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春の鎌倉巡り 苔むす石段、妙法寺 19.04.07 14:00

苔の寺としても有名な妙法寺です。

妙法寺も日蓮法難の寺を主張しています。それぞれ結局至近なのでどちらでもいいのですが。
妙法寺の場合は、護良親王との関係や苔むす石段を押したほうがわかりやすいです。

護良親王は後醍醐天皇の皇子。鎌倉倒幕の立役者で建武の新政では征夷大将軍に任命された人物。ただ、足利尊氏と相いれず尊氏暗殺を疑われ征夷大将軍を解任され足利方に身柄を預けられ結果鎌倉に送られる。新幹線もない時代、歩いてただ黙って鎌倉に送られたっていうのが今ひとつ信じられないけれども。つまり、この時点で後醍醐天皇からは見放されていたわけで、鎌倉への道すがら奪還の手もなかった。結局、親王、親王と持ち上げられたが今までが虚勢だったということなのか。鎌倉では尊氏の弟直義の監視下に置かれるも、中先代の乱の時に足手まといを理由に殺害される。天皇の皇子を殺害するなんと事がありえない時代。乱の最中とはいえセンセーショナルな事件はその魂をともらうため息子の日叡が妙法寺に堂宇を建て自身の幼名にちなんで妙法寺と名付けたのが寺の始まり。境内には護良親王の墓、日叡上人御墓などがあります。

現在、妙法寺の境内、仁王門から釈迦堂跡に続く石段は苔むす石段として有名。このために苔寺と呼ばれたりもしているのだが、苔の保全のために石段の通行は禁止。

でも苔の石段の脇の普通の石段から間近に苔を見ることができる。この時期の苔は勢いも弱く見ごたえは今ひとつだけれども、梅雨の時期にもなると緑濃く見事な苔の石段を見ることができる。もう少しの辛抱です。

でも、ほとんど同じ場所にあって同じ石段で方や苔は生えて丁寧に扱われて、片や人が通るから苔も生えずに普通の石段。石段の石に意思があるのかはわからないけれども、なーんだか報われない具合が、石のこととはいえ他人事とは思えない。

石段から石段と境内のアップダウンの厳しさは鎌倉の他寺の追随を許さないほど。護良親王の墓参りはクタクタになります。それでも苔の階段を見たいのでついつい訪れてしまう。それも鎌倉の魅力の一つです。

この時期、境内の参拝客は極めて少ない。その御蔭で寺の空気感を満喫できる。何百年もひっそりと、ここで繰り返されている日々の営み。なんとなく、そういうものを感じるのって嫌いじゃないです。


妙法寺はこの辺り


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