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社内通訳者になった話

ご縁あって半年くらい前から、社内通訳者としてフルタイムで働いています。社内通訳者とは、企業の社員として、または派遣社員としてその会社専属で通訳業務を行う通訳者のことです。

私は会社に直接雇用されることとなり、人生で初めて「会社員」になりました。以前は、国立大学法人の職員だったので厳密には「会社員」ではなく(ちなみに公務員でもない)、退職後は自営業(横文字だとフリーランス)だったので、アルバイト以外に民間企業で働いたことが実はなかったのです。

まさか、不惑を前に民間企業に初就職することになるとは思いませんでしたが、人生何が起こるか分からないものですね。今まで、午後3時ごろに帰ってくる娘に合わせて4~5時間しか働いていませんでしたが、急にフルタイムになり、公私ともに大きく生活が変わりました。

毎日、社内で行われる会議を中心に通訳をしていますが、専門的な話が出ることも多く、毎日必死で準備しています。

対応する会議数は、日によってばらつきがありますが少ない日は1時間の会議1本、一番多い日で4本ありました。平均すると一日2件、2時間くらいの通訳時間かなと思いますが、社内での通訳需要が高く増える傾向にあります。9割以上が同時通訳ですが、採用面接などでは逐次通訳で対応します。

通常、同時通訳であれば15分交代というのが業界標準ルールで、フリーランスのころは当たり前のようにパートナー通訳者さんと15分ごとに交代していました。しかし、今は1時間までであれば基本的に1人で対応します。

翻訳を始めた頃に多く請けていたIT関係の内容が主なので、そのときの経験が多少役立つこともありますが、正直言ってその程度では太刀打ちできないことの方が多く、毎日関連する本や動画を見て勉強しています(それでも涙を流しながらやることが多い)。

ただ、自分の課題は専門知識だけではなく、通訳技術そのものであるとも痛感しています。社内通訳として毎日通訳をするようになって、ケーキに例えると、通訳技術はスポンジで専門知識はコーティングするクリームやデコレーションみたいなものかなと思うようになりました。

・・・というわけで、スポンジ(通訳技術)の向上に努めつつ、クリーム&デコレーション(専門知識)も身につけられるよう、精進したいと思います。

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