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関税100%がアメリカにどんな影響をもたらすのか

※これはコミュニティ限定ではなく全体公開記事になります。

こんにちは。すなっちゃんです。先日、アメリカのバイデン政権は電気自動車への関税を現在の25%から4倍の100%にすると発表しました。

今回はこの関税が意味すること、そしてどんな影響を米国や他国にもたらすのかを詳しく解説したいと思います。

それではいきましょう。



ジョー・バイデン大統領は中国製EVに100%の関税をかけようとしています。100%の関税というのは、考えなくてもわかるぐらい非常に大きな関税です。つまり単純に考えれば、中国のEV企業が競争力を持つためには、米国内で他国で製造されたEVの半額で販売しなければならなくなります。

まあそんなことはありえないと思いますが。

100%の関税は、実質的にすべての中国製EVを米国から締め出すのに十分となるでしょう。ロジウム・グループは最近、「Ain't No Duty High Enough(高い関税で十分ではない)」というレポートを発表し、欧州が中国製EVを排除するには40~50%の関税が必要だと主張しました。

欧州委員会は、補助金付きの電気自動車が欧州の自動車産業に損害を与えるリスクを回避するため、今後数カ月以内に中国からのEVの輸入に相殺関税を課す可能性が高い。欧州委員会は15~30%の関税を課すと予想される。しかし、仮に関税がこの範囲の高い方に設定されたとしても、中国に本拠を置く一部の生産者は、欧州に輸出する自動車について大幅なコストメリットを享受しているため、余裕のある利幅を確保できるだろう。BYDのような垂直統合型メーカーが欧州市場を魅力的でないものにするには、おそらく40~50%の関税が必要だろう。このレベルの相殺関税は考えにくいため、ブリュッセルの政策立案者は、欧州の自動車産業を保護するために、環境や国家安全保障に関連する要因に基づく制限など、従来とは異なる手段に頼ることになるかもしれない。

ロジウムの言う通り、非関税障壁(基本的に外国製品側は満足できないが国内製品側には有利な、こっそり作られた規制)は輸入を締め出すのにかなり効果的です。また、ヨーロッパでは40~50%の関税は政治的に不可能であるというのも正しいかもしれません。しかし、バイデンの新関税はロジウムの言う税率の2倍です。これでは、中国からアメリカへのEV輸出はすべてゼロになってしまいます。

しかし、実は中国から米国へのEV輸出をすべて打ち切ったところで、誰の生活にも実質的な変化はありません。というのも中国は現在、米国にEVをほとんど販売していないのです。

アメリカへEVを輸入している国とその納車台数

なのでもしあなたがアメリカ人だったとしたら、今まで絶対に中国製のEVを買おうと思っていませんでしたし、これからも買うつもりはない、と思います。あなたの生活は何も変わりません。

だからといってこの関税はハッタリではありません。関税は、ある意味予防的なものといえるでしょう。過去には、中国がある特定の輸出製品(例えばショベルカー)を突然米国や他の国に大量に供給する例がありました。バイデンの関税は、EVでこのようなことが起こらないようにするものなのです。

では、この関税は良いことなのか悪いことなのか?

関税はアメリカ人の生活をより高い水準にするのでしょうか?バイデンの動きはアメリカの自動車産業を後押しするのでしょうか?グリーンエネルギーへの転換は遅れるのでしょうか?米国の貿易政策は今後どうなるのでしょうか?

これらの疑問に答えましょう。

Q.中国製EVへの関税は、アメリカ人の生活をより高い水準にするのだろうか?

