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【ビジネス・経営】「財務3表シリーズ」(國貞克則著、朝日新書)【本】

弁護士も経済人の一人
というわけでお金の勉強

簿記2級・FP2級取得後に、さらなるお金の勉強のために読んだ本のレビュー
★★★★★(星5)〜★(星1)で評価

財務3表シリーズ


2024年10月時点で、「財務3表シリーズ」(國貞克則著、朝日新書)として刊行されているのは以下の4点

①「新版 財務3表一体理解法」
②「新版 財務3表一体理解法 発展編」
③「新版 財務3表図解分析法」
④「財務3表一体理解法 『管理会計』編」

シリーズコンセプトは、会計の専門家でない人に向け、財務3表を意識しながら、会計の全体像と基本を解説するというもの
①③が基礎編、②が文字通り発展編
①〜③が財務会計、④が管理会計
①〜③財務会計について、筆者のオススメは①→③→②の順

旧版同シリーズの内容を組み替え整理しているので、旧版から引き続き読もうとする人は注意が必要


①「新版 財務3表一体理解法」(國貞克則著、朝日新書) ★★★★☆


簿記を勉強する前に、同著者の類似本をいくつか読んだことあり
簿記の知識を身につけた今現在、その知識がどれだけ役立つのか、まずは本書を読んでみた

内容

本書の目的は、会社の財務分析
つまり、財務3表=貸借対照表(BS)、損益計算書(PL)、キャッシュフロー計算書(CS)を事業経営のプロセスに従って、つながりで理解しようとするもの

最初に、財務3表の意味、つながりが説明される

次に、現実の取引を想定して、財務3表の数字が連動してどのように変化するか説明

最後に、株主資本等変動計算書(SS)が説明され、ROEなどの財務分析指標に軽く触れて終わる

財務分析指標などの難しい話に入る前まで終わっていることもあり、丁寧に内容を追っていけばかなり分かりやすい内容

感想

本書のコンセプトは、会計の専門家でない人の会計学習
しかし当然、知識があった方が分かり易いのは確か
BSやPLの用語や構造がすでに頭に入っていると、内容がすんなり入ってくる
本書で解説されている会計知識は、ほぼ簿記2級までで学んだもの
簿記2級取得の知識が現実に生きることを実感できた


③「新版 財務3表図解分析法」(國貞克則著、朝日新書) ★★★☆☆


筆者のオススメ(①→③→②)に従って、①から③へ
財務3表シリーズとしては、①③が基礎編

内容

内容としては、前作①「一体理解法」の説明を前提に、図解分析の実践を行うもの

まず、前作の復習として、 BS・PLの図解方法CSの分析方法が示される

その上で、その図解による同業他社比較、期間比較が実践される
ソニーやAppleなど有名企業の現実の財務諸表が用いられ、その会社の現状を把握するだけでも楽しめる

さらに、実際の作図の仕方、その他粉飾の手口一覧などの補足説明が続く

感想

レベル的には、自己株式の取得などの簿記2級以上の知識、財務分析指標もROEにとどまらないかなり細かいFP2級以上の知識も登場する
しかし、本書の幹となる図解による BS・PLの同業他社比較、期間比較部分は、前作①「一体理解法」を理解していれば、かなり分かりやすい


②「新版 財務3表一体理解法 発展編」(國貞克則著、朝日新書) ★★★☆☆


筆者のオススメ(①→③→②)に従って、①→③と来て②
財務3表シリーズとしては、①③が基礎編②が発展編
一応本書でも、①③の内容の簡単な説明はあるが、やはり①→③→②の順で読むのがおすすめ

内容


発展編ということで少し身構えたが、内容的には簿記2級の知識で十分理解できる
解説されるのは、新会計基準純資産の部組織再編国際会計基準英文会計、この辺の仕訳を前提とする数字の動き方

新会計基準
退職給付会計、時価会計、税効果会計は、簿記2級で学習済
減損会計、自己株式の取得は初見だが、解説を読めば素直に理解できる

純資産の部
簿記2級でも当然出てくるが、そこまで詳しい説明はない
簿記2級の勉強として、本書の純資産の部の解説を読むのは有効

組織再編
簿記2級では、合併、親子会社はやる
その他、会社分割、株式交換、株式移転、新株予約権、事業再生も簡単に解説

英文会計
国際会計基準、日本会計基準による財務3表の違いを改めて解説
結論としては、日本会計基準自体がどんどん国際会計基準に近づいているので、それほど違いはないということ
そもそも複式簿記が輸入品なので当たり前といえば当たり前だが

英語+会計で外国で働いている人もいるが、それはそれで面白そうだなと

小括

ここまでで、シリーズ①→③→②と読了
筆者曰く、財務諸表を読む側の人間としては、ここまでで財務会計の知識は十分とのこと


④「財務3表一体理解法 『管理会計』編」(國貞克則著、朝日新書) ★★★☆☆


①〜③が財務会計、④本書が管理会計

内容

本書では、財務3表の関係などシリーズ全体における根本部分の詳しい説明はない
よって、財務3表シリーズ(少なくとも①)を読み終えていることが前提
内容は具体的には、原価計算、予実管理、キャッシュフロー・マネジメント、投資評価・企業価値評価、事業再生

原価計算
簿記2級で学習済み
あくまで総論をうまくまとめた感じで、詳しい計算などはない

予実管理
原価計算の知識をどう経営マネジメントに活かすかの話

キャッシュフロー・マネジメント
財務3表のうちのCSの話
PLの利益と現金=キャッシュの違いなど、これまでのシリーズでやってきたことの復習

投資評価・企業価値評価
将来価値・現在価値、DCF法、WACCなど数式が出てくる難しい話
FP2級で少しだけ学ぶ
本書も、触りを上手くまとめた感じ
以前読んだ「ざっくり分かるファイナンス 経営センスを磨くための財務」(石野雄一著、光文社新書)の方が詳しい

事業再生
財務3表の視点から手順を軽く解説

感想

知識的にはほとんど知ってることだったので、個人的には★3
ただ、簿記2級レベルの知識がなく、管理会計が初めてという人には分かりやすくて良い本
管理会計の全体像を把握できたのは良かった

筆者は、ドラッカー信奉者であり(ドラッカー関係の著作もある)、そこかしこにドラッカーが登場
結構、哲学的で、いいことを言ってる
読んだことないけど、読んでみようかなという気に


シリーズ総括

①「新版 財務3表一体理解法」      ★★★★☆
②「新版 財務3表一体理解法 発展編 」    ★★★☆☆
③「新版 財務3表図解分析法 」      ★★★☆☆
④「財務3表一体理解法 『管理会計』編 」 ★★★☆☆

ということで、シリーズ①〜④の個人的評価はこんな感じ
①「一体理解法」で最初に学ぶ、財務3表=BS、PL、CSを事業経営のプロセスに従ってつながりで理解するというコンセプトは、簿記2級・FP2級の勉強を経た上で読むと、改めてなるほどなと思えてインパクトがあった
一方、それ以降は、知識的にはある程度理解していたことなので、それほどのインパクトはなかった感じ

もっとも、簿記2級・FP2級の勉強を終えた後に、より実践的な勉強をしようと思った際、本書シリーズ4冊が実践知識のボトムラインであることを認識できたことは大きな意味があったと思う
実践的知識として、どこまでが基礎でどこまでが応用なのかという勘所である

簿記2級・FP2級レベルの知識がまだない人が、定評のある本書シリーズ4冊から会計知識を勉強するのは当然あり

以上


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