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東京芸術劇場 プレイハウス PARCO PRODUCE 2024『リア王』観劇記録(ネタバレあり)

【日時】2024年3月24日(日)13:00開演
【会場】東京芸術劇場 プレイハウス
【原作】ウィリアム・シェイクスピア
【翻訳】松岡和子
【演出】ショーン・ホームズ
【美術・衣裳】ポール・ウィルス
【出演】段田安則 小池徹平 上白石萌歌 江口のりこ 田畑智子 玉置玲央 入野自由 前原滉 盛隆二 平田敦子 / 秋元龍太朗 中上サツキ 王下貴司 岩崎MARK雄大 渡邊絵理 / 高橋克実 浅野和之
【後援】ブリティッシュ・カウンシル
【制作協力】ゴーチ・ブラザーズ

劇場内ポスター

(以下、公式web siteからの引用)
演劇界に衝撃を与えた『セールスマンの死』(2022)のタッグ再び!
ショーン・ホームズ&段田安則の次なる挑戦はシェイクスピア4大悲劇!
愛を取り繕った甘言・・・、言葉にできぬ真心・・・。
真偽の選択を間違えた王は、狂気の中、王国を彷徨い・・・。

段田安則主演『セールスマンの死』で、高度経済成長期の資本主義の歪みを重ね合わせた斬新な演出により、日本の演劇ファンを唸らせたショーン・ホームズ。
その『セールスマンの死』で、第30回読売演劇大賞 最優秀男優賞、令和4年度(第73回)芸術選奨文部科学大臣賞に輝いた日本演劇界の至宝・段田安則。
長年親しまれる名作を、従来の解釈に捉われず、本来戯曲が語り掛けていることを丁寧に紐解き、現代に蘇らせるショーン・ホームズと段田安則が、再びタッグを組んでの次なる挑戦は、シェイクスピア4大悲劇のひとつ『リア王』です。
舞台のみならずテレビ・映画の世界でも変幻自在に活躍、押しも押されもせぬ日本を代表する俳優である段田安則が、自身のキャリアにとってエポックメイキングとなった『セールスマンの死』に続いて、生来の気性の荒さと老いから、娘たちの腹の底を見抜けず、悲嘆と狂乱の内に哀れな最期を遂げるリア王に挑みます。」

【感想】
物語もセリフも全てシェイクスピアの翻訳通り、しかし、舞台上のセットは現代のオフィスのような空間。主要な登場人物も皆、現代の服装をして登場する。本場イギリスのロイヤルシェイクスピアカンパニーなどでも、こういう演出は珍しくはないと思う。蜷川さんのシェイクスピアでは、しばしば舞台が日本を思わせるような演出があった。ただ、今回のその試みは果たして成功したのだろうか?この俳優陣、演出家であれば、真っ向から堂々としたシェイクスピア劇でもよかったように思う。
物語の中では残忍なシーンもあるし、そもそも王座をめぐる争いというところで、オフィス空間とは違和感がありすぎるように思った。
俳優陣の演技は素晴らしかった。段田さん、玉置さんとなると、藤原家の親子と重なってしまったが、お2人の硬軟織り交ぜた引き出しの多い演技にブラボー!小池徹平さんは、この物語のキーパーソンの1人だが、見事だった。
※疑問だったシーン
①冒頭、3姉妹に相続をする際に、正直で純粋な末娘に何も与えないという決断をするリア王。そのことが巡り巡って災いをもたらすという話なのだが、3姉妹に提示された3分割の地図に末娘はバツ印をつける。しかし、これだと末娘は相続に不満があったあるいは、相続自体に異論があったということになりかねない。もしそうなら、リア王が彼女だけに相続させない選択も、それほど矛盾がないことになってしまう。わかりにくいシーンだった。
②すべて日本語の台詞なのに、なぜか、映し出される手紙はすべて英語で書かれている。でも、それを読み上げるときには日本語。これも違和感があった。
演出には、やや不満があったが、俳優陣の素晴らしさが目立つ良い舞台だった。


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