A.この質問に対する簡単な答えは「いいえ」であり、その理由は上のグラフにあります。アメリカ人は中国製EVを買っていなかったのですから、中国製EVの価格を2倍にしても、アメリカ人の支払いが増えることはありません。

関税がもたらす可能性があるのは、将来、アメリカへ安価なEVが流れてくるのを防ぐことです。もしバイデンが何もしなければ、中国は大安売り価格の高品質EVで米国に押し寄せていたかもしれません。そして、高金利や食料品の価格にストレスを感じている大勢のアメリカ人が、安価で高品質な中国製の電気自動車を購入することで、気持ち的に少し安心できていたのかもしれません。

そしてなにより、中国のEVは非常に優れています。中国は内燃機関車を作るのに苦労してきましたが、EVへのシフトによって内燃機関車を完全に追い越すことができました。中国はバッテリー産業を独占しているので、高品質のEVを生産するのは簡単だったのです。InsideEVのライターであるケビン・ウィリアムズが中国の電気自動車の品質の高さについて長い記事を書いているので少し見てみましょう。

米国と欧州が中国からの輸入車を取り締まるという望みを叶えたとしても、それがより良い車を生み出すとは思えない。それは、これらの市場の購入者を、実行力のない車に縛り付けてしまうような気がするのだ。欧米の自動車業界幹部や一部のタカ派的な中国専門家は皆、心の底では、中国のEVやPHEVモデルが、欧州や他のアジア、アメリカのブランドが考え出したものよりも魅力的であることを理解しているからだ。

これは正しいです。中国からの輸入車による競争圧力がなければ、GMやフォード、そしてテスラのような旧態依然とした企業は、スクリーンベース・コントロールのような中国が開発した革新的な機能を真似する理由が無くなってしまう、つまり競争しなくなってしまうことを心配するのはごもっともです。アメリカの消費者は、より低俗で低品質な車種を選ぶことになるかもしれません。

ただ、私はそうはならないと思っています。なぜなら理由は一つで、中国の自動車メーカーは中国で車を製造する必要なんてどこにもないからです。

一番覚えておいてほしいことは、関税は、商品の最終組み立てがどこで行われるかに基づいて適用される、という点です。つまり、BYDをはじめとする中国の自動車メーカーがアメリカに、あるいはメキシコやカナダなど中国以外の場所に工場を設置しても、バイデンの新関税の打撃を受けることなく、アメリカにEVを販売することができるのです。そしてこれはすでに進行中なのです:

中国の自動車メーカーであるBYDは、世界的な拡大を目指して北米に目を向け、メキシコに照準を合わせている。メキシコで米国向けの自動車を製造すれば、中国から直接自動車を送る場合に適用される多額の輸入関税を回避することができる。少なくとも12社の中国の電気自動車部品メーカーが、近年メキシコでの新工場建設を発表したり、既存の投資に追加したりしている。

メキシコにある中国資本の自動車工場は、中国のサプライチェーン(特にバッテリー)を活用することができ、コストを下げることができます。大画面のインターフェイスを備えた革新的な中国デザインを採用するでしょう。そして、中国の工場が新しく生み出した組み立てラインの技術を取り入れ、さらにコストを下げるでしょう。

つまり、アメリカ人は中国の工場からではないだけで、「中国製」のEVを手に入れることができるのです。まあ、ぶっちゃけそれでもいいです。メキシコは雇用と収入が必要ですし、アメリカの消費者は安価で未来的な自動車を使えますし、アメリカの自動車メーカーは競争性を生み出すこともできます。

ただ未解決の問題は、中国政府がメキシコの中国系工場にどの程度の補助金を出すかです。理論的には、中国は国内生産への補助金と同じ政策手段(税控除、低額融資、直接支払いなど)をすべて導入し、中国企業がメキシコ工場から安価な自動車を送り出すのを支援することができます。ただ、実際にそうするかどうかはまったく別の問題です。中国政府は国内での製造業の雇用を維持したいのかもしれず、したがって自動車産業への直接投資に補助金を使うのは慎重なのかもしれません。なので、現時点ではどうなるかわかりません。

しかし補助金がなくても、中国企業は安価で良質なEVを製造しており、アメリカ人は新しい関税制度の下でもEVを手に入れることができるでしょう。

もちろん、メキシコやその他の第三国で製造されたEVにも関税をかけることになれば、これはかなり難しくなります。実際、トランプ大統領はすでにこのような脅しをかけています

