僕の恋は秋に染まる
夏に恋をした僕ら
君の瞳は若草色。僕の瞳は青い海の色。
本能のまま重ねあった僕らの瞳は、どのあたりで交わるのだろう。
多分あの水槽の中かな。いや、あの空の深いところだろうね。
ううん、きっと。
君は言った。
ううんきっと、ぼくらも、僕らの瞳も、交わらないし、混じりあわない。
きっと僕ら、いつまでも一緒になれずにいるんだよ。
だから僕らはこのまま、秋に染まってくんだよ。
秋に染まって、冬に染まって、春に染まって、また夏が僕らを染まらせてくれるはずだ。
ずっと孤独なまま、ね。
僕は君の言っていることがわからなかった。
僕らは一つだったはずだし、夏に染まった僕らは、永遠に夏でいたいよ。
それってなんだか、寂しいね。
僕は言う。
そう?僕はロマンチックだと思うけどな。
君は言う。
かみ合わない会話、分かち合えない心。
それこそが恋で、それこそが恋な故に、僕らは孤独なままなんだ。
君が僕のことを本当に好きなのか不安になって、僕は君に、
「ねえ、キスをしていい?」
と聞いた。
ああ、聞かないと分からない。
その日のキスは、秋の味がした。
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