 亡くなった方に失礼ですよ」

今振り返ると
昔から僕はいい人だったみたいだ。
(異論は認めない)

ところが、

「大丈夫大丈夫!」

太郎さんはノリが軽い。

あたり一面は真っ暗。

街頭すらないし、
もちろん人が住んでる感じもない。

冬場ということもあるが

「うわ、寒い…」

というよりも

「なんか寒気がする…」

そんな空気感のある場所。


「いきたくなければいいよ!
 車で一人で待ってて!」

…。

それもそれで怖い。

一人でいて、
ガラスに手形がついたり、
急にエンジンが止まったり、

誰かが車の後ろに乗っているとか
怖くて仕方がない。

「えぇぇ、一人は嫌ですよ…。涙」

「じゃ、いくしかないな。」

半ば強引に
防空壕に連れて行かれる。

車から降りると、
目が慣れてきたのか、

あたりが少しずつ見えるようになった。

なにやら森の中だ。

遠くに市街地の光が
ちょっとしたイルミネーションのように
木々の間から顔を覗かせる。

車を止めたところから、
防空壕は10分くらい歩く。

途中に短いトンネルがあるも
電球はチカチカしていて、
若干、緑かかっていて、

怖さを倍増させる。

後ろを振り返れば
長髪の女性が立っているかのような
雰囲気が漂う。

トンネルを抜けると、
森の入り口についた。

入り口は獣道のように
人が一人取れるくらいで
落ち葉が踏みならされてるくらい。

「ここから入って5分くらいのとこだよ」

太郎さんが言ってたけど
こっちはそれどころじゃない。

太郎さん先頭で
真ん中に僕、
後ろに彼女さん。

一列にならないと
通れないくらいなのだ。

「じゃ、いくぞ。」

「……。」

返事をする余裕はない。

すると、突然…

「カシャ」

カメラのシャッター音が聞こえた。

(おれしか聞こえないのか??)

「え、今のなんですか?」

「あぁ、ごめんライトつけたら
 間違ってシャッター押しちゃった。w」

「……。」

こっちの恐怖心でいっぱいなのに
ふざけてやがる。


意を決して、防空壕を進むと、

やはり木々が生い茂っていて

冬の森特有の
寒さのなかに暖かさもある。

足元には

葉っぱが落ちてる。

ガサ ガサ ガサ ガサ

枯れた葉っぱが
足音に音色を付け加える。

とうとう5分ほど歩いた時だ。

「あれ、ねーなー…」

あたりは土だったり、
木々が生い茂っているだけで
なにもない。

(何もない?♪じゃ帰れる♪)

内心ほっとした。

「おっかしいなー…
 この辺にあったと思うんだけど、
 もう少し行くか。」

5分歩いて、さらに5分歩いた。

何やら原っぱのような
何もないひらけた場所に出た。

本当に何もない。

「あれーー、こわされたのかなー。
 結構有名だったしなー。」

(よっしゃー、これはラッキーだ)

「残念でしたね。さっ帰りましょう!」

何もない森の中を
3人で歩いただけで終わったのだ。

しかし!!!!!!!

事件はここで起きた。

歩いてきた道を帰っている時…


ガサ 

ペタ…

ガサ

ペタ…

ガサ

ペタ…


(あれ、なんか変な足音が…)


ガサ

ペタ…

ガサ

ペタ…

ガサ

ペタ…


(え、やっぱり聞こえる…
 4人目の足音だ… これやばい。)


僕らは3人で森に入ったのだ。

縦に一列になり、

太郎さん

彼女さん

と、先頭は太郎さん、後は彼女さん、
僕が真ん中。

でも、どう考えても
4人目の足音が聞こえる…。

ガサ

ペタ…

(え、やっぱり「ペタ」って
 聞こえるよな…)

僕らが歩を止めると、
同様に4人目の足音も止まる。

「なんか、足音聞こえません?」

ついに、太郎さんや彼女さんに
聞いてみた。

「え、全然?彼女さんの音じゃね?」

「うん、私も特に聞こえないけど…」

(マジかよおい…)

明らかに、おかしい音が
1人分増えているのだ。

ガサ

ペタ…

しかも、ここは森の中。

ガサっという音はわかる。
森の中だから。

でも、気になるのは、
ペタ… っという音。

まるで、全身がずぶ濡れな女性が
裸足で歩いているような音。

ペタ…

これは、後ろを振り返った順に
呪われる的なやつだ。

絶対に振り返ってはいけない。

一人で冬場にも関わらず、
冷や汗をかいていた。

森に入ってから
おおよそ20分、

ようやく、車に戻ってきた。

しかし、

僕の耳には「ペタ…」の足音が
いまだに聞こえる。

(このままではだめだ。
 後ろを振り返って確認しよう。)

意を決して、
バッっっっっっ

っと振り返ると

やはりそこには誰もいない。

足音もスッと消えた。

(あの足音はなんだったんだろう)

その時だ。

後ろを振り返り、
何もいないことを確認したら。

なんと、彼女さんの
履いていた靴が


===========

  ビーチサンダル

===========


だったのだ。

ビーチサンダルって、
踵の部分が

歩くと離れて、
ぺたぺたしますよね。

その足音が、


ガサ←通常の足音

ペタ…←ビーサンの音。


だったのだ。

もう、最悪。

こっちはずっと、
4人目の足音にびびっていたのに、
ビーサンの音にびびっていたのだ。

どう考えても
真冬んビーサンはおかしい。

ペタ…
ペタ…
ペタ…
ペタ…

僕がずっっと怖がっていたのは
ビーサンの音だったのだ。

どうりで止まったら足音も止まるし、
四人目の足音にも聞こえるわけだ。


一人、安堵していたら
彼女さんが話しかけてきたので
ことの経緯を全て話した。

もちろん、大爆笑してた。

そらそうだ。

ビーサンにずっとびびっていたのだから。

思い込みは恐ろしい。


ーー


その後は、僕は自宅まで
送ってもらい、何事もなく今に至る。

ところが…

その数日後。

その車を運転していた太郎さんが
交通事故にあった。

怪我はなかったが
タイヤが取れるほどの事故。


やはり、


遊び半分でそういうところに
行ってはだめなんだなっと
再認識した。

おしまい。

ーーー


さて、3500文字ちかい話を
読んでくれてありがとう、w

これは作り話のような
本当の話。

心霊スポット系は
行かないようにね。

亡くなった方に失礼だし。

感想をコメント欄までお待ちしてます。w


では、また!

及川志伸

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