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1000日チャレンジ 613日目 年末年始の読書記録 吉本ばなな著『ミトンとふびん』

ゴールまで387日

★BMI:24.2

◎吉本ばなな著『ミトンとふびん』(新潮社;2021年)』を読んだので、感想を記しておきたい。

(以下、出版社web siteより引用)
「たいせつなひとの死、癒えることのない喪失を抱えて、生きていく――。凍てつくヘルシンキの街で、歴史の重みをたたえた石畳のローマで、南国の緑濃く甘い風吹く台北で。今日もこうしてまわりつづける地球の上でめぐりゆく出会いと、ちいさな光に照らされた人生のよろこびにあたたかく包まれる全6編からなる短篇集。」 (第58回 谷崎潤一郎賞 受賞作品)
★収録作品
夢の中
SINSIN AND THE MOUSE
ミトンとふびん
カロンテ
珊瑚のリング
情け嶋

◎吉本ばななさんは、1964年生まれということなので、同い年の作家さん。吉本さんの作品を読むのは『キッチン』以来なので、30年ぶり。小説自体を読むことが少なかったものなので。
◎今回、この本を手に取ったきっかけは、昨年11月に母を亡くしたこと。紹介分の”たいせつなひとの死、癒えることのない喪失”というところが気になって、購入。通常の単行本に比べると縦が短く変形サイズ。使われている紙も、てざわりがよくて特別な感じ(ごめんなさい、紙の種類を詳しく知らないので、あくまで印象です)。
★最後の作品は、正直、ぴんとこなかったのだが、それ以外の作品は静かに心を揺らされる感じの読後感。「SINSIN AND THE MOUSE」「ミトンとふびん」「カロンテ」は、特に良かった。
★「SINSIN AND THE MOUSE」は、最近、母親を亡くした娘のお話。旅に出ても、お土産を買わなくてもいいのか、と感じる瞬間に寂しさを感じるといった主人公の心情に共感をおぼえた。このお話を読んで、結局、生きているときには煩わしかったり、反発したりしていたことから、亡くなれば解放されて楽になるというわけではないんだろうなと思った。
★「ミトンとふびん」は、結婚を反対されたまま母親を亡くした娘の話。結婚相手の事情も絡んで、主人公の複雑な心情が丁寧に描かれている。最後におきる小さな奇跡のような出来事が印象的。
★「カロンテ」は友人を亡くした女性の話。旅先のイタリアで主人公が見たカラヴァッジョの作品(サン・ルイージ・デイ・フランチェージ聖堂の「聖マタイと天使」)が気になって、調べてみたりした。主人公の行動に「ん?」と思うところもあって、それに関しては少し怖い感じもするのだが、イタリアの街の空気感まで伝わってくるような文章が心地よい作品だった。
(ご参考)カラヴァッジョの「聖マタイと天使」






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