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一眼レフ。光学ファインダーという快楽。

先日、ひょんなことからPENTAX KPという一眼レフカメラを中古で手に入れた。ミラーレス全盛期の、この時代にである。

購入直後。

私の愛機であるX-Pro3が、シャッターボタンの不調により修理に出すことになった。
完全にシャッターが切れなくなったわけではないので、写真は撮れるっちゃ撮れるのだが、いかんせん精神衛生上よろしくない。
そして、今のところボディがこの1個しかないので修理中は写真が撮れない。これも精神衛生上よろしくない。

同じフジの別の中古をと思ったが、昨今の情勢の影響か、新品はおろか中古の価格も軒並み4、5万円ほど上がっている。
もうカメラは、自分の思ったよりも尚更お金のかかる趣味になってしまった。

どうしようかと思っていた時に、ふとPENTAXのカメラが目に留まった。
いまだに一眼レフを作り続けている、稀有なブランド。GRで有名なRICOHと合併してから久しいが、並行してずっと一眼レフを作り続けている会社は今となっては貴重だ。写真やカメラのレビューが好きでよく拝読させていただいている記憶カメラさん、ryojohoさんのお二方がPENTAXユーザーということも大きい。

しかも、値段もフジや他社に比べて結構リーズナブル。
結局はこれが一番大きかったが、光学ファインダーを覗くという、いわば写真を撮る上での「原点」のようなカメラを、今一度改めて使ってみることにした。
KPと共に、レンズはFA35mm f2とDA50mm f1.8を最初に迎え入れた。

それから早1ヶ月あまり。
その間にもレンズは増え、新たにLimitedレンズ15mm21mm40mm70mmと、同じKマウントでマニュアルレンズの28mmを迎え入れた。35mmと50mmは下取り交換でドナドナとなった。レンズの本数で早くもフジを上回ってしまった。

KPとDA Limited 21mm f3.2。コンパクトな組み合わせが気に入っている。

これまで約9年間、フジのミラーレスで写真を撮り続けてきた。
その間にたくさんの機材を取っ替え引っ替えしてきた。
同時に、本当に数え切れないほどのシーンに出会い、写真を撮り続けてきた。

その最初の、一番初めにファインダーを覗いた時の感動が帰ってきた気がする。
今になってこんな初々しい気持ちになれるなんて、ちょっとした事件かもしれない。

光学ファインダーから覗く青空が気持ちいい。
青空の下はシャッター切りがち。

ガラス素通しの、無垢なファインダーの映し出されるリアルな世界。

それは、液晶や有機ELで作られた電子のファインダーとは全く性格の異なるものだ。同じ覗く行為でもこんなにも性格が違うと、写真を撮ること自体の意味合いさえ変わってきる気がする。
撮る画が見え、失敗しない電子ビューと、想像し、経験と勘に頼る光学ビュー。
どっちがいいという話ではない。使う場面において、それぞれ良し悪しはある。

要は使い分ければいい話だ。

PENTAXは緑が綺麗に出ると言われる。その力量をまざまざと見せつけられた。

何もかもが液晶で完結してしまう時代。そんな時代に、ファインダーの種類で選択肢があり、しかもどちらも新品で買えるということに喜びを隠し切れない。自分が買ったKPは、PENTAXの一眼レフの中でも一際フィルムカメラ然とした佇まいをしており、その見た目にも惚れ込んだ。

今はカメラ内のカスタムイメージで、フジのカメラが得意とするフイルムシミュレーションのように、フィルムのような風合いの写真が撮れないかと試行錯誤中だ。最近になって、それらしい写真が撮れるようになってきた気もする。

イメージ的に、フジのSUPERIA X-TRA400のそれに近しい感じにしている。(つもり)

自己満足な世界ではあるが、これがまた楽しかったりもする。

PENTAXのホームページには、「PENTAX STATEMENT」なるものが掲載されている。
それは、これからもPENTAXがPENTAXであるための、ある種宣言のようなものだ。

自分たちはこれからも、一眼レフで行く。
なんとも頼もしい。そしてカッコ良すぎる。また数年のうちに、これからも新しい一眼レフがこのブランドからは登場してくる。そんな確固たる自信だったり期待が、根強いファンを産み、そして愛される続ける証拠なんだろう。

後日、ryojohoさんがKPのシルバーを購入。美味しいお酒が飲めました。


PENTAXと、改めて味わった一眼レフという快楽
ひょんなことからの出会いが、またカメラに、写真にドキドキさせてくれる。
今後の日常が、旅が、俄然楽しみになってきた次第である。

カメラとの旅は、これからもまだまだ続いていく。
ファインダーを覗き、露出を、ピントを考え、ゆっくりシャッターを切る。
写真にとって大事なプロセスを、一眼レフと共に見直し、今一度味わう。

新たに見える景色、そこから掻き立てられる旅情も、きっと今までと違うことだろう。


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