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最果てのおりん
2020年7月24日 20:09
蟹工船を読んだ。よしもとばななや現代人のエッセイを好んで読む人間にとっては、普段全く読むことのないジャンルで、非常に扱いにくい小説だった。それでも読み進めることができたのは、「蟹工船を読了した自分」を会得したかったからという不純な動機だ。「おい、地獄さ行ぐんだで!」という書き出しで始まるこの話は、読み手をこの一言で文字通り地獄に連れて行く。船の上という閉鎖的環境、オホーツク海という極寒で