トランプは、中国企業がメキシコで自動車を製造し、トランプが大統領として合意した米国・メキシコ・カナダ協定に基づいて米国に出荷することで関税を回避しようとするだろうと警告した。トランプは、メキシコの中国製自動車に200%の関税をかけると言った。

関税がメキシコのような第三国にも拡大されれば、アメリカの消費者は最先端のEV市場から締め出されることになります。その時点で、中国の自動車メーカーが関税を回避する唯一の方法は、米国で自動車を製造することになってしまいます。そして、実は日本ブランドはそれに成功しています。しかし、中国企業はアメリカで製造することを嫌がるかもしれないし、政府がそれを止めるかもしれません。だから、現時点ではまだこの点もどうなるかわからないのです。

Q.米国自動車産業にとって関税は何を意味するのか?

A.バイデンの関税措置は、GMやフォードのような米国の自動車会社に中国からの輸入品競争の波から一時的に解放されることにつながります。しかし、バイデン氏、あるいは将来のトランプ大統領がメキシコ製のEVにも関税を課さない限り、GMやフォードは国内市場で中国自動車メーカーとのブランド競争に直面することになるため、一時的に競争から逃れられたとしても、その猶予は短命に終わるでしょう。

また、この競争は、GMとフォードの新興EV事業だけに打撃を与えるのではなく、EV事業全体に打撃を与えると思います。内燃機関車とEVは直接競合していて、長期的には内燃機関者車よりもEVに有利な構造的要因がいくつかあります。

それは以下の通りです:

・グリーンエネルギーへ転換を加速させる政府の取り組み

・バッテリー技術が飛躍的に向上している一方で、内燃機関技術は基本的に停滞している

・バッテリーコストが毎年急落していること

・家庭での充電

内燃機関車は頻繁にガソリンを補給しなければならないですが、EV車は一晩中自宅のガレージで充電するため、遠出するときだけ充電ステーションを訪れればいいのです。そのため、内燃機関車はガソリンスタンドの密集したネットワークを必要とします。EVが市場を席巻し始め、内燃機関車が珍しくなると、既存のガソリンスタンドの多くは廃業するでしょう。そうなれば、内燃機関車を所有することの利便性が低下し、EVへのシフトが加速します。この繰り返しです。このプロセスが始まれば、ガソリン車はかなり急速にニッチな製品になり、EVがほとんどの人の乗る車になるでしょう。

今はまだそうなっていません。米国におけるEV市場は依然として拡大していますが、多くの人が予想していたほどの普及スピードは無く、その結果、米国の自動車メーカーはEV計画を縮小しています。

しかし、グリーンテクノロジーを文化戦争に変えてしまった保守派を除けば、ほとんどのアメリカ人は、そう遠くない将来にEVを手にすることを期待しているみたいなのです:

アメリカ国民、民主党、共和党、それぞれに「いつEVを買いますか?」と質問した結果

GMとフォードが提供する製品を縮小し、テスラがより優れた新型EVの代わりにロボットタクシーに注力するのだとしたら、アメリカにおけるEV革命は、メキシコで自動車を製造する中国企業によって乗っ取られる可能性が高いです。メキシコや他の国にも同様の関税を課し、中国の自動車会社がアメリカでの工場建設を拒否したりしない限り、関税だけでは止められない、と私は思います。

そして、米国の関税では止められないことが他にもあります。 それは、アメリカの自動車メーカーが輸出市場で競争に負けてしまうことです。

フォードは北米で収益の大部分を上げていますが、GMはアジアでテスラと同じかそれ以上の収益を上げています。米国の関税は、ベトナムや日本、オーストラリアなど米国以外の国に販売される中国製EVには適用されません。そのため、GMやフォード、テスラはBYDをはじめとする中国自動車メーカーと、海外ではほぼ同じ土俵で戦うことになるのです(中国国内では政府が自国の国内ブランドに有利なように仕向けると思いますが)。

中国の競争は、アメリカや他の自動車メーカーを世界市場から追い出す可能性があります。そうなれば、今のこの傾向はさらに悪化するでしょう:

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つまりまとめると、米国の自動車メーカーは、欧州、日本、韓国の自動車メーカーと同様、関税があろうとなかろうと、重大な危機にさらされているのです。

Q.関税によってグリーンエネルギーへの転換は遅れるのか?

