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【本】「イーロン・ショック 元Twitterジャパン社長が見た『破壊と創造』の215日」(笹本裕著、文藝春秋)【X】

読んだ本のレビュー
★★★★★(星5)〜★(星1)で評価

★★★☆☆
突然降ってきたイーロンによってどんな混乱が起きたのか、野次馬根性で覗くには面白い本
ただし、いわゆる暴露本ではないし、イーロン批判の本でもない

日本型企業風土VS極端な欧米型企業風土の異文化衝突の事例としても読むことができる
そのような視点からの筆者による日本企業への提言もある


イーロン・マスク

イーロン・マスクについては、様々な逸話を漏れ聞くが、個人的には、イーロン個人のパーソナリティーにはあまり興味がない
自らアスペルガー症候群であると述べている (リンク)し、何か確固たる経営理念・経営信念を持ってやっているようには見えない
自分のやりたいようにやっているだけで、そのやり方から、経営者とはどうあるべきかと探ってみてもあまり意味ない気がする

それでも、経営者として実績を残しているのは事実であり、本書では、その突破力について筆者なりの分析がされている
そのような分析から、何らかの経営のヒントを見出すことはできるかもしれない


いきなりの無茶振り

イーロンが経営権を握った直後から5週間で、いきなり7,800人→3,000人の人員削減がなされたという
そこでのイーロンの無茶振り、数々の逸話は、外野として見ている分には面白い
例えば、

・一旦すべての経費を止められるが、個々のプロジェクト・営業活動については、やれともやるなとも命令はなく、支払いできないまま続行

・いきなりGoogleフォームが送られてきて、24時間以内に「残る」を選択して返信しなかった者は、自動的に退職

筆者は、Twitterジャパンの社長として、その無茶振りに応えていくが、最終的には、Twitterジャパンを守るために異を唱えたことで退職となる

セブンイレブンの例を見ても分かるように、外資による日本企業の買収は現実的にあり得る
どこの会社でもイーロン・ショックが起こる可能性はある
外資による買収でなくても、雇用の流動化が言われる今日、日本企業が欧米型に変化していくかもしれない
そういう意味で、本書で描かれている破壊による混乱は一読に値する


Twitterと表現の自由

現在では、Twitter(X)を含む、本来私企業であるはずのSNSプラットフォームによる検閲が問題視され、そこでの表現の自由が語られる
イーロン自身も、Twitter買収の一因として、Twitterにおける表現の自由の確保を挙げている

本書でも、Twitterにおける表現の自由についてのイーロンのスタンス、それに対して、一見すると左寄りに見えていたそれまでのTwitterがなぜそうなっていたのかについて語られる部分がある

以上

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