A.多くの人々が、このような関税が太陽光発電やバッテリーを動力源とする低炭素の未来への移行を遅らせるのではないかと心配しています。例えば、ブルームバーグのライターであるデビッド・フィックリングはこう書いています:

クリーンテクノロジーでリードを広げる中国は、その莫大な貿易黒字と先進国における脱炭素化への取り組みの遅れと相まって、有害なミックスを生み出している。電気自動車のようなグリーンテクノロジーが、外国産で脅威的という扱いをされ、関税政策によって排除されることになれば、コストが劇的に下がるだけでは消費者の手に渡ることはないだろう。貿易戦争の加速は、ゼロ(炭素)への道を遅らせるだけだ。

これは正しいですね。運送関連は、米国の二酸化炭素排出量のほぼ30%、世界全体では約4%を占めています。もし米国がEVへの切り替えに失敗すれば、わずかではありますが脱炭素化への取り組みを妨げることになりかねません。

先にも述べたように、中国製のEVだけに関税がかけられるのであれば、それほど心配することはありません。アメリカ人はEVに乗り換えるでしょうが、メキシコの工場から中国ブランドのEVを購入するだけです。環境保護への移行は急速に進むでしょう。

しかし、もし米国がすべての外国製EVに関税をかけるようなことになれば、大変なことになりかねません。GMとフォードがEVへの移行に大きく賭けなくなれば、アメリカはガソリンを大量に消費する国として維持され、時代遅れの自動車にしがみつき、グローバルテクノロジーから孤立する国となり、ハイテクの未来から締め出されることになってしまうでしょう。

また、共和党がEVを文化戦争に巻き込めば、州レベルで規制的な政策を打ち出し、移行をさらに遅らせる可能性があります。

だから私は、米国のグリーンエネルギーへの移行を心配しているのです。しかしその心配は、米国がメキシコ製のEVに関税を拡大するかどうかに大きく依存しています。

Q.この関税は、今後の貿易政策にとって何を意味するの?

A.今回の関税措置で最も重要なことは、その措置に含まれているバイデンのメッセージです。保護主義は今や、米国の主要政党の総意としての経済政策です。バイデンはトランプの対中関税を拡大し、新たなEV関税を課しました。トランプは100%関税を200%に引き上げ、メキシコにも拡大し、すべての中国製商品に60%の追加関税を課すと約束し、バイデンを追い越そうとしています。現在アメリカには、自由貿易に少しでも関心のある主要政党や大統領候補はいません。

しかし、それでもまだ多くの疑問が残っています。最も重要なのは、保護主義はいったい何を守ろうとしているのかという疑問です。私が考える関税の主な目的は4つです:

・自動車産業の雇用と企業利益の保護

・中国との貿易不均衡の是正

・中国のハッキングによるセキュリティリスクの排除

・国内の防衛製造能力の保護

このうち最初の目的である自動車産業の雇用と企業利益の保護は、おそらくトランプ大統領も一番に考えていることでしょう。プラス面では、中国の自動車メーカーに対して日本の自動車メーカーのように米国に工場を置くように説得できれば、労働者保護論者は大喜びするでしょう。GMやフォードはまだ激怒していると思いますし、議会にも支持者がいると思いますが、BYDや吉利汽車の工場でアメリカの製造業が大量に雇用されることになれば、おそらく余裕で勝つでしょう。

2番目の中国との貿易不均衡の是正は、一番議論されている点です。第二次中国ショックに関する記事はいくつもありますが、たいてい中国の消費不足、過剰生産能力、貿易不均衡について触れています。ロディウムグループは「過剰生産能力」という報告書を出していますが、この視点はよくまとまっている印象です。この問題に関して最も有名なコメンテーターは、ブラッド・セッツァーマイケル・ペティスなので、よかったらチェックしてみてください。

貿易不均衡がそれ自体の懸念なのか、それとも雇用やその他の問題に対する懸念なのかは定かではありません。また、関税が貿易バランスを回復させることができるのかどうかもわかりません。高い価格のドルが原因であり、世界の基軸通貨としてのドルの役割を放棄することでしか事態を収拾できない可能性もあります。しかし、今のところはっきりしているのは、多くの人々が貿易不均衡に激怒しており、関税はその不均衡に対処するための有効な政策のひとつだということです。

3つ目の問題、中国のハッキングによるセキュリティリスクの排除については、私は知識不足なので評価しようがありません。ただ間違いなく懸念されるとわかるのは、もし中国のセキュリティサービスが中国製製品に抜け穴をわざとつけたとしたら、戦争が起きたときにその内蔵された脆弱性を使って米国に大混乱を引き起こす可能性があるということです

ジーナ・ライモンド商務長官は、コネクテッドカーは「車輪のついたスマートフォンのようなもの」であり、深刻な国家安全保障上のリスクをもたらすと述べた。

「これらの車はインターネットに接続されている。ドライバーの個人情報、生体情報、車の行き先など、膨大な量の機密データを収集するのです」と、ライモンド商務長官は水曜日遅くに記者団に語った。

「データ収集だけが懸念事項ではない。コネクテッドカーは、悪意のある者によって遠隔操作される可能性もある。」

「何千台、何十万台もの中国製コネクテッドカーがアメリカの道路を走っていて、それが北京の誰かによって即座に、そして同時に使用不能にされることを想像してみてほしい。このようなサイバーリスク、スパイリスクを考えるのは恐ろしいことである。」

たった1隻の貨物船がボルティモアの主要な橋を破壊したことを覚えていますでしょうか?この橋の修復に何年もかかることを考えると、もし中国がすべての自動車をコントロールしたら、どれだけの破壊をもたらすことができるかを考えるとかなり恐ろしいです。

とはいえ、ここでの「危険」は完全に中国製のコンピューターチップによるものだと言えます。中国製のコンピューターチップで作られたGMやフォードの車は、同じチップで作られたBYDの車と同じ脆弱性を持っています。つまり、サイバーセキュリティを心配するのであれば、中国製半導体をアメリカから締め出す必要があるのは唯一無二の方法だということです。

そして、これが最後の懸念である「国防製造能力の問題」につながります。

戦時下において、民間の工場は通常、戦争物資を製造するために再利用されます。例えば、第2次世界大戦中にフォードがB-24爆撃機を大量に生産したようにです。アメリカには国防生産法と呼ばれる法律があり、政府は米国企業に対し、生産ラインを軍需品や国家安全保障に不可欠な商品の生産に切り替えるよう命令することができます(例えばコロナの時はDPAを使って企業に人工呼吸器を作らせてました)。

しかし、再利用する工場がなければ意味がありません。もし米国の重工業が中国の競争を前に衰え、無くなってしまったら、米国は戦争になっても防衛生産能力をあまり増やすことができないことになります。そうなれば、米国は中国の手によって壊滅的な敗北を喫することになりかねません。

私の推測では、中国はこのことをよく理解してます。なので補助金を手厚くし、製造業の輸出を増やすことに積極的なのです。もちろん、中国は雇用と成長を望んでいます。しかし、補助金付きの輸出によって西側諸国を強制的に非工業化できる可能性があることは、中国の指導者なら誰しもわかっていると思います。

そのため、国内の製造業を軍事転用できるようにするためには、おそらく貿易障壁を設けて、補助金を大量に受けた中国の輸入急増から守る必要があります。このような配慮は、アメリカの雇用や利益、貿易赤字とは何の関係もありません。ただただ軍事的に冷徹で、厳しい現実、というだけです。 ケイトー研究所やエコノミスト誌のライターなど、保護主義に反対する人々は、ここに代わる答えを持っていないです。

言い換えれば、関税引き上げには複数の理由が交錯しており、そのほとんどは超党派にアピールできるものです。バイデンの中国製EVへの大型関税は、アメリカの通商政策の大きな転換の始まりに過ぎないのかと、私は思います。

今回は以上です。ありがとうございました